第35話 リリス

 リリスとは荒野を夜の女王などと呼ばれる女悪魔として、有名ですがアダムの最初の妻だったともされています。

 男女は平等と訴えたリリスはアダムと袂を分かつのですがその理由が男だからという理由で上に乗るのおかしくない?

 私が上でもいいよね?

 そうして、彼女は悪魔になったのだ。

 以上の逸話を踏まえたうえでのタイトルとなっています。


 ◆ ◇ ◆


 いつものように転移の魔法でお城の大浴場に向かいました。

 いつもと違う点は一つだけ。

 レオがかなり、落ち込んでいて、ふらふらしているのです。

 普段はレオにリードされていることが多いのですけど今回に限って、私が強引に手を引いて連れてきました。


「どうして、こうなってますの?」

「この方がリーナを感じられるからだよ」


 大浴場で広いですから、手を繋いだりして、一緒にお湯に浸からないと恋人気分を味わえません。

 それは分かりますわ。

 でもレオに抱き抱えられている必要があるのかしら?

 身長を考えたら、私がレオを抱き抱えるようにした方が自然な姿に思えるのですけど。


「でも、レオがちょっとは元気になったみたいで……ええ、本当に良かったですわ」


 レオの男の矜持が何度も試みたが失敗に終わったことでかなりのショックだったのでしょう。

 お風呂のお陰なのか、少しは元気になったようで安心しました。


 あちらの方はもう十分に元気みたいで。

 当たっているのですけど!?

 あれだけ、出したのに平気なものなのかしら?

 何か、余計なことを考えていないと当たってくるものが気になります。

 もしかして、わざと当てている訳ではありませんのよね?


「レオ、少しは元気が戻りましたの?」

「うん、リーナを感じるから、大丈夫だよ」


 あの……それはちょっと。

 わざと擦り付けなくても分かりますわ。

 さっきから、ずっと当たっていますもの。

 硬いですし、熱いですわね!

 もしかして、元気だけでなく、やる気まで戻ったのかしら?


「えっと、レオ……まさかですよね?」

「昼までの腹ごなしに丁度、いいんじゃない?」


 あっ、これはまた、悪そうな顔で笑っているのでしょう?

 振り返らないと見えないから、確認はしませんけれどそんな気がしますもの。


「お風呂だから、汚れても平気なんて、思っていませんよね?」

「思ってるよ。ちょっとだけだから、ね?」


 お願いされて、嫌と言えないのを分かって、言ってますわね。

 分かってますわ。

 拒めませんし、私もそうしたいと思っているもの。


 ただ、お風呂で初めてを失うのって、どうなのかしら?

 古い時代には高位の令嬢は純血を失った証として、その血が付いた布を見せなければいけないルールがありました。

 初夜を公開で行わなくてはいけなかった王家もいましたし、そこに品格を見出しているのよね。

 でも、時代が進むにつれ、そこまでする必要はなくなったと本にも書いてありましたわ。

 つまり、遠慮せず、突き進んでもいいのね?


『いいえ、駄目よ、リリアーナ。令嬢として許されないことだわ』

『ここまできて、迷うバカいないでしょ?』

『駄目です! きちんとした手順を踏み、正しい作法で初夜に臨むべきですわ』

『そんなこと言っているとレオがまた、自信失うんじゃないの? 男が自信失うと大変らしいわよ』

『そ、それはですね。でも、駄目なものは駄目なのです』

『いいや、ここはレオに自信を持たせるべきでしょ? リリスという名の意味するところ分かるよね?』


 頭の中がうるさいですわ。

 ええ、すればいいのでしょう、すれば!


「あの……レオ、一つ提案があるのですけど」

「また、ゲーム? もうやらないよ」

「レオは床に寝てくださいませ。それだけですわ」

「はい? 本当に? 僕が寝ればいい?」


 レオは訝しげな表情しながらも素直に浴場の床に寝てくれました。

 仰向けなので一部はもう臨戦態勢のようで。

 これからのことに期待しているのか、物凄く自己主張してますわ。

 本当に大丈夫なのかしら?

