番外編 ジャズのお料理奮闘記
「さあ、ジャズ姉さん。
「う、うん。ご
ジャズは今アミノの家の
いつになく
それは今まで
「好きな人にお菓子を作ってあげたいというジャズ姉さんに、ウェディングは
「ちがうわよッ! なに
「うんうん、カワイイですな~。ウェディングはそんな
「だからちがうっていってんでしょッ!」
ジャズは、いろいろと世話になったミックスへ何かプレゼントをしたほうがいいと考え、アーティフィシャルタワーの
そこでウェディングは、女の子の
だが、ジャズは
その
ストリング帝国では、料理はすべて
オート·デッシュと呼ばれる機械にカードリッジをはめ
とても
そのため、ジャズはストリング帝国の多くの
「言われていた
クッキーを作るために
バター、グラニュー
ウェディングはそれらを見てコクコクと
ジャズはそんなウェディングと同じように親指を立てて返す。
「クッキーくらいでそこまで真剣なれるなんて……先生は
そんな
「まずはマーガリンをボウルに入れます。次にグラニュー糖を入れます。卵も入れてスプーンで押しつぶすように
ジャズは、ウェディングの
その顔は、まるでこれから
「そして、ここからは
「なるほど、料理の
ジャズは親の
アミノやウェディングは、ジャズのあまりの
「だけど固いクッキーをプレゼントされて、ミックスくんは
「なにをおっしゃるアミノ先生。
「それそうかもしれませんね」
アミノに
次にプレーン
その後、オーブンを
予熱や型抜く用意が終わったら生地を冷蔵庫から出し、
ちなみにウェディングが用意したのはハートの形の型抜き。
それを見たジャズは顔を
「そして、さっき予熱したオーブンで十分から十二分ほど焼けば出来上がりですよッ!」
「それで
「焼いている
「オッケー。ここまでくれば
だが、
ジャズがオーブンから出したのは、こんがりというよりは焼け
「よし! これで完成ね」
しかしジャズは、このクッキーに
アミノがそれを一つ手に取り、小声で
「やはり固い……。これをミックスくんに食べさせて
「ダイジョブダイジョブッ! ココアクッキーだっていえば喜んで食べますよッ!」
「それって、どう考えてもウソじゃないですか……」
ウェディングが
しかし
その後、ジャズはミックスの家へと向かう。
「よし、着いたわ……」
ミックスの家の前で呟くジャズ。
今さらだが、彼女は自分がしていることが
恋人でもないのに手作りクッキーをプレゼントするなんて――。
まるで自分が彼のことを好きだといっているようじゃないか。
「で、でもこれはちがうんだから! これはあれよ……ただ、
「ひとんちの前で何してんの?」
ジャズが一人で
開かれた扉から出てきた彼を見て、ジャズは思わずクッキーを入れていた
「いや、あれよあれ……
「ふーん。でもちょうどよかった。いまご飯できたところだからジャズも食べていきなよ」
入るように言われたジャズは、
ちょうどお昼時というのもあって、その匂いは彼女の
「今日はビーフシチューに
ミックスは小さなテーブルに
ニコも彼を手伝い、サラダの盛り合わせやパンを用意し、三人分のコップに水を
「お
ジャズが気まずそうにテーブルにつくと、ニコは嬉しそうに鳴いている。
そして、すべての料理がテーブルに置かれるとミックスがいただきますと言い、彼女もニコも彼に続いた。
「いや~我ながらうまくいったね。姉さんの味がちゃんと
「そういえばあんたの姉さんって料理
「うん。姉さんもだけど、兄さんの料理も最高なんだ。今は仕事で国を出ちゃってるけど。
「へ、へえ……プロ
ジャズはスプーンで肉を取ると、じっくりとそれを
そして、ゆっくりとそれを口に
実際にニコは、
「おいおいニコたらっ、そんなに慌てなくても誰も取らないし、まだまだおかわりもあるよ」
味音痴のジャズでもわかる。
これは時間をかけて
ミックスは姉
それを聞いたジャズは、せっかくの美味しい料理を食べながらも
「あれ……もしかして美味しくなかった?」
そんな彼女のことを見て心配そうに
彼の言葉が聞こえたのか、それまで
そして、どこか
「美味しい……」
「えッ?」
「このシチュー……すっごく美味しいっていったのッ!」
「そっか、それならよかったよ。まだまだあるからたくさん食べてね」
いきなり
彼はもう、彼女が突然大声をあげることも慣れてしまったのだろう。
特に気にしていないようだ。
「すごいよね……。こんな美味しいものを毎日食べてたんじゃ、あたしの作ったものなんて……」
「うん? こんなものでよかったら毎日作ってあげるよ」
「うッ!? バ、バカッ! そういう
ミックスは、相変わらずよくわからないと思いながら
だが、ニコはそんな二人を見て喜びながらシチューを食べ続けていた。
ジャズはしかめっ面でシチューを口にして呟く。
「今はまだムリ……だけど、近いうちに
「なにブツブツ言ってんの?」
「なんでもない。それよりもおかわりちょうだい!」
「食うのはやッ!?」
それからジャズはニコと一緒にミックスのシチューを食べ尽くした。
ミックスはそんな彼女たちを見て満足そうにしている。
(いつか絶対に料理でこいつを驚かせてやる。そしたら……そしたら……)
顔を真っ赤にしながら考え事をするジャズ。
そして彼女は、結局作ったクッキーをミックスには渡さずに持ち帰ることにしたのだった。
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