第205話  通させない




 岩を集めて一塊にし、ソフィーへ投げつけた。双剣の連撃で小石程度に斬り裂き、自然と砂粒へ霧散させる。しかしその攻撃自体は単なる囮だった。彼女の背後には王都へ戻る冒険者。そして王都がある。後ろに攻撃を通させる訳にはいかない。従って、彼女は高威力の攻撃を避けられない。


 ゴーレムの攻撃は強力無比であることは解っている。遥か上空の雲を残らず吹き飛ばし、地上にまでその余波を届けるだけの爆発を伴う魔力を放出したのだから。それに撃ち出すまでが異常に早い。先に攻撃態勢を整えていたソフィーが遅れるほどの速度だった。


 そんな膨大な魔力の光線が、岩の塊を斬り裂いたソフィーへ放たれた。避ければ冒険者はたちどころに死に、王都には甚大な被害を出すことになるだろう。故に、ソフィーは放たれた魔力の光線を受け止めるしか無いのだ。しかし彼女には純粋な魔力の攻撃は効かない。手に持つ魔剣の能力があるからだ。




「してやったり……みたいに撃ってるけど、ボクには効かないよ。上乗せして返してあげるッ!!」


「■■■……■■■■■……■■■■■■■■」




 向けるのは左手に握る魔剣の鋒。瓜二つの剣だからこそ、どちらが吸収の能力を持っていて、どちらが放出の能力を持っているか判らない。把握しているのは使用者である彼女だけだ。超高威力の魔力を凝縮した光線が魔剣に吸収されていく。ゴーレムは己の魔力が吸われていくのを見ているだけで動こうとしない。


 魔力を吸収するところをゴーレムに見せるのは初めてだ。斬りつけるだけで纏っている魔力を吸収出来る魔剣は、普通に戦っているだけでは察しづらい。判断がつかないのだ。なので、ゴーレムにとって彼女が今やっている吸収は初見の技に等しい。何故己の魔力を吸収出来ているのかは解らないが“魔力”を吸うことが出来るということは理解した。


 放たれた全魔力を吸収し終えたソフィーは、右手の剣を持ち上げて番わせた。鋒に膨大な魔力が集中し、周りの小石が震えて浮かび上がる。空中で砕けて霧散するのを繰り返しており、高められ、凝縮している魔力の膨大さを知らしめる。対するゴーレムは、炎を象る瘴気の紋様を顔に集めた。生き物のように動く瘴気の紋様が魔力と混ざり合う。


 再び集められた膨大な魔力。加えられる瘴気の力。ソフィーは放たれた魔力に限界まで自身の魔力を上乗せする。両者の準備は整い、睨み合う一瞬の間を置き、ほぼ同時に撃ち放った。




「──────『番われた魔剣の煌めきフォトン・デュア・セイヴァー』ッ!!」


「■■■■■■……■■■■■■■ッ!!!!」




 ソフィーの膨大な魔力と、ゴーレムの瘴気混ざる膨大な魔力が激突する。どちらも一歩も譲らない拮抗状態が展開され、押し通そうとどちらも出力を下げずに魔力を放出し続ける。ソフィーは瞠目する。ゴーレムの魔力に加えて、自身の出力限界まで魔力を混ぜて放っているというのに、押し通すことができないのだ。


 先程撃った魔力の奔流は全力ではなかった。もしくは瘴気を混ぜた事で威力が上がったか。どちらにせよ、単純に2発分の魔力を込めているソフィーと互角の戦いをしているのがゴーレムだ。放っている魔力から考えて、これを背後に通したら冒険者は全員死ぬ。王都は外壁を紙屑のように破られ、内部に居る者達が大勢死ぬことになるだろう。


 本当ならば、既に押し切っている筈だった。まさか次に撃ってくる魔力がこうも高威力だとは思うまい。ソフィーは汗を流しながらその場で踏ん張り、押し切ってやろうと渾身の魔力を込めて放出する。ちょうど中間位置にある両者の魔力の衝突場所がゴーレム側に寄る。ソフィーが押してきたのだ。


