4 歯科衛生士を目指す一方、追いかけてきた古橋仁朗と付き合う

 東京での嫌な経験も忘れ、24歳になった芹菜は、歯科衛生士になるための勉強をしている。実家から専門学校に通い、あと1年で卒業して国家試験を受けるつもりだ。

 東京を離れるにあたって、世話になった古橋仁朗にはちゃんと御礼をし、帰省先も教えておいた。その古橋は1年後に、芹菜を追いかけて来ていた。

「芹菜ちゃんを守れなくて、ごめん!今度はしっかりと守るよ。」

「あんたに私を守れるの?今度はって、これからどうするの?」

 それから古橋は仕事を見つけ、芹菜の近所に引っ越して来た。ストーカーに近い物があったが、何をしてくる訳でもなく、芹菜は申し出を受け入れていた。母親にも紹介し、人の良さそうな彼を母は気に入ったようだった。家に呼んで食事を食べさせたり、一緒に出掛けたりして、二人の距離は縮まっていった。

「古橋さんは、今の生活に満足しているの?私みたいな女のどこが良いの?」

「僕にとっては、芹菜ちゃんはいつまでもアイドルだから、このままで充分に満足してる。だから、芹菜ちゃんに好きな人ができたら邪魔はしないから、それまでは傍にいさせてほしいんだ。駄目かな?」

 彼の言葉に、芹菜は悪い気はしなかった。それは、彼に対して好意を持ち始めた証拠だった。

「分かったよ!だったら、芹菜と呼び付けで良いよ!私も仁朗と呼ぶから。それから、もう少し減量しようよ。私と付き合うなら、20キロは痩せないとね。」

「芹菜!初めて呼んでみたけど、ドキドキした。慣れるまでは、芹菜ちゃんでいいよ。俺、痩せるように頑張るからね!」

「痩せたら私から御ほうびを上げるからね。それと、ずっとバイトするつもりなの?就職しなくては、私と一緒に生活できないよ!仁朗…さん!」

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