第8話

紅魔の里(もといめぐみんの家)に戻ると、一人の少女が俺たちの元にやってきた。

「......誰かと思えば、あるえではないですか」

「やあ!久しぶりめぐみん、それと......ゆんゆん!」

「あるえ......?ああ、ニート作家の――」

「に、ニートじゃないし!それに、作家ってのは立派な職業なんだからね!」

あるえとか言う少女は、なにやら作家志望があるらしい。

たしか、俺があるえの小説を破ったことがあるんだよな。

「君はたしか、あたしの小説を破った人だよね!あの時ことは忘れてないんだから!」

「ああ、俺もよーく覚えてるよ。たしかあれは、ひどい小説だった気が――」

「ひ、ひどいってどういう事!?あ、あたしは頑張って書いたのに!」

「はいはい分かりましたから!どうして二人は会うたびに突っかかるんですかっ!?」

俺とあるえの言い争いに、めぐみんが若干キレ気味で割り込んできた。

「はぁ......あのですね、二人はもう少し仲良くなれないんですか?」

と言うめぐみんに対し。

「この人とは無理だね!」

「ああ、俺も同感」

「......そうですか」

俺とあるえの即答により、めぐみんはガックリと肩を落とした。

「ま、まあまあ......これから仲良くなれる日が来ると思うよ......?」

めぐみんの肩に手を触れながらそう言うゆんゆんだが。

「そうですか......?もう無理だと思うんですけど」

「そ、そう言わずにさ......いつの日か仲良くなってくれますよね......?」

ゆんゆんは、俺とあるえを交互に見ながらそう言うものの。

「「いや無理!」」

と、俺とあるえの声がハモってしまった。


「ひゃっほう!」

「......なんでカズマが私の部屋にいるんですか」

時間が過ぎるは早いもので、外はすっかり暗くなっていた。

今日はすごく疲れたので早く寝たいと思ったのだが......。

「......え?」

「え?じゃないですよ!どうして私の部屋にカズマがいるのか聞いてるんです!」

あれ......ここって、俺の部屋だと思ったのだが......まさかのロリっ子めぐみんの部屋だったとは......。

「いや、俺はただ......俺の部屋に来たつもりなんだけどな......あれぇ?」

「どういう事ですかそれ......部屋を間違えるほどのバカでしたっけ?」

「違う、俺はバカじゃない。幸運に満ち溢れたカズマさんだ」

「......そういうのはどうでもいいんですけど」

そうですか......。

「それで......早く私のベッドから降りてくださいよ。自分の部屋に戻ってください」

「えぇ......今せっかく寝ようと思ったのにな......なあ、このまま寝てもいい?」

「............しょうがないですね。今日だけですよ?」

めぐみんは観念したかのようにそう言った。

「はぁ......なんか、前にもこんなことなかったですか?」

「ん?......ああ、そう言えばあったな。めぐみんが色々してくれるとか言ってたアレ」

「い、色々と言うかその......あれはただ、カズマが可哀想に思っただけで......!」

「はいはい。正直に言ってくれればいいのに。素直じゃないんだからぁー」

「......あんまり調子に乗ると、ここで爆裂魔法をぶっ放しますよ?」

「すいません」

結局の所、俺はめぐみんと一緒に寝ることになった。





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