 自分で提案しておいて、怖くなってきました。

 あんなのが自分の身体に入るの、想像出来ないのですけど…。


「ええ、私が上に騎乗りますから」


 まだ、成長し切っていないのに程よく筋肉がついた胸板に手をついて、彼の腰の上に跨ります。

 中腰の姿勢のままで耐えないといけないのが辛いですわ。

 油断をしたら何の覚悟も無く、いきなりレオのモノを受け入れる羽目になるかもしれません。

 それはいけませんものね。

 事故で喪失するよりもちゃんと彼に貰って欲しいんですもの。


「リーナが上!? あっ!でもこの眺め、いいよ。凄いきれいだ。胸がもう少し、あっ……何でもない」

「何か、聞こえたような気がしますけど……まぁ、いいですわ。この方が確実に繋がれると思いません?」

「そうかもしれないけどさ。リーナは大丈夫? 痛いかもしれないよ」


 ゆっくりと腰を下ろすと秘裂の入口に彼のモノがちょこんと触れました。

 本当にちょっと触れただけなのにすごく熱く感じますわ。

 ビクッと震えて……


「え!?」


 触れただけでまた、勢いよく出てしまったようです。

 あれだけ、出したのに『こんなにたくさん出るの?』というくらいの量と勢いでかけられましたし、レオ自身にも溢れ出したものがたくさん付いていました。


「ご、ごめん……」

「ううん、いいの。それだけ、私を感じてくれているんでしょ?」


 そうなのです。

 凄い量の白濁を噴き出したのに彼のモノはまだ、元気なまま。

 まるで秘裂をなぞるように触れてくるのですけど、吐き出された白濁のせいか、ぬるぬるとしていて。

 互いの快感を誘っているみたいでレオの息遣いも荒いですし、私も彼のことを言えないわ。


「この辺りよね?」

「う、うん。うっ……」


 レオはなぞっているだけなのに我慢するのが辛いみたい。

 これは私がどうにかするしか、ないのですわ。

 覚悟を決めて、ゆっくりと慎重に腰を屈めると秘裂をなぞっていた、ひくつくレオの熱くて硬いモノが容赦なく、入り口をこじ開けようとしてきました。


「うにゃぁっ!?」


 レオは寝ているだけでいいはずなのに今、突き上げませんでしたぁ!?

 思わず、変な声が出てしまいました。

 痛いんですもの。

 痛くて無理です…絶対無理ですわ。


「痛い、痛い、痛いのぉ。は、早く、抜いてぇ」

「ちょっ!? 大丈夫、リーナ? 抜いてって、リーナが自分でやっ……うっ」


 レオ自身を咥えるどころか、怒張の先端がちょっと侵入してきただけでこんなに痛いなんて、聞いてませんでした。

 レオが心配してくれているのは分かります。

 でも、我慢できなかったのでしょう。

 ちょっと挿入はいっただけでまた、出てしまったたようです。


 完全に彼を受け入れていなかったのに勢いが凄かったのか、お腹に熱いものが感じられますわ。

 でも……それよりも……痛いんですって!

 どうにかして欲しいの!


「やだぁ、痛いって、抜いてよぉ。や、やだぁ、」


 自重で抜いて欲しいのにさらに深く、挿入はいってきます。

 だから、微妙に腰を突き上げるの駄目なんですってばぁ。

 自分のものではない異物に犯される感覚に意識が飛びそうですわ。

 それでも彼のモノはまだ、頭半分くらいが埋まっただけなのです。

 無理ですわ、無理!


「落ち着いて、リーナ。自分で腰を上げないと駄目だよ。ね、落ち着いて……そう。ゆっくりと……やばっ、気持ち良くて、我慢が……うっ」


 そうでした。

 私が上にいるのですから、自分で抜けばいいんですわね。

 ゆっくりと腰を上げると抜けていく感覚が……痛い、痛いですって!

 完全に挿入はいっていないのにもう二回も出されました。


「痛いぃ、もうやめるぅ……ぐすっ」

「よしよし、もうしないから、泣かないで。身体をきれいにしてから、帰ろう?」


 どうにか、彼のモノが抜けたのですけれど。

 その瞬間、盛大に白いのが迸って、レオの胸板に頭を預け、しな垂れかかっていた私の背中に大量にかかったのです。

 不完全ながらも中に注ぎ込まれていた白濁もドロリと溢れ出してきて、何だか、全身が彼の物にされてしまったような錯覚に陥ります。


 はぁ……。

 本当、どちらが年上なのか、分かりませんわ。

 