第2話 事故②
「兄ちゃん、大丈夫かい?」
窓が開いて、髭面の顔が飛び出してきた。よれよれのポロシャツ姿で恰幅のいい、いかにも地元の人といった風情の、人が好さそうなおっさんだ。
おっさんは、車を見て顔をしかめた。
「こいつは酷いな。近くまで乗せてってやるよ」
これで助かった。ほっと胸をなで下ろし、礼を言って、助手席に乗り込んだ。確かこの少し先に小さな食堂があるはずだ。取りあえず、そこで降ろして貰って、電話を借りて、誰かに迎えに来て貰おう、そう思っていたのだが……
食堂はなくなっていた。潰れたんだろうか?確かにあまり繁盛してはなさそうだったが。正月に来たときには、まだあったはずだ。仕方なく、その先のコンビニまで行くことにした。
だが、何てことだろう。コンビニもなくなっていた。食堂と同じで、跡形もない。不景気のせいだろうか?全くついてない。
さて、どうしたものか、と頭を抱えていると、おっさんが声をかけてきた。
「村まで乗せてってやるよ。あそこならバスも出てるし、何とかなるだろう」
ありがたく、好意に甘えることにした。
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