第169話 忍者ロボというのもロマンだから、いっか
アルフィンの地下研究施設――通称アルフィン工房――ではオルレーヌ王国が生み出した
レオンハルトと老竜ザルティスの発案による新技術を盛り込んだ極地用
まず、水陸両用
専属テスト
通称Dトリトンと呼ばれることになったこの機体のみがマリンブルーに塗装され、多大な戦果を挙げることになる
技術の粋を込め、設計・開発が進められたレオンハルト専用
「また、随分と変わったね……」
「うふふっ、そうでしょう?」
いつも通り、お姫様抱っこされています。
さすがに慣れてきたので、あまり恥ずかしくはありません。
嘘です……。
工房にお邪魔しているのですが、お姫様抱っこされ、髪を弄ばれながらは恥ずかしい気持ちの方が上回ります。
「背中の
「ええ、かわいいでしょう? 羽根の方がかわいいと思いますの」
「そ、そうなんだ」
レオの声が微妙に上ずったのは気のせいかしら?
ペネロペの背部に装備したウイングバインダー兼特殊兵装の
理由? かわいいからですわ。
他に何か、理由があるのかしら?
「尻尾も生えたようだけど、これも武装かな」
「えぇ? それはレオ対策ですのよ」
「ちょっと聞こえなかったけど?」
オートクレールの構造と飛竜や蠍の尾を参考にした新規追加兵装です。
死角から、狙える利点も大きいので隠し武器といったところかしら?
そういうレオだって、オデュッセウスのショルダーバインダーと篭手に内蔵型の新兵装を搭載させたのを知ってますのよ?
「こんなのなくてもリーナって、足癖が悪いよね?」
「そ、そんなことありませんけど!」
つい手が出るのではなく、蹴ってしまうことはありますけれど。
レオを蹴ったことは一度もないですわ。
蹴ったら、蹴ったでレオが変な性癖に目覚めそうですし……。
避けた方がいいですものね!
一度、つい蹴ろうとしたら、逆に酷い目に遭ったのを思い出しましたわ。
「で、これが新しいヤツだね」
「はい。
パールホワイトを基調色としたオデュッセウスとペネロペの隣に両機より、やや小型で対照的な黒を基調とした人型のモノが立っています。
それが
幸いなことに
闇夜を思わせる漆黒の全身はどちらかといえば、丸みを帯びていた原型機である
極力削ぎ落した装甲により、防御力は低くなりましたけど、それを補って余りある圧倒的な機動性と回避力を手に入れた究極のスピードスターらしい、ですわ。
私が積極的に関わったのはペネロペだけですから、これはザルティス爺主導で立案された開発計画でしたかしら?
「彼ってさ、これ必要なのかな」
「私もそこは疑問ではありますのよ?」
彼の持っている力は未知数。
常識が通用しないという意味では私はともかくとして、レオでさえも気配を感じきれないところからも分かります。
一度、どの程度の戦闘力があるのかを測る為、修復した
一対一でも余裕でしたけど、複数を相手にしても全く、息を乱さずに寸断し、叩き潰していましたから、専用の機体はいらないとレオが思うのも無理はないのです。
「まあ、忍者ロボというのもロマンだから、いっか」
あら? レオは良く分からない理由で納得したのね。
そうですわね。
アンディには警護、諜報、謀略と今でもたくさんの任務をこなしているわ。
この
『御意』『承知した』といつも通りのアンディに
「
「ええ。それにここまでの調査結果ではコリネウスは森で力を蓄えたようですわ」
「力を蓄える、か。ホントに厄介な置き土産だね」
「ひ、ひゃぁい」
だから、真面目な話をしながら、『何もしてないよ』の体で胸を揉むのはやめて欲しいですの。
だいたい、器用過ぎません?
私の体重を支えているのにどうして、そんなに器用に揉めるのかしら?
弱いのを知っていて、ゆっくり揉みながら、器用に蕾まで摘まんでくるんですもの。
そのせいで『はい』しか、言えないのだわ。
「じゃあさ、コリネウスが片付いたら、チャイナドレスを着てくれるよね?」
「ひ、ひゃい」
え? あら? 今、迂闊なことを口走ったような気が……。
だって、反論しようとしたら、レオが摘まむんですもの、ずるいですわ。
「本当? もう着てくれないかと思ったから、嬉しいな」
素直に喜んでいる彼を見ると『着たくないですわ』と言おうと思っていたことは隠しておこうと思います。
もっと喜んで欲しいんですもの。
あのドレス、デザインは悪くないと思いますのよ?
ただ、腕も足も出し過ぎているデザインですし、胸までも……いえ、それよりも下着を着けられないのがいけないと思いますの。
それではすぐに……
「だから、いいんだけどね。それにリーナってさ……後ろからの方が
「何か、仰いました?」
「い、いや、何も言ってないよ?」
聞き取れなかったのですけど、何か、レオが言いませんでした?
『言いましたよね?』と言わせたくないのか、誤魔化そうとしているのか。
どちらなのでしょう?
胸を揉む手がさらにいやらしくなったのですけど!
「さてっと。それじゃ、続きは帰ってからだね。行こうか」
「は、はぁい」
いけない……。
急にキリッとして、真剣な表情になったレオに見惚れてしまったのですけど。
さっき、胸を揉まれ続けたのもあって、下着が汚れたかも。
「大丈夫だよ? 後で僕に任せて」
「ん? えぇ?」
え? どういう意味ですの?
レオがまた、変な趣味に目覚めたんじゃないでしょうね。
今度は下着に興味津々なんて、大丈夫かしら?
何だか、嬉しそうなレオに戸惑う私を
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