第59話 これが『虎の尾を踏む』なのかしら?
これでもかというほどの修羅場を経験してきましたわ。
それなのにいざという時に動けないなんて、駄目ですわね……。
でも、生々しい内臓が露出し、露わになった激しく鼓動する心臓を目にするとどうにもいけません。
どうにかしなければならないのに動けないのです。
襲ってくる酷い吐き気と気を許したら、意識を失いかける自分自身の弱さ。
両方と戦わなくてはいけないのですから。
どうにか耐えられることが出来ましたけど、何も出来ない傍観者では役に立ちませんわ。
「やめるんだ!」
身動ぎ一つ出来ない私と違って、レオが動いてくれました。
イシドロさまを助けるべく、
デュランダルやレーヴァティンを抜かないのは部屋の狭さという物理的な要因もありますけど、何よりも切れ味が良すぎるのが問題なのでしょう。
救出対象であるイシドロさまに被害が及びかねないと考え、咄嗟に素手の格闘を仕掛けるなんて、さすがレオですわ。
あらあら? 避けましたわね。
恐るべき動体視力と反射神経ですわ。
彼の動きについていける者はそういないのですけれど、並の魔物ではないということなのかしら?
一瞬の隙をついて、異形の魔物が動き出しました。
ガラス窓を突き破る耳障りな音が静寂を突き破り、魔物が漆黒の闇の中へと消えていきます。
レオはなぜか、魔物を追いかけようとしません。
それどころか、蹲ったまま、動けないでいる私の方へと近付いてくるのです。
「リーナ、大丈夫?」
そう言うと私を横抱きに抱え上げて、ギュッと抱き締めてくれました。
彼の体温が感じられて、それまであった不快感が消えていく気がしますわ。
ずっと、こうしていたいけど、そうも言ってられませんものね。
「うん……でも、逃げられましたわね」
「そうだね」
ふふっ、なんてね。
私がただ、魔物の見た目に怖気づいていただけと思いまして?
確かにあの時の不快さは異常でしたわ。
油断したら、胃の中の物が全て、逆流してきそうでしたもの。
でも、いつもの調子で魔法を使えないなりにちょっとした役に立つ魔法をこっそりと使っていたのです。
「ねぇ、レオ。本当は逃がしていないって言ったら?」
「えっ? どういうこと?」
「どこにいても分かる楔を打ち込んでおきましたのよ」
ほとんど魔力を消費せず、魔力で構成した楔を生成し、打ち込んだモノの居場所を知らせてくれる初級の便利な魔法です。
元々、良く迷子になる娘の為に考案し、次元を自在に移動出来る彼女に合わせて、機能を進化させました。
相手に悟らせることなく、追尾が出来る非常に使い勝手がいい魔法なのです。
「じゃあ、今日はもう動かないかな」
「獲物を獲り損ねたのですし、正体がバレた以上、動きを見せないと思いますわ。郊外に向けてかなりの速度で走っているようですもの」
「そっか。じゃあ、行こうか?」
「えぇ? あ、あの私、腰がちょっと抜けていて……」
「大丈夫だよ。リーナは動かなくてもいいよ? 僕に任せてよ」
ニコッと爽やかな笑顔でそう言ってくれるレオはとてもかっこよくて…あの、でも……それって、私の身が持ちますの?
何か、大事なことを忘れているような気がするのですけども。
結局、お姫さま抱っこをされたまま、鼻歌を歌って上機嫌なレオにベッドまでお持ち帰りされるのでした。
🦁 🦁 🦁
腰が抜けて、力の入らない私のことを心配してくれたのかしら?
レオは壊れ物でも扱うように丁寧に優しく、ベッドの上に寝かせてくれました。
髪を留めるえんじの色をしたリボンが解かれるのを手始めに慣れた手つきで服を脱がしていきます。
身構える暇すらなく、あっという間に生まれたままの姿にされるのですから、抵抗しようもありませんわ。
長年、身の回りの世話をしてくれるアンよりも上手って、どういうことかしら?
なんて思っている間に視界に入るのはもはや見慣れたレオのレオ……。
元気ですわね。
見慣れたせい?
それともレオのだから、なのかしら?
最近、かわいく見えてきたのよね。
そんなことを考えている間にレオまでもう一糸纏わぬ姿になっていました。
「リーナ……さっきの見てて、濡れた?」
「ひゃぅ」
レオは指で大事なところをなぞるようにツゥーと撫でてから、その腹に付いたものを舐め取りました。
まだ、十二歳で子供っぽくて、あどけないところが抜けないのにその仕草は何だか、とても煽情的で大人びて見えます。
見ているだけで心臓の鼓動が早まって、おかしくなりそうですわ。
「ち、違いますぅ! そういうレオこそ、そんなに元気になってますわ」
そうです。
レオのアレはもう、すごいことになっていて。
さっき見た時も元気で大きかったのですけど、今はもうはちきれないばかりに膨張して、反り返ってますもの。
「これはリーナのせいなんだけど? 責任取ってくれるよね?」
あ、あら?
レオの目がまるで野獣みたいなのですけど。
優しくしてくれると言ってませんでした?
あぁっ!? 言ってませんでしたわ。
『動かなくていい』とは言ってましたけれど、『優しくする』とは言ってないですわ。
「レ、レオぉ……やだぁ、あぁんっ」
そんなことを考えている間にも胸は散々、弄ばれています。
最近は赤ちゃんみたいに吸うのが気に入ったみたい。
舌で蕾を転がしながら、思い切り強く吸うんですもの。
甘噛みなんてされたら、耐えられませんわ。
刺激が強すぎるのですから!
それだけでもいっぱいいっぱいなのにレオは秘所へと伸ばした指を激しく、出し
部屋に響く水音はどこか淫靡で恥ずかしいやら、気持ちいいやらでもうダメ……。
「夜はまだまだ、これからだよ?」
レオの口と手だけで既に何度、達したのかしら?
呼吸するのもやっとなくらい。
頭の中は何も考えられない真っ白な状態になっていて、耳元で妖しく囁くレオに抗うことなど出来やしないのです。
彼に抱き抱えられて、彼の上に抱っこされるような抱き締め合う体勢で奥深くまで貫かれて、朝まで愛され続けました。
これは癖になりそうなくらい気持ち良くって、またして欲しいかも…なんて言った日には起き上がれなくなりそうですから、気を付けないといけませんわ。
その後、レオの熱く白い精で『
これが『虎の尾を踏む』なのかしら?
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