5 杏が大学院を修了した日に、尊と告白をし合って結ばれる
二人が結ばれたのは、杏が法科大学院を修了した日だった。尊の部屋に行き、酒は飲まずにテイクアウトのピザを二人で食べながら、二人の関係について話し合っていた。
「私達はどういう関係?告白し合った覚えはないし、セフレでもないしね!」
「かつては同士として違和感はなかったけど、今はキスして抱き合って…。はっきりしなくちゃいけないよな!」
尊の真面目さは、恋愛にも理屈が必要のようで、一方の杏も成り行きでセックスをして恋人になるより、段階を踏んで行く事を望んでいた。
「杏ちゃんを好きだと意識し出したのは、はっきりと分からないけど、大学を卒業してからかな。1回目の司法試験に失敗した時、一緒に飲んで慰めてくれて、将来が不安定な俺にとっては有難かった。」
「そうだね、そんなことあったね。すごく落ち込んでたから、心配だったよ!」
さらに尊は、告白を続けた。
「それまでは一緒にいても、ここで雑魚寝をしても、何も感じなかったけど、去年の春ぐらいからは、もう駄目だった。前の彼女は鋭い女の感でそれを見抜いて、二人の仲がしっくりと行かなかったんだと思う。」
彼の告白を聞きながら、杏は自分の心の変化はいつだったかを考えていた。
「私が尊君を意識したのは、やっぱり去年の春かな。お互いの恋愛を告白し合って、何でこんなことを話しているんだろうと思いつつ、もしかしたら尊君が好きなんじゃないかと思ったの。それで、帰り際に…。」
「俺にキスして帰ったんだよね!」
杏はいたずらっ子のように、舌を出して照れていた。二人の思いは伝わり、熟し切った気持ちは、身体を求め合う事で確かめ合う事ができた。
翌朝、尊は同棲しようかと言ってきたが、それはできないと杏は断っていた。
24歳の杏にとって尊は、恋愛感情を呼び覚ましてくれた男性であり、良き理解者でもあった。
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