第79話 裏切りは許さないわ

「んっ……いつもより……あんっ……おっきいの」


 互いの手を握って、指を絡め合いながら、彼の大きく膨らんだ怒張を受け入れました。

 初めて結ばれた時に感じた痛みに比べれば、大したことないのですけど、それなりにきています。

 耐えられるのはレオの顔を見ていられる安心感と繋いでいる手を通して、伝わる想いのお陰。


 私が上に騎乗って、愛し合うことはあまりなかったと思いますの。

 初めての体験のはずなのに初めてではない気がします。

 なぜかしら?

 なんて、余計なことを考えでもして、意識を他に向けないとレオのがいつもより大きいのです。

 茂みを分け入って、中をジワジワと犯すようにゆっくりと侵入してくる彼のモノが大きい……ううん?

 大きすぎるのですわ。

 でも、挿入はいってくるのを調節するのは自分の腰次第なのです。

 体勢的に筋力を使うのでゆっくりと腰を落とすのは辛いですわ。

 あっ。

 これ駄目かもしれません。

 大きくて、これ以上、挿入はいってきたら、おかしくなりそう。


「そのままで平気?」


 こんな時でも心配してくれるなんて、嬉しい。

 レオの優しさに応えたい。

 彼の喜んでいる顔が見たい。

 繋いでいる手から貰える勇気に励まされるように体重をかけ、腰をさらに沈めていくと互いの肉と肉が擦れ合って、快感が引き出されて。

 これは本当に駄目ですわね。


 上で自分で受け入れないといけないから、より感じるだけですわ。

 中を割くようにゆっくりと突き進んでくる熱い杭は意識全部を持っていこうと意思を持っているみたいで。

 油断していると意識が刈り取られそうになるのを我慢して、彼のモノをさらに深く受け入れました。


「ふぅ……はぁ」

「大丈夫?」


 何か、激しい運動でもしているかのように息遣いが荒くなってきます

 辛いからではありません。

 むしろ気持ち良すぎて、興奮している変な私なのです。

 時間をかけたのに呑み込んだレオの分身はまだ、半分とちょっとだけ。

 これ以上、受け入れたら、どうなっちゃうのかしら?


「リーナ、僕の方がもたないかも。ごめん」

「ふぇ!?」


 絡め合っていた指が解かれて、レオの手が力強く掴んだのは私の腰でした。

 それはもしかして、もしかしますのね?


「ひゃぅ」


 腰を掴まれたら、どうされるのかなんて、鈍い私でも分かりますわ。

 熱く滾った杭が一気に膣中なかを貫きました。

 自重による負荷もあって、いつも以上に奥深くまで侵入した彼自身は扉にキスするようにノックしています。


「あんっ、すごいの。レオの深いの」

「くっ、僕ももう、持たない! 気持ちいいよ」


 私の腰を力強い手で押さえたレオはただ快感を貪るように激しく上下させます。

 逃げることも出来ませんし、与えられる快感で思考に霧がかかったみたいで逃げたいとも思わない私は『あんっ』『やぁっ』とただ、啼くだけでされるがままになっていました。

 奥まで貫かれ、抜ける寸前まで一気に引き抜かれ、その時に与えられる快感でもう、何も考えられません。


 涎は上だけでなく下からも垂れていて、酷い有様になっていると思いますの。

 そんな私を見ていたレオにも思うところがあったのかしら?

 手の置き場所を変えたのです。

 もう腰を押さえる必要がなくなったと感じたのか、伸ばされた手が掴んだのは私の双丘でした。

 下から持ち上げるように強く揉んだかと思ったら、感触を楽しむようにゆっくり優しく揉んでくれるのです。

 そういえば、レオは胸が好なのを忘れていましたわ。

 胸のマッサージは趣味と実益を兼ねていたのね?


