第143話 ロマンが過ぎるせいではないのですよ?
アルフィン城の地下研究施設でレオと一緒にザルティス爺のありがたいお話を聞いております。
ありがたすぎて、また夢の世界に旅立ってしまいそう……。
学院長のありがたく長いお話に似ているのかしら?
でも、眠くなったことはあっても本当に寝てしまったことはないのですけど。
これは多分にレオのせいだと思いますのよ?
いつものようにレオの膝の上に乗せられていると温かくて、心地良くて、眠くなってくるんですもの。
人前で膝の上に乗せられて、腰をしっかりと押さえられている。
とても恥ずかしいはずなのになぜか、落ち着いてしまって……。
眠いのですわ。
ええ、決して、お話が長いせいではありませんの。
ロマンが過ぎるせいではないのですよ?
「じゃあ、あのリアクターバインダーの魔力波を武装として、転用出来るってことかな?」
「そうですのう。まさにそれですのう。得意とされる雷魔法をそこに乗せるとしますのう」
「接近戦用の格闘武装って、ところかぁ。いいね」
「いえいえ、違いますのう。これは近距離から中距離までこなせる万能な武装でしてのう」
「それ、いいね」
レオがお目目をキラキラさせてますわね。
物騒な玩具で目を輝かせるのは彼の悪い癖かしら?
「事故が発生したのも魔力波が想定外の魔力漏れを起こしたせいですのう」
「そうなんだ? それは解決出来そうかな?」
「解決どころではありませんのう。ふぉふぉふぉ」
ザルティス爺が顎鬚を撫でながら、笑っている時はたいてい、良からぬことを考えている時ですわね。
半歩くらい夢の世界に足を踏み入れてましたが、ちょっと目が冴えてきましたわ。
ザルティス爺のお話を掻い摘むと飛行用の翼であるリアクターバインダーで発生した事故は設計段階では想定出来なかった事象が起きた為だったということみたい。
そして、それを逆に利用することで、圧倒的な挙動と反応速度を得られることも。
これはまた、レオに厄介な玩具を与えてしまいましたわ……。
🤖 🤖 🤖
背部に装備されたリアクターバインダー・
掌には固定武装・
こうして、オデュッセウスに装備される特殊兵装の大まかな仕様が決まったのです。
ペネロペにも私の希望通り、両腕の手甲に
背部には遠隔操作型の特殊兵装・
これで一安心ですわ。
ようやく、寝ても……
「寝ちゃ駄目だよ? もうお昼だし、ちゃんと食べなきゃ」
「で、でも……」
『眠いのですわ』という前にレオの指が唇を押さえるものですから、二の句が継げません。
うぅ、何ですの?
この手慣れた感じ、なすすべもないのですけど!
「大丈夫だよ。ちゃんと食べさせてあげるよ」
「ふぇ!?」
レオは思わずドキッとするような笑みを浮かべると、簡単に私を横抱きに抱えました。
手際がいいですわね。
最近、自分で歩いている記憶があまりないのですけど、レオが甘やかすせいかしら?
でも、どこに向かいますの?
厨房? それともお部屋でなのかしら?
方向がおかしいですわね。
このままではお城を出てしまいますけど!?
「今日のお昼はここにしようか」
「はい?」
お姫様抱っこで連れて来られたのはお城の食堂でもなければ、私達の部屋でもありません。
朱色を基調とした看板を掲げた城下町にある小さな食事処の前にいるのです。
何を提供しているお店なのかしら?
見たことがない店構えですわ。
調味料の香りが鼻を刺激しますわ。
お昼時が近いこともあるのでしょうけど、行列が出来るくらいに人気があるようです。
そして、とても目立っているような気がしますの……。
お姫様抱っこのせいですわね。
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