第126話 ちょっとしかめっ面の彼ですら、かわいいと思えるのです
城の地下に新しい研究室が設けられました。
目的は鹵獲した機体を含めた
アルフィンのもっとも致命的な弱点は人口の少なさです。
他領より流入してきた流民を受け入れたことで多少の改善はされたもののこればかりは長期的な視野で取り組まなければなりませんもの。
これでは実際に有事が起き、いざ防衛戦を行おうにも圧倒的に人手が足りませんわ。
そこで考えたのが少ない人的資源でも効果的なのが魔動兵なのです。
軍事力は行使せずとも示威でも十二分に効果を表すはず……。
研究室というよりは研究棟と言った方がしっくりくる広いスペースを与え、優秀な人材を揃えました。
ただ、その対象物の方は不完全な物ばかりですわ。
完全な姿を保っているのはク・ホリンだけ。
胴を寸断されたロムルスはまだ、ましな方と言えるかしら?
ヘクトルはほぼ屑鉄ですもの。
ここまで壊れてますとほとんどの部品を新造で組み上げないといけないわね。
ある程度の残骸でも平気ですわね。
「これ、本当に直るかな」
「うちの技術者は優秀ですもの。大丈夫ですわ」
「そっかぁ。あんなにグチャグチャでも何とか、なるんだ」
レオは呆れているというより、単純に心配しているようで眉をひそめています。
そんなちょっとしかめっ面の彼ですら、かわいいと思えるのです。
これだと冷たい目で見られても……なんて、つい見つめていると視線が絡み合ってしまいます。
「どうしたの、リーナ?」
「な、なんでもありませんわ」
下から見上げてますと余計に見惚れてしまう自分がちょっと恥ずかしいわ。
だって、横抱きに抱えられているんですもの。
耳を澄ませば、レオの鼓動が聞こえてきて、余計にドキドキしてきます。
え? お姫様抱っこされているのが不思議?
不思議ではありませんのよ?
昼から、休む暇なくずっとでしたもの。
回復魔法を使えば、痛みに関しては解決なのですけど……『使うの?』って、仔犬のようにうるうるした瞳で言われたら、頷くしかありませんでしょう?
「そろそろ、行こうか。邪魔になりそうだからね」
それは特に意味が込められている訳ではなくて、
どこに行くのでしょうね?
寝室はまだ早い時間ですわ。
向かっているのは寝室がある上層ではないようです。
まさかの大浴場と思いましたけど、そこでもないですわね。
おかしいですわ。
これでは外に出てしまいます。
「きれい」
結果として、外に出たのですけど、予想していたのとは全く、違う場所でした。
城の裏手にはアルフィン湖の美しい湖面が広がっていて、季節の変わり目に見せる様々な表情がとても美しいのです。
その湖面が眼下に広がっているものですから、つい『きれい』なんて言葉が出てしまいました。
『リーナの方がきれいだよ』って、言いながら首筋に痕付けられるとどう反応すれば、いいのかしら?
風景に見惚れているところに不意打ちのようにキスですもの。
これも素直に『ふぁっ』って、反応するしか、ありませんわ。
「今度こそ、行こうか?」
「今日は優しくしてね」
「もちろん!」
多分、無理でしょうけど。
最初は力を抑えてくれて、出来るだけ優しく、扱ってくれるのよね。
それこそ、お姫様みたいに大事にしてくれるから、嬉しいですわ。
でも、最初の方だけですもの。
一回、
その後、本当に予想通りに愛されましたわ。
さすがに私の体調を
ただ、丁寧というより……ねちっこくなっただけとも言えますわ。
足の指を舐められるだけで背筋にゾクッと感じる私がおかしいのかもしれませんけど。
でも、レオの舌は刺激が強すぎるんですもの!
我慢出来ませんわ……。
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