 しつこいくらいに揉みしだかれて、気持ち良さに油断していると先端の蕾を意地悪く、きゅっと抓ってくるのですから。

 それを私は快感と感じているみたい。

 自覚は無いのですけど、その瞬間、彼の分身をきつく締めているようで。


「うっ、すごい締まった。もうやばいかも」

「私も……もうダメぇ。これ以上はもう。レオ」

「リーナ。出る。もう出そうだよ。くっ」


 彼の先っぽがまた、扉を激しくノックするとビクビクと震え、暴れながら、白く熱いものを吐き出しました。

 心の中までレオに満たされるような想いに浸って、放心状態に陥った私ですが彼とはまだ繋がったままなのです。

 硬さも熱さも失われていません。


「私のこと忘れないでね」

「絶対に忘れないよ」


 少しでも自分を刻みつけたくて、彼にもっと気持ち良くなって欲しいと必要以上に動きました。

 あまり頑強ではない身体のことを忘れ、頑張り過ぎたのでしょう。

 『今日のリーナはすごいね』って喜んでくれるものですから、はしたないことに自分から腰を振っていたのです。

 私が気持ち良かっただけでは本末転倒ですわ。


 レオに気持ち良くなってもらいたいのではなく、自分が気持ち良くなりたいだけだった。

 それではいけないのです。

 『リーナ、もうそろそろ?』って、レオが言ったのに『まだ、もっと欲しいのですわ』と腰を振っていたのは誰ですの?

 ええ、私ですわね……。


 でも、心は満たされ膣中なかも彼の熱で満たされて、大満足ですわ。

 身体は使いすぎて、万全とは言えませんけど。


 🐉 🐉 🐉


 レオと別れてから、どれくらいの時間が過ぎたのかしら?

 不安に苛まれた心は棘が刺さったようでレオのことがどれだけ好きで愛しているのかと改めて、確認出来ました。

 昨夜の熱い秘め事を考えただけで胸の奥がキュンとして、ポカポカするのです。

 あまり想像していると下衣が汚れそうですから、我慢しないといけませんわ。


 そうなのです。

 アンとニールとともにカイさまの村オデンセに向かっているのです。

 カイさまには目隠しをしています。

 それには大きな理由があります。


「ニール、あとどれくらいかかりそうかしら?」


 私の問いに答えるニールはいつもの愛らしい姿ではありません。

 本来の姿である巨大な漆黒のドラゴンとなり、空高くを羽ばたいているのです。


「マーマ、もう少しだよ」


 六枚の大きな翼を広げ、高速で青い空を進んでいますから、駅馬車で三日の距離も半日もかかりません。

 彼女が本気で飛べば、もっと速度が出せるのですが耐えられない方もいますでしょう?

 これくらいの速度が限界ですのよね。


 ニールの真の姿を見ると怯える人が少なからずいるのは事実です。

 こんなにも愛らしく、かわいいニールが恐ろしく見えるなんて、おかしいですわね。

 ですから、カイさまには少しの間、目隠しで我慢していただく他ないのです。


 🐉 🐉 🐉


「お嬢さま。本当に凍り付いてますねぇ」

「そうね。見事な手並みですわ」


 暑い季節であるにも関わらず、異常気象に襲われたオデンセ村は一面が白銀に覆い尽くされていました。

 家々は白く凍り付き、何かのオブジェクトのようですし、運悪く外に取り残されたのかしら?

 恐怖に怯えた表情のまま、氷漬けの生き人形にされた村人の姿もちらほら見受けられます。

 これだけの凍気を出すには相当に実力がないと出来ないですわね。


「マーマ、寒いねー」


 上から下まで完全防寒具で身を包んでいても感じる肌寒さですものね。

 私は『氷の魔女』ですから平気なのですけど。

 ニールはまだ、幼いですから、具合が悪くならないように最高の防寒具をあつらえたのです。

 防寒効果が高い毛のふさふさした帽子をかぶり、子供用のモコモコしたコートを着込んだニールはとてもかわいいですわ。

 見ているだけで幸せを感じられますわね。

 アンは…寒いんですのね?

 狼の血を引く獣人ですのにガタガタと震えているのは元々、寒い地方の出身ではないのが影響しているのかしら?

 アンにも似合う防寒具が必要みたい。


「裏切りは許さないわ……カイ。もう絶対に離さない」


 どことなく寂し気でありながら、棘のあるような怒りを帯びた声。

 まだ、大人になり切れていない少女の声がどこからともなく、聞こえてきます。

 そして、一陣の風が吹くとアンの後ろに立っていたカイさまの姿が掻き消えていました。

 あらあら? 大変ですわね。

 どうしましょう。


「お嬢さま。また、何か悪いことを考えてませんか?」

「いいえ、何も。ただ、楽しくなりそうと思っているだけですわ」

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