#208
――今夜は雲一つない空が広がっていた。
星空がよく見え、月が
ミックスは今アリアと二人で大きな
それはクリーンがベンチで眠ってしまい、リトルたちもニコに抱きついたまま目を
さすがに眠っている女子中学生を置いてはいけないと、ヘルキャットは残って眠っているクリーンたちを見ている。
「見てみなよ、アリア。すっごくキレイな景色だよ」
並んで歩くミックスが彼女に言う。
バイオニクス共和国にある公園の多くは、開設段階から
湖水公園から離れた位置にある、共和国を象徴する管制塔――アーティフィシャルタワーがその景色に
その景色を
それは以前――。
ブロード、ヘルキャット共に、今見ているアーティフィシャルタワーを破壊しようとしたからだった。
今でも共和国を
その気持ちは変わらない。
だが、そこに住む者たち――いや、自分たちの計画を止めたマシーナリーウイルスの
この人は、何の得もないのにただジャズが困っていたというだけで、命を
彼一人だけの力ではなかったが、この人が動かなければハザードクラスである
そして、何よりも彼は親友に対する自分の気持ちを受け止めてくれた――。
(わ、私ったらなんでこんな感情にッ!? ミックスくんはジャズの恋人なんですよッ!)
「どうしたのアリア?」
「いえッ! ななな、なんでもないですよッ!!」
長く小さい手をブンブン左右に振るアリア。
「そ、それにしても、
ミックスは何故かそわそわしているアリアに首を
さっきからどうしたのだろう?
いつもの落ち着いている彼女らしくないなと、彼は思う。
「そういえばそうだね。いつもならカップルが大勢いるんだけど」
「カカ、カップルッ!? ここはそんないかがわしい場所だったんですかッ!?」
「いやアリアさん……別にいかがわしくはないと思うけど……」
「バイオニクス共和国……
「いや……共和国も関係ないと思うけど……」
らしくないアリアを見て呆れていたミックスだったが。
その直後に違和感が
共和国の住民はそのほとんどが学生と科学者だ。
現在、時間は午後の十時過ぎ。
科学者はまだしも学生――特に大学生くらいならまだ遊んでいる時間だ。
だが、この湖水公園には不自然なほど人気がない。
目の前の湖を
「
声が聞こえる。
月と星に照らされた湖の上から、何か乗り物に
「死ぬ前に、可愛い女の子デートしたかったんですってか? そいつはいいな」
音はない、
男は何か乗り物に跨って湖の上からこちらに向かってきているというのに、エンジン音もプロペラが回る音もしない。
不気味な
「なら、もう思い残すことはねぇよな?」
そこには、パーマがかかった長髪をなびかせた
ハザードクラス――
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