夜も一緒

 私が本当にユウくんの姉だったとします。

 高校生になっていて、それなりに女らしくなっている私が一緒にお風呂に入るのって、ありなのかな?

 弟のことが本当の好きでどうしようもないから、一緒に入る。

 別にそれ自体はありだと思う。

 でも、それって家族だからであって、異性として好きだからではないよね。


 じゃあ、私はどうなの?

 ユウくんのことが好き。

 それは本当の気持ち。

 誰にも負けない。

 でも、それは家族として好き?

 違う。

 弟だから好き?

 違う。


 それなのにどうして、受け入れちゃったのかしら。


「ユリ姉ちゃん、ありがとね」

「え、ええ」


 ユウくんがマイ枕を持って部屋にやって来て、いつも元気な目を伏せがちに「一人寝るのが怖いんだ」って言うから、私のベッドで一緒に寝ることにしたの。

 彼はまだ小学生なんだから、そういうこともあるに違いないって思って、快く受け入れるべきって思ったから。


「もうちょいギュッとしてくれるといいなー」

「こ、こう?」


 寝るって、寝ることよね?

 そうよ、目を閉じて、身体を休めることよ。

 一緒に寝るって、彼が不安を感じないようにすれば、いいだけよね。

 少なくとも向き合って、彼を胸に抱くような姿勢で寝るのは変でしょ?。

 しかも意外とユウくんは注文が多くて。

 「もうちょっと近付いて」くらいは序の口でどんどん、エスカレートしていって、今は彼の息がくすぐったいくらいの距離の近さ。

 寝にくいのか、彼が頭を動かすと何だか、変な気分になってしまいそう。


 そう! よりによってこういう時に限って、何でブラ付けなかったの、私。

 押さえつけて寝ると育ちにくいって、学校で仲の良い子に聞いたのが今日の昼。

 締め付けられるから、辛くてもなるべく下着を付けた方が形が崩れなくて、きれいになれるって思っていた私の胸は……ちょっと育っていない。

 本当にちょっとであって、決して貧しかったりはしない……はずなの。

 そう慎ましいだけなのよ?

 だから、試しに付けないで寝てみようと思った私は悪くない。

 運が悪かっただけだわ。


「お姉ちゃん、いい匂いがする」

「ふぁ」


 何か、変な声が出て、自分でもびっくりした。

 だって、私の胸にぴったりと顔を寄せたユウくんが喋るものだから、ダイレクトにその感触が伝わってきたんだもの。

 違います! 感じているんじゃありません!

 ちょっと驚いただけです。


「ユウくん、目を閉じて、ちゃんと寝よう?」

「うん」


 元気のいい返事をして、目を閉じてくれたユウくん。

 良かった、これでゆっくり寝られるわ!


 甘かった……。

 寝ているユウくんは谷間に顔を擦り付けるように何度も動かすし、寝言は聞こえないのにパジャマを食まれて、微妙に胸もはむはむされた気がする。

 おまけに手を伸ばして、お尻を撫でるように触ってくる。

 まるで感触楽しんでいるんじゃないの?って疑いたくなるくらいに執拗に撫でるし、揉んでくるんだけど、ユウくんは目を閉じて、寝息を立てているから、これはきっと無意識でやっているだけ。

 夢でも見ているだけに違いないと思って、我慢することにしたの。

 結局、妙に頭が冴えてしまって、一睡も出来なかったのだ。

 「あん」って、変に甘い声出そうになるのを止めるのがどれだけ、辛かったか。

 明日はちゃんとブラ付けて、寝るんだから。

 そう心で固く誓う。

 自分で触るのより、いいかもとか思ってないから。


 今日の授業で寝落ちしないか、それだけが心配で憂鬱だわ。

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