第146話 何か、大事なことを忘れている気がしますけど、何だったかしら?

 レオにパスタを食べさせ、お口をふきふきする。

 私の至福の一時。

 それを崩すとはドラゴン、許すまじ。

 どこのドラゴンなのでしょう?


 そういう訳で急遽、緊急対策会議が招集されました。

 会議ですのよね?

 誰もいませんけど……。

 あなたの膝の上にいてもよろしいのかしら?

 本当にこれが会議ですの?


「会議だよ?」


 だから、私の心はそんなに読みやすいんですの!?


「うん。僕には分かるだけだって。リーナのことだからね」

「わ、わたくしだって、レオのこと……」


 それなのに分からないことがあるのは愛が足りないのかしら?

 レオともっと愛を育まないといけないのですわ。

 でも、具体的に何をすれば、いいのかしら?

 愛があれば、恥ずかしくないはず……


「恥じらうところがかわいいね」

「ふぁっ!?」


 恥じらわない方がおかしいと思いますのよ?

 ただ膝の上に乗せられているだけでしたら、耐えられますわ。

 人目があったら、もっと恥ずかしいのですけど、なくてもずっと……その手はやめていただきたいのですけど?


「また、少し大きくなった?」

「な、なってませんわ」


 なったとしたら、レオがずっと揉んでいるせいだと思いますの。

 それも右に偏っている気がしますわ。

 ちょっと非難の意味を込めて、彼のことを上目遣いに見つめると……


「じゃあ、両方揉んでいいってこと?」

「違いますけど!?」


 そんなやり取りを眉一つ動かさず、報告書だけを置いていくアンディに足を向けて、寝られませんわね。

 でも、レオが『そう言わずにちょっとだけだから、ね? バランス良く揉むから』と言うので『ちょっとだけでしたら』と許してしまったのがいけなかったのかしら?


 そもそも、その時点で彼の掌の上で踊らされていたようなものですもの。

 胸を散々、揉まれているだけで何度も意識を失いかけました。

 マッサージの腕が上がってますわ。

 それに豊胸に関係ない敏感な場所まで刺激されるので身が持ちません。

 肩で息をしている私を他所よそに『続きしようか?』と言われたら、断れませんでしょう?


 🦁 🦁 🦁


 それから、日が落ちるまでずっとレオに愛され続けて、ぐったりしている私なのです。

 彼を愛しているのは気持ちだけではないところを表したかったので……

 上になってみたり、足でしたり、口や手だけではなく、胸でもしたのですけど、倍になって返ってくるんですもの。

 とても耐えられませんわ。

 結局、レオのペースになって、ぐったりするのはいつものことですわね。


 シーツを巻き、うつ伏せになって、呆けていると少しは疲れが取れる気がします。

 気休めではありますけど、少しは楽ですわ。


「それ、ダメだよ! リーナのきれいなおっぱいが歪むじゃないか」

「えぇ?」

「はい、ここ」


 仰向けに直されましたわ。

 レオが腕を枕にするようにと指で示しました。

 俗にいう腕枕ですわね。

 彼の力強い腕に包まれると守られているみたいですごく気分が落ち着きます。


「どう?」

「レオが感じられて、気持ちいいですわ」

「そっか」


 そうやって、暫くの間、どちらも口を開くことはないのに互いを感じられるのって、幸せですわ。

 何か、大事なことを忘れている気がしますけど、何だったかしら?

 思い出せないのですが何だか、とても眠くて……


「そうだね。眠いね……」

「はい……眠いですわ」


 抱き締め合って、互いの体温を感じていると幸せ過ぎて、ポカポカしてきますの。

 襲い掛かって来る眠気という名の強大な悪魔の前にあっさりと白旗を上げることになっても仕方のないことですわ。

 だって、それはとても気持ちが良くて、幸せなことなんですもの。

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