#202

クリーンに試着しちゃくが終わったことをげられ、バーチャルミラーにうつるヘルキャットとアリアを見るミックス。


ヘルキャットはハイネックのドルマンブルゾンにワイドパンツ。


一方アリアのほうはスキニージーンズにマウンテンパーカー。


二人ともインナーにはシンプルなブラウスを選択せんたくしたようだった。


「どうでしょうか? 二人のご希望に沿ったものをえらんでみたのですが?」


「うん、いいんじゃない。最近ちょっと寒くなってきたし、これからの季節きせつにはちょうど良さそうな格好かっこうだよ」


ミックスはクリーンが機能的なスタイルの服を選んだことをめると、彼女は少しがっかりしたような表情をした。


本当なら彼女的には、もっとガーリーなものにしたかったようだ。


最初は女の子らしい可愛らしさを全面に出したデザインの服をコーディネートし、 ひと目でわかる女性らしい要素、たとえばリボンやフリルといったモチーフや、レース、シフォンといった素材が使った小花柄しょうかへい水玉みずたま模様もようといった繊細せんさいで愛らしいがらを選びたかったらしいが、ヘルキャットとアリアがそれをこばんだという。


「それにスカートもいやがれまして、優しいパステルカラーなども拒否きょひされてしまいましたよ……」


「私たちは軍人よッ! スカートなんてヒラヒラしたもの身に着けてたら、いざとういうとき戦えないわッ!」


「それに……クリーンちゃんの選ぶスカートは、たけみじかすぎるんですぅ……」


断固だんこ拒否するといった感じのヘルキャットの後ろから、申し訳なさそうにつぶやくアリア。


ミックスは、長身の彼女が小さいヘルキャットの後ろに身をちぢめてかくれているのが、なんだか可愛らしいと思った。


「というわけなんで……当初の予定よていよりも地味じみな仕上がりになってしまいました……」


シュンとしながらいうクリーン。


だが、ミックスはナイスコーディネートだと彼女のことをはげます。


「でもさ、ヘルキャットはぶかぶかなシルエットがかわいいし、アリアはモデルさんみたいにスタイルがいいから、ほそいパンツは足がキレイに見えるからいい感じだよ」


「な、なななッ!? かわいいですってッ!?」


「えぇッ!? モデルさんみたいってッ!?」


ミックスの言葉を聞いた二人は顔を真っ赤にして声を張り上げた。


そして、自分たちは可愛くも綺麗きれいでもないと言い始める。


「かわいいだなんて、私は軍人なのよッ! しかもストリング帝国の将校しょうこうなのよッ! そりゃアリアはモデルみたいに綺麗でスタイルいいけど……。ともかくそういうこと言わないでくれるッ!」


「そうです! からかうにしてもそんなこと言わないでくださいッ! たしかにヘルキャットはかわいいですけど……」


否定ひていしながらもたがいを褒め合っていて、ミックスとクリーンはなんだか微笑ほほましい気持ちになった。


ニコと小雪リトル スノー小鉄リトル スティールもミックスたちと同じ気持ちのようで、とてもうれしそうに鳴いている。


「あッ、その顔はバカにしてるわねッ!」


「してないよ。というか、どうしてそう思うんだよ?」


「うるさいッ! もう目的は果たしたんだからさっさとこんな浮ついた場所から出ましょうよッ!」


ヘルキャットがそういうとアリアは恥ずかしそうに彼女の後についていく。


ミックスがなんだかなぁ~と思っていると、クリーンが彼の肩をポンポンとたたいた。


「なに? ああそうか、ウェディングのことだね」


「それもありますが、まずはお会計をお願いします」


「……そうか、忘れてたよ。やっぱあの二人……お金もってなかったんだ……」


それからレジカウンターへと行き、店員のドローンへミックスが支払いを済ますのだった。

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