第20話 クラスメイトは腐女子?
「蓮君、最近付き合い良くないよね。例の親戚の人、中々仕事見つからないの?」
「いや、うーん。働きだしたよ?近所のケーキ屋のバイトだけど。社会復帰に向けて頑張っているんだ」
ちなみに即採用されてました。美人って特だよね。でも売れ残ったケーキ貰ってくるものだから、またポッチャリ度が増している気がします。それは良いんですけどね。糖尿病とか大丈夫か心配です。
……忘れているであろう読者のために一応説明しよう。彼女の名前は田中緑。仲の良いクラスメイトだ。彼女とは部活も同じであり、丁度今も部活終わりに雑談していた所だ。
「ふーん。多分だけど、先週の土曜にイオンに行った時に見たんだよね。蓮君と、女の人が二人。一人は親戚の人でしょ?もう一人の人は?」
「ああ。その人はアレ。ロコさんの友人だね。友人というか親友。心配らしくてちょいちょい見に来るんだ」
ほむほむのことね。まぁ嘘ではないだろう。異世界まで付いてくるくらいだし。
「ふーん。親戚の人、ロコさんっていうんだ。二人とも凄い美人よね。蓮君も満更じゃない感じ?」
……なんだか凄く、刺々しい感じがするのは気のせいだろうか。選択肢を間違えるとバッドエンド行き的な?
「満更じゃないと言えばその通りだけど、何せ年齢が違い過ぎるからね。そもそも親戚だし、普通に無くない?」
「ふーん。あの人達、何歳なの?」
「うーん。そう言われると何歳なんだろうなぁ。30手前とかそんな感じじゃないかな」
基本的な教養は身に付いているっぽいし少なくとも高校は出ているだろう。あとは11年向こうの世界にいたという情報からするとその辺りが妥当だと思う。ほむほむは分からん。10万30歳くらいじゃね?
「ふーん?15歳差か……。とりあえず一安心と思うべきか。油断してはならない気もするわね」
なんかブツブツ言ってる……。でもまぁ、年の差でいったらそうなんだけど、現実の問題では見た目だからなぁ。そう言う意味で言えば全然有りよりの有りではある。土下座である。俺が相手にされるかという問題はあるけど。
「蓮君、女性の性欲が爆発するのは30代前半と言われているわ。人によっては多少の前後はあるでしょう。……私はね、蓮君の貞操が心配なのよ」
「……あの、俺が童貞なことが前提なんですがそれは」
なんなの。なんで知ってるの?俺、ほむほむ以外に言ったことないよ?
「決めた。私は今日、蓮君の家に行く。件の女が信頼に足る人物かどうかを見極める。そして、もやもや悩んでいる今の私と決別する」
無駄に高い行動力と男らしさ。何が彼女をそこまでさせるのか。
「いや、あの、家の中散らかってるんで。エロ本とか散乱してるんで」
「……それは私としてはむしろ知っておきたい情報ね」
「というか緑ちゃんというお客さんがいたらさ、そもそも素のロコさんは見れないんじゃないかな。つまり、来たところで何も判断できない」
できればあまり来て欲しくない。嘘に嘘を重ねても、いつかはボロが出る。必ずしも隠し通す必要は無いわけだが、噂が立ったりして、それが学校や最悪警察なんかに伝わると騒ぎが大きくなる可能もある。
「やけに嫌がるわね。もしかしてだけど、異世界から戻ってきた元女勇者が記憶を無くした状態で居候してたりするのかしら」
「…………」
なんでやねん。アカシックレコードと接続でもしてんのか。
「……蓮君、色々問答を重ねて来た訳だけど、実の所、私は蓮君の住んでいるアパートに行ってみたいだけなの。だって、高校生なのに一人暮らしなのよ?この機会を逃さない手はない。想像してみて?いつもの四人で夜中まで騒いでさ、皆が寝静まってからこっそり二人で起きるの。こんなの駄目だよ!大丈夫。飲み物にメラトニン混ぜておいたから。絶対に誰も起きない。そう言う問題じゃ……!後は、うるさい口を閉じれば完璧だ。……!?ってな具合に盛り上がるの。…………蓮君と、碧斗の二人で」
「いかんでしょ」
「私と美紅の二人は実は起きていてね。二人の情事を息を殺して見守るの。良い。実に良いわ。……結局のところ私が気にしているのはね、蓮君の親戚の人が、"こちら側"の人間なのかどうかってこと」
「いや、そもそも俺も碧斗も"そちら側"じゃないんですけど……」
「そう。それなら、夜中に起きる二人は蓮君と私になるかもね。私が口を塞ぐ役ね」
「……!?」
おいおい。ただの腐女子と見せ掛けてとんだ食わせものだぜ。
「ま、さっきの話は冗談としてさ。別に今日じゃなくても良いから、遊びに行かせてよ」
「……まぁ、うん。分かった」
ということで俺は緑ちゃんを家に招く事にした。事前に準備をしておけば大丈夫だろう。拒否を続けるのも逆に怪しいしね。
いや、緑ちゃんの発言に少し期待したとか、そう言うんじゃないからね?
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