#273
ブライダルはハンドガンを腰にしまうと、背負っていた青龍刀を手に握る。
「じゃあ、こっから野郎臭い展開になる前にお兄さんの名前を訊いとこうか。ちなみに私の名はブライダル。見ての通りポニテでけしからんパイロットスーツを着た傭兵だよ。年齢は十四歳で、スパイシーフードなら何でも大好き。特にタコスね。機会があったら私の特製スパイシータコスを作ってあげるよ。あれ? でもここでお兄さんとお姉さんは死んじゃうから無理かぁ」
「俺はミックス。料理好きの高校生。タコスは作ったことがないからどうやって作るのかレシピが気になるね」
「へぇ~お兄さん、いやミックス兄さんは料理が好きなんだ。そりゃ私と気が合いそうだわ~」
ブライダルはそう言いながらミックスへと斬りかかった。
ミックスは彼女の振るう分厚い刃を機械化――
実内にガキンっといった金属音が鳴り響く。
攻撃を防がれたブライダルは笑う。
「なかなか素早いじゃん。さすが適合者、身体能力は高いねぇ~。でも、そんな便秘中のキャリアウーマンみたいな顔をしても私には勝てないよ」
そこからブライダルの青龍刀による連撃が始まった。
盾にも使えそうな大きな
戦闘技術に差があり過ぎるのだろう。
ミックスは受けることすら
「あれ? もしかしてお兄さんって本当にただの高校生? 全然歯応えがないんだけど? 適合者なのに全然弱いじゃん? そっちのお姉さんのほうがまだ強かったよ」
「そうだよ! 俺はただの高校生だって言ったじゃないかッ!?」
ミックスは青龍刀を真っ正面から腕で受けると、そのままプライダルを押し返す。
機械化した体による腕力でブライダルはそのまま後方へと跳ね飛ばされたが、空中でクルッと回転して猫のようにスタッと着地。
そして、なんだか不機嫌そうな顔をしてミックスのことを見つめている。
「なんだそれ? せっかく適合者なのに、主役なのに、そんな弱いんじゃ話にならないね。私のこの上がったモチベーションはどこへぶつければいいんだよぉ」
「俺は別に君を倒したいわけじゃない。彼女を、ジャズや大事な人を守れればそれだけでいいんだよ!」
「あらあら、向上心ゼロ宣言は年寄りに嫌われるよ。お兄さんって、社会に出たら絶対に苦労するタイプだね。もっと積極的に発言しろとかなんとか言われちゃうのが目に見えてるよ。ま、私は別にいいんだけね。ただ、その大事な人を守れるかはまた別の話だけどさ!」
ブライダルは腰からハンドガンを抜くと発砲。
そしてハンドガンを撃ちながらミックスへと突っ込んでくる。
ミックスは向かってくる彼女へ拳を振り上げたが、いとも簡単に避けられて後ろを取られてしまう。
「遅いねぇ、しかも動きも単調だ。そんなんじゃデートのバリエーションも全然ないでしょ? 毎回お家デートじゃ女は喜ばないよ」
「ホンットよく喋る子だな!」
「だから遅いって。それに相手を楽しませることが苦手ならせめて聞き上手じゃなきゃッ!」
振り返って攻撃しようとしたミックスだったが、その瞬間にブライダルは体を捻りながら飛び上がり、彼へアッパーカットを喰らわせた。
その攻撃で吹き飛ばされたミックスは、先ほどまでニコが寝ていたベットに叩きつけられる。
「この対空技には無敵時間があるって知らないの? って、聞こえてないか。さてと、そろそろ飽きてきたし、終わらせようかな」
動かないミックスにブライダルが近づいていく。
だが、彼女の前にジャズが立つ。
「ここからあたしが相手だよ。こいつをやらせるもんか!」
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