第6話「星」「いつか」「昨日」でしょっぱいお話を。

人は亡くなると星になるって誰が言い始めたんだろう。

いつか人はいなくなるけど、忘れない限り存在してる。

いつの日かこの悲しみも、懐かしさとか古傷めいた鈍痛だけが残るのかもしれない。


涙で頬がひりつく感覚がなくなるくらいに、膝を抱えてそんなことを考えていた。


それどころではなかったから、床のフローリングがまばらにしか見えない程度には物が散乱している。


ようやく悲しさ以外を認識できる自分に気づいた。ちょっとでいいから動こう。

散乱したカバンや喪服、ワイシャツを足で壁に寄せつつ、キッチンに向かう。

開いた冷蔵庫にはほとんど何もなかったが、戸棚に入ったままのレトルトカレーを見つけた。何で貰ったんだか忘れたけれど、これでいいだろう。


温めている間に立つのも面倒になり、床に座り込む。顔に手を当てると涙の流れた跡にヒリヒリとした感覚を覚え、舌に塩味を感じた気がした。


タイマーが鳴る。

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