3.その男、百鬼夜行丸

 どうやら圃場に謎の怪人が現れたらしい、という噂は、満怒羅剛羅マンドラゴラ愚連隊ぐれんたいの総長である彼の耳へ素早く入った――元陸上自衛隊の元帥げんすいにして、身長3メートルの巨漢。現役時代は「不死身の鬼」とまで呼ばれた漢の中の漢、百鬼夜行丸ひゃっきやこうまる。彼こそがすべての元凶にして、諸悪の権化であった。彼は今、簡易無線に怒声を浴びせ続けていた。


「ええい、情けない、けしからん、嘆かわしい! 何をしておる! それでも満怒羅剛羅マンドラゴラ愚連隊ぐれんたいの隊員か!? たった一人のぞくに何を手こずっておるか!」


『そ、それが――恐ろしく強い男で――右腕が、く――ザッ、ザザザザザザーーーー………』


「クソッ! なんだってんだ!」


 百鬼夜行丸は無線を握りつぶし、地面に叩きつけた。かつて無線だった破片は指令室の床を貫通し、小さな穴を生じさせた。なんと恐ろしい怪力であろうか!?


「やっとマンドラゴラの量産体制が整ったってのに、なんでこんな目に遭わなくちゃならねぇ! また一から全部やり直しじゃねぇか! ……オイ! アレを出せ!!」


 百鬼夜行丸の怒声に、手近な部下は震え上がった。


「し、しかしアレはまだ試作の段階で!」


「やかましいーーーーッッ!! この俺様に指図するでないわーーーッ!!」


 百鬼夜行丸は部下にデコピンを喰らわせた!! その衝撃をまともに受けた哀れな部下は、な、なんと!? 頭部を1,800度回転させ壮絶に死亡! 紅蓮華!!! 指令室の床に血の華が咲く! 


「待ってやがれェェェ不届き者ォォォォォォォォォォォォオォォォォォォォォォォォオォォォォォオォォォォォォォォ!! この俺様の最終兵器――『ヘル・トラクター』でブチブチにブチ殺してくれるわァァァァァァァ!!」


 百鬼夜行丸は、力強い足取りで格納庫へと向かって行った……!

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