年下男子×年下男子

第19話 大人

　なんか……多分孝寿が来たことで、直くんがよりくっついて来るようになった。超絶かわいい！！ そこだけは孝寿グッジョブ！

　直くん、ちょっとは浮気される気持ちが分かったのかしら？ 私は人生で1度も浮気なんてしてないけど。

　浮気……されるばっかで。まあ、直くんは浮気と呼んでいいのか微妙なとこも一部あるけど。

　元彼達に関しては、尽くし過ぎるんだよなー。分かってるんだけど。どんどん男を付け上がらせてしまう。だから、浮気したってどうせ別れられないだろうと思われちゃうんだろうな。それも分かってる。

　でも、いざ浮気されるとどうしても許せなくて別れちゃう。

　もうコイツ俺から離れられないはずって思わせないように、私だって油断してたらどっか行っちゃうわよ？ って素振りが絶望的に下手。

　でも、香凛は言っていた。

「男が付け上がってきた所で他の男の影をチラつかせてまた自分を求めさせるのが得意だったけど、結婚したのは他の男をチラつかせると焦るんじゃなく不機嫌になる人＝他の男をチラつかせる必要ない人」

　だって！！

　チラつかせるどころか対面しちゃってるけど、拓人にも孝寿にも直くんは機嫌悪くなってた。

　浮気さえしなければ、この上ない彼氏なんだ。

　浮気さえしなければ、背が高くて顔はかっこいいし、甘えてくるとめちゃくちゃかわいいし、超頭いいし。

　浮気したくて女落としてるわけじゃないんだから、浮気に導く女から遠ざければ直くんは浮気なんてしないはず。

「もー、すぐ帰って来る。6時15分には帰って来る」

　玄関前の狭い廊下で、直くんが抱きしめて来る。

「いいよー、無理しないで。帰って来るの待ってるよ」

「俺、日曜日休みにしてもらおうかなあ。杏紗と1日一緒にいられるようになるし」

　あー、なんてかわいいこと言うんだろう！ ズタボロになってた心がみるみる修復されていくようだわ！

「今日曜日入れる人少ないらしいから、入ってあげて」

「おばあちゃんがオーナーから聞いた話？」

「うん、そう」

　ううん、シフト事情なんて知らない。言ってみたくなっただけ。

「行きたくない」

　とキスしてくる。

「行ってらっしゃい」

　とキスを返す。

　やっと、

「行ってきます」

　と直くんが家を出る。

　行ってらっしゃいーと手を振りながら、内心悶絶が止まらない。

　めちゃくちゃかわいい！！ あんな難解男子を私の掌の上でコロコロしてる感じ！

　幸せな気持ちで満たされたから、いつものように洗濯しててもなんか楽しい！

　行きたくないって言った時の顔、超絶かわいかったなあ。うわあ、思い出すだけでニヤけちゃうんだけど！

　お昼ごはん食べて、存分にのんびりくつろいで、お休みの日くらいは直くんが帰って来る前に、と掃除してるとピンポーンとインターホンが鳴った。

　ネットで買い物してたし宅配便かな、程度に思って気安くドアを開けた。

「俺、大人になったよ」

　と、孝寿が言った。