 このまま無理矢理押す。歯を食いしばっているソフィーが1歩踏み出して前に進み始めた頃、ゴーレムに変化があった。3方向を向いている頭の岩に罅が入ったのだ。3つに分裂するように入った罅により、正面を向いている顔以外が砕けて地面に落ちる。すると周囲の岩を集め始めた。


 魔力を放ち続けているゴーレムと同じ体を形成し始める。蛇のような下半身にスリムな躯体。腕や翼。同じ見た目のゴーレムは2つ出来上がった。違いがあるとすれば瘴気の紋様がオリジナルのように刻まれていない事くらいだろうか。ソフィーは嫌な予感がした。このタイミングで分裂してくるのは、かなり嫌な予感がするのだ。


 分裂したゴーレムは魔力を集中させる。それも膨大な魔力だ。マズいとは思った。でもソフィーは今動けない。踏み締めるように前に進むのがやっとだったのに、急接近するなんて不可能だ。横に避けるのは論外。今すぐ押し切るのも厳しい。どうすれば良い。どうすれば切り抜けられる。そう思考している間に、撃つまでが早いゴーレムの魔力が放たれてしまった。


 加えられてしまう2本の膨大な魔力の奔流。威力が3倍に膨れ上がり、前に進んでいたソフィーの脚が止まった。踏ん張っているのが奇跡と言える力に抵抗しているが、ゴーレムの魔力量の方が圧倒的だ。噛み締めすぎて歯茎から血が流れるほど力んでいるが、魔力は押されていく。衝突場所がソフィーの方へ一気に寄ってきて、目前まで迫っていた。




「くッ……うぅ……っ!!だめ……だ……持ち堪え……られないぃ……っ!!──────ッ!!」


「■■■■■……■■■■■■■……ッ!!」


「■■■■■■……■■■■■■■■ッ!!」


「■■■■……■■■■■■……ッ!!」


「がッ……あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙──────ッ!!!!」




 極太となったゴーレム達の魔力の奔流が、ソフィーの魔力を完全に押し切って彼女の体を呑み込んだ。超高威力の魔力に晒され、激痛によりソフィーは叫び声を上げた。背を向けて逃げていた冒険者達が、その声を聞いてハッとする。逃げていた脚を止めて背後を振り返る。膨大な魔力は自分達の方へ来ない。押し負けたが、背後へは一切通さないよう受け止めていた。


 常人ならば骨すら残さず消し飛ぶような威力の魔力を、彼女は全身で受け止めた。魔剣による吸収は出来ない。何故か?ゴーレムが“魔力”を吸収する能力だと学習して、瘴気の力を混ぜ合わせているからである。余分なものが入り交じっている魔力は吸収出来ない。故にもう、受け止めるしか無いのだ。


 防御魔法すら間に合わず、腕を広げて自身の体を使い食い止める。気絶してもおかしくないのに、倒れたらそこで終わりだからという理由で意識を飛ばさないように踏ん張っている。やがて魔力の照射が十数秒に渡って行われ、最後は想像を絶する大爆発を起こした。


 立っていられない程の衝撃が突き抜ける。冒険者達はひっくり返り数メートル転がった。王都の外壁の表面は衝撃だけでいくらか削れた。黒い朦々とした巨大な黒煙が上がる。無事で済むとは思えない破壊力と爆発に、転がって地面に伏せている冒険者達はサッと蒼白い顔色となった。


 黒い朦々とした巨大な爆煙が風に流れて晴れていく。冒険者達が見たのは、クレーターのように砕けた地面の中央に、辛うじて立っている満身創痍なソフィーだった。今にも膝を折りそうな弱々しい姿。体中傷だらけで服も無惨なことになり、双剣など持っているのか指に引っ掛かっているのか判らないくらいだ。




「そ、ソフィー……っ!」


「うそ……だろ……『英雄』が……っ!」


「クソッ!俺達が居たから、ソフィーが身代わりになってあの攻撃を受けたんだッ!居なけりゃ避けられた筈だッ!」


「ど、どうすんだこれ……『英雄』でダメな奴を……俺達で倒せるのか……ッ!?3体に増えてんだぞッ!?」


「やるしかねーだろーがッ!俺達冒険者が退いたら、誰が王都守んだよッ!殿しんがり役とその他に別れて行動しろ!殿はゴーレムの撹乱!その他はソフィーを回収して診療所へ連れてけ!ぜってー死なせんなッ!」




 倒れていた体を起き上がらせて武器を構える。魔法陣を展開して魔法の準備もする。相対するゴーレムは3体。メインでオリジナルの方は黒い紋様があるので一目瞭然だが、普通に戦って勝てる相手では、もうなくなっていることはソフィーとの戦いを見ていて解っている。恐ろしい速度に膂力。打ち合えば取り敢えず死ぬ。反応出来なくても死ぬ。魔力の奔流ならば全滅だ。


 絶望的な状況下の中で、出来るのはソフィーの回収だけだ。立っているが、もう殆ど意識が無いのは見ていて明らかだ。ピクリとも動かないのだ。今の状態で攻撃されたらマズい。なので囮役を用意して撹乱をし、その間にソフィーを回収するのだ。死なせるのだけは絶対に避けなくてはならない。


 例え自分達が死んでも、ソフィーだけは……『英雄』だけはどうにか生き長らえさせる。すぐに回復する方法なんてものは無い。回復薬を使っても、所詮は自然治癒力を一時的に上げるだけの効能だ。すぐに戦える体にはならない。時間稼ぎにすらならないかも知れないが、何もしないよりマシだろう。


 雄叫びを上げて殿役の冒険者が先陣を切り、残りの者がソフィーの回収に向かう……と、行動する前に気配がした。相対するゴーレムのその奥。遠くからやって来る気配。ゴーレムに気を取られて気がつかなかったが、良く見れば誰かがこちらに近づいていた。冒険者達は焦ったように離れるように叫ぶ。純黒のローブを着た人物と、その肩に乗った純黒の使い魔に向けて。




「──────なんだ、『英雄』ともあろう者が死にかけているのか。てっきり私達が辿り着く前には倒しているものだと思っていたのだが」


「…………………。」


「はぁ……仕方ない。通り道の邪魔だからな、リュウちゃんは黒い紋様がある方を頼む。私はその他の2体をやろう」




「何やってんだ!ここは危険だから早く離れろッ!」


「コイツはSSS級の化け物だッ!」


「俺達が食い止めるから早く……ッ!!」




「騒々しいぞ──────むしろお前達の方が邪魔だ」




 純黒のローブを着た人物……オリヴィアの肩に乗ったリュウデリアが翼を広げて飛翔した。向かうのはゴーレムの方向。ふわりと飛んでいた状態から空気の壁を叩いた。忽然と姿を消したと思えば、オリジナルのゴーレムが吹き飛ばされていた。体当たりをしたようだ。胸元に蹴りを叩き込んで、胸部の岩を粉砕している。


 言われた通りオリジナルを引き剥がしたのを見届けると、オリヴィアが純黒なる魔力で双剣を造り出した。ソフィーと同じ全く同じ形の剣を二振り。手で握ると軽く振り、2度3度その場で小さく跳んだ。それだけで準備運動が終わった彼女の元へ、2体のゴーレムが同時に、凄まじい速度で接近して拳を振るった。


 オリヴィアよりも大きな体から繰り出される殴打は強力だ。それに速度もある。しかし彼女には当たらなかった。飛んでくる拳に剣を向ける。膂力勝負はせずに受け流し、流麗な動きで攻撃を躱した。そしてそのまま擦れ違うように腕を斬り裂いた。目にも止まらぬ絶技。細切れになる腕に、背後へ抜けているオリヴィア。


 ゴーレム達はソフィーと同じく強い人間だと認め、2対1で攻めに出た。斬り刻まれた腕を修復しながら、残る腕で連撃を入れる。それをオリヴィア正面から対抗した。逸らし、受け流し、回避する。その途中に腕を斬り裂いた。少しずつ短くなっていく腕に、腕の修復が間に合わない。2対1なのに速度で押され、後退していく。


 このままでは斬られると判断したゴーレム達は、背中で隠していた蛇のような下半身の先端。鋭く尖った部分を突然オリヴィアに向けた。串刺しにするつもりなのだろう。だが当たらなかった。その場に居た筈のオリヴィアが消えたのだ。何処へ消えたのだろうと探しているゴーレム達に口笛が吹かれる。聞こえた方向に顔を向けると、双剣を消して魔力の弓に魔力の矢を番えた彼女が、離れたところから見ていた。




「私はここだぞ。では死ね」


「■■■■■■……?」


「■■■■■……■■■■■■……──────」




 番えた矢を離すと、純黒なる魔力が凝縮された矢が放たれる。内包しているのはソフィーが放った魔力の光線の実に十数倍。避けなければ消し飛ぶだろう。だからゴーレム達は避けようとした。が、動けなかった。理由は単純だ。彼女を突き刺すつもりで伸ばした下半身が、いつの間にか斬り刻まれていたのだ。


 しまったと思った時には遅かった。莫大な魔力が込められた純黒の矢がゴーレムに触れた。その瞬間、天に向かって純黒の柱が聳えた。桁外れの魔力。質。密度に、2体のゴーレムの体は抵抗する事すら出来ず、砂粒も残らずに跡形も無く消し飛ばされた。


 聳えた魔力の柱の後には何も無い。底が見えないくらいに開けられた穴だけだ。ゴーレムの欠片すらも見当たらない。跡形も無く消し飛んだ後を見たオリヴィアは溜め息を吐いた。つまらん土の人形だったなと。




「■■■■■……■■■■■■■……ッ!!!!」


「……………………。」




 2体のゴーレムを消し飛ばしたオリヴィアを尻目に、リュウデリアの方も戦いが始まっていた。肩に乗っても大丈夫なくらいの大きさしかない使い魔に、上から何度も拳を叩き付けるゴーレム。拳に瘴気の力を集めて殴っているのに、殴られている方は何ともない。


 上から拳を叩き付けていることでリュウデリアの足下の地面が砕けているだけで、彼は微動だにしていない。ダメージなんて通っている筈も無く。ただ、ジッとゴーレムの事を見ていた。黄金の瞳がゴーレムを見つめる。まるで全て見透かされているような気分に陥りながら、両手を合わせて押し潰そうとした。




「ふぅ──────……」



「■■■■■■……■■■■■■……──────」




 内包する魔力を拳に集め、限界まで膂力を強化しての攻撃に、これならばどうだという意思が感じられる。が、その両の手を合わせた拳が彼に届く前に、拳へ息を吹き掛けられた。キラリと輝く黒い吐息。まるで気温の低い場所で息を吐いたかのようだ。太陽の光を浴びて煌めく純黒の吐息が触れた拳は、忽ち純黒に凍りつく。


 手から始まり腕、肩、胴体に下半身と範囲は一瞬にして広がっていき、浸蝕されていく。やがて全身は純黒色に凍りついてしまい動かなくなった。リュウデリアは使い魔という体なので4足歩行で近づき、尻尾で軽く叩いた。すると、叩いた場所から罅が入り、それは全体へと広がって崩れていった。


 黒い靄の瘴気は出ない。故に修復はされない。何故なら凍りついた時に瘴気は純黒に浸蝕されてしまっていたから。体は修復されず、ゴーレムの核ごと砕けてしまった。最後は砂粒になるくらい砕けていき、風に乗って消えた。『英雄』ソフィーが倒せなかったゴーレムを、突然やって来て斃してしまったオリヴィア達に、冒険者達は驚きを隠せない。


 あの『英雄』が勝てなかった魔物だ。後ろに守るべき者達が居たので本来の戦いが出来なかったとは言え、その魔物を苦もなく斃した。なんという奴だと騒然となった時、どうにか立っていたソフィーが後ろに倒れ込んだ。どさりと音を立てながら双剣を手放して倒れる。急いで回収しに行こうと思った冒険者よりも先に、近くに居たオリヴィアが傍により、双剣を左腕に抱え、ソフィーの襟首を掴んで引き摺って歩き出した




「まったく。世話の焼ける小娘だ。王都がーと言って向かい、その結果がこれでは笑い話にもならん」


「な、なぁ。ソフィーは俺達のために戦ってくれたんだ。もう少し運び方ってもんが……」


「運び方ァ?何故私がそんな配慮をしてやらねばならん。知るかそんなもの。それよりも邪魔だ。私の進行方向に出てくるな。退け。そもそも男が私に話し掛けるな。……さ、おいでリュウちゃん」


「…………………。」




「……っ。あの魔導士もヤバいが、使い魔の方もヤバい」


「見られただけで殺されるかと思った……」


「……ソフィーを預かりたいが、無理を言ったら何されるか分からん。……俺達はギルマスに報告しに帰るぞ!ソフィーはあの人に任せろ!」




 底知れない何かを感じ取った冒険者達は、これ以上オリヴィア達に何かを言うことはなかった。その代わりに、最後にソフィーを診療所へ連れて行ってくれと叫んだ。そしてその後は急いでギルドマスターの元へ行き、事の顛末を報告している。


 オリヴィアは右手にソフィーの襟首を掴んだまま引き摺っていき、王都の中へ入っていった。ボロボロで生きているのかさえ怪しい『英雄』の姿に、擦れ違う住人達が口を手で覆い信じられない目を向ける。雑な運び方に何かを言おうとしても、純黒のローブに身を包んだオリヴィアの姿に怯えて何も言えなかった。


 結局、誰も何も言えないままオリヴィアはソフィーを診療所まで引き摺っていった。食べ歩きの時に見て何となく覚えていた診療所の入口まで来ると勝手に中へ入り、驚いている看護師を無視して廊下を進み、空いている部屋のベッドにソフィーを放り投げた。




「治すならさっさと治した方が良いな。気配が小さくなっている。放っておけばそろそろ死ぬぞ」


「……っ!!傷薬と回復薬をありったけ持ってきてちょうだい!ガーゼと包帯もね!急いで!」


「は、はい!」




 途端に慌ただしくなった診療所を興味なさそうにフードの中で見ていたオリヴィアは、すぐに踵を返して出て行ってしまった。看護師達はそれに気づかない。それよりも、本当に死にかけているソフィーを治そうとするのに必死だったのだ。





 謎の強力なゴーレムとの戦いは終わった。ソフィーの手ではなく、王都へ帰ってきたオリヴィアとリュウデリアが跡形も無く消し飛ばすという形で、終わったのだ。







 ──────────────────



 ソフィー


 背後に王都と冒険者がいたため、3倍魔力光線を避けることが出来ず直撃。背後に通さないために全身で受けた事が1番のダメージになった。守らないといけない者達が居なければ、もっと普通に戦えていたし勝っていたかも知れない。


 現在診療所にて集中治療を受けている。生死の境を彷徨っているので、意識を取り戻すか死ぬかは医師達の腕に掛かっている。後ほど王城に居る凄腕の医師が駆け付ける模様。





 オリヴィア


 気配でソフィーが負けそうになっていたのは知っていた。でも別に歩く速度は変えなかった。冒険者達から見えてしまう距離になったらリュウデリアが使い魔の役に戻ってしまったので、組んでいた腕を離されて寂しそうにしていた。


 最初双剣でゴーレムの相手をしたのは、ソフィーが使っていて武器の中でパッと思い浮かんだから。最後は消し飛ばすつもりだったので準備運動みたいなもの。弓はまだちょっと教えてもらっただけ。





 リュウデリア


 そういえば槍やら刀やら剣やらと、オリヴィアに近接の武器の使い方を教えていたが遠距離の武器を教えていなかった事に気がつき、ちょっとだけ弓を教えた。まだ自分もマスターしていないので、マスターしたらちゃんと教えるつもり。


 ゴーレムの攻撃を受けていたのは、瘴気の紋様を観察していたから。痛くも痒くも無いので受けても大丈夫。観察を終えたら凍らせて砕いて斃した。純黒に瘴気もクソも無い。ゴーレムにとって1番理不尽な相手。



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