第7話 サービスシーンのないお風呂回

 さて。一通り彼女に通販のやり方とネットサーフィン等の暇潰しの方法を教えたところで良い時間になった。お風呂に入って寝よう。


「お風呂の準備しますけど、先に入りますか?」


「きゃー!れん太さんのエッチ!」


 しずかちゃんかよ。


「……ロコさん、早い早い。それに心配しなくても別に覗きませんよ。それで、どうします?」


「えっと、じゃあお先に良いかな。あのね、実は私、少し疲れてるの」


 そんな気はしてた。初めて会った時、彼女はガチガチに装備を固めていた。もし魔王を倒してから日が経っているならそれはおかしいのだ。恐らく魔討伐直後に戻ってきたのではないか。だから所持金も大したことなかったのだ。報酬なんて貰ってないのだろう。


「えへへ。こっちに戻ってきてから魔法使い過ぎちゃったから。特にオノマトペ魔法」


 ええ……。そういうこと?あの魔法ってそんなに体力使うの?マジで無駄遣い……。


 ということで、お風呂にはロコさんが先に入る事になった。その間に俺は彼女の寝床を用意する。至れり尽くせり。旅館かな?

 

「キャー!」


 それも終わり、明日の学校の準備をしている途中お風呂場から聞こえる悲鳴。と、破壊音?嫌な予感……。俺は迷わずお風呂場に直行。


「どうしました!?」


 こ、これは……。


 浴槽の中で体を隠すロコさん。特に変わった様子はない。問題はシャワー周辺。うん。見事にぶっ壊れてる。破損した蛇口の根元の方からお湯と水が同時に噴水してる。もう二度とシャワー使えないねぇ。


「私、浴槽から出てシャワーを浴びようとしたの。そ、そしたら水が出て、ビックリしちゃったの!あのね、その、ごめんなさい……」


 水?ああ、なるほど。


「すみません、うちのお風呂、お湯が出るまで少しだけ時間が掛かるんです。俺の注意喚起不足です」


 入るときは浴槽にお湯を張った直後だから問題なかったのだ。しばらく浴槽で温まっている間に水になってしまったんだろうな。しょうがない。


「水、止めて来ますね。水道業者、いや、まずは管理人さんかな。連絡もしないと」


 幸い、浴槽にお湯は有るから体を洗えない事はない。飲み水も基本ペットボトルだから困らない。洗い物も既に済ませている。トイレは……。しょうがない。少しだけ出しておくか。うん。目先の問題はない。明日からは暫く銭湯と外食かな。あ。修理費用の言い訳だけ考えとかないと。


 水の元栓を止めて直ぐに彼女の元に戻る。扉越しに話し掛ける。


「ロコさん、すみませんけど、今日の所は浴槽のお湯で体とか洗ってください。あ、タオルとかここに置いとくんで」


「でんくん、ごべんで……」


 え。めっちゃ泣いてる。可哀想……。なんとかしないと。


「いやほら、ロコさんから貰った金貨で楽勝に修理出来るから気にしないで下さい。さっきも言いましたけど、俺のミスですし」


「うう……。わだぢ、だめなこでごべん……。うう……!」


「……あ、そうだ。ロコさんなら魔法でなんとか出来るんじゃないですかね。ほら、水魔法と火炎魔法を組み合わせてお湯出してみたり?」


「…………」


 へんじがない。ただのしかばねのようだ。いや、今死なれたら色々困るけど。


「どうですかね」


「……それよ!蓮君、あったま良いんだから!お湯というか、なんなら私、直せるよ!」


 直せるんかい。


 彼女は魔法でお湯を出して体を洗いお風呂から上がった後、例のリラックマのパジャマを着てから再びお風呂へ。お風呂に入ってる間に治さなかった理由を聞くと「私の魔法、見たいでしょ?凄いんだから!」と言われた。確かに見たい。彼女は彼女で、凄い私を見てほしい的な感じがあるので利害は一致してる。ちなみにサラシを止めてブラジャーになった彼女の体のメリハリは半端なくて目のやり場に困る。目の保養である。


 尺の都合で今日はここまで。待て!!次回!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る