第4話

「おーいこめっこー、いるかー?」

「めぐみんの小っちゃい子ー出ておいでー」

「だ、だからこめっこですって!」

こめっこ探しから10分が過ぎたあたり。

最初は家の中を探したが見当たらず、とうとう森の方まで来てしまっていた。

「あのさ、俺冬の時にあんまり外出たくないんだけど......」

「どうして?さては......家の中でずっとゴロゴロしていたいてんでしょ?私もその気持ちが分かるわー、でもね?今は、めぐみんの妹を探さなくちゃいけないの、分かった?」

「分かるけどさ......ていうか、お前もずっとゴロゴロしていたいのかよ」

「二人とも、ちゃんと探してくださいって!」

「「す、すいません......」」

めぐみんが声を荒げる中、中々こめっこが見当たらない。

「というか、こめっこって普段どこに行ってるんだよ?」

と、俺がめぐみんに訊いてみると。

「分かりません、あの子はいつも勝手にどこかに行ってるんです。基本的には、紅魔の敷地内にはいるんですが......今回は違いましたね」

とあっさりすぎる回答だった。

「はぁぁ......ほんとにどこ行っちゃったんだろね、カズマさんは知ってる?」

「俺が知ってるわけないだろバカ、知ってたらこんなに探さねーわ」

アクアが言う事には適当にツッコみを入れつつ、広範囲を探していった。


「――姉ちゃんー!」

こめっこ探しから30分ほどが経ち、俺達は一度紅魔の里に戻ろうとした時、ちょっと後ろの方から声が聞こえた。

「あ、いた」

俺は後方を見ると、元気よく手を振るこめっこの姿がいた。

「はぁぁ......まったく、どこ行ってたんですか?みんなに心配をかけないでくださいよ......」

「あははっごめんね、ちょっと冒険してたからー」

笑いながらそういうこめっこ。

それに対してめぐみんは、あきれた表情ではあるがどことなく優しい感じが見えた。

「......まあ、こめっこが無事でよかったです。さ、早く家に帰りましょう」

「家に帰って、私はお酒でも飲もうかしらねー」

「あ、俺も賛成」

「......ふたりとも、ほどほどにしてくださいよ?」

「分かってるって、なんならめぐみんも飲むか?」

「い、いえ、私は......ダクネスに怒られる気がするので、遠慮しておきます」

そんな会話を交えつつも、俺たちは無事に家にたどり着くことが出来た。


「ふぅ、無事にたどり着いた――って、この猫ってなに?」

めぐみんの家に帰宅し、ドアを開けるとそこには黒くて羽がついているという不思議な猫がいた。

「カズマ忘れたんですか?これは、私のペットのちょむすけですよ」

「あ、ああ、たしかそんなのいたな......」

ちょむすけ。

暴虐の魔獣とかウォルバクというような名前がついているらしい。なぜかは知らんが。

この猫は、こめっこが拾ってきたとされており、本来の目的ではその猫を食べるために、こめっこが大人になるまでの間、この猫を太らせてから食べるという目的で拾ってきたらしい。

で、まあ実際の所、あまりにも忍びなく思っためぐみんがそっと旅に連れ出したという事があったらしい。

「ちょっと何で逃げるのよー!」

「相変わらず、アクアの事は嫌っているんだな......」

「ええ、なぜかは知りませんけど......」

アクアがちょむすけに触ろうとすると、ちょむすけはなぜか逃げ回っていた。

その逃げ回るちょむすけを追いかけるアクア。

「ねぇなんでちょむすけは、私が触ろうとすると逃げるのかしら?」

追いかけっこに飽きたのか、すぐに俺の所にやってきた。

「知るかよ、もしかしたらお前のその魔力とかじゃないか?」

「私の魔力とちょむすけってどういう関係があるの?」

「......さあな」

正直な所、俺にもそのことについてはよく分からない。

俺やめぐみん、ダクネス、ゆんゆんとかにはすごく懐くのだが......アクアにいたっては、ずっと懐かれないのだ。

「ま、まあいいわ。それで......この後はどうするの?モンスターでも倒す?」

「いや、俺はもういい......あの事を思い出すからな」

「ああ、前に一度死んだ事ね」

「あのときは悲惨でしたよ、でもアクアがいて良かったですけど......」

俺はもう冬将軍に会いたくない。

ずっとそう思っているのだ。

「それじゃあ、いまからお酒の時間よ!」

アクアはそう言い放つと、冷蔵庫と言うのかそんなところから、3本のボトルを取り出した。

「ささ、ほらカズマさんもどう?」

「も、もらうか......」

「ほんとに、飲み過ぎないでくださいよ?」

めぐみんの忠告に頷きつつも、俺はアクアと酒を飲んでいった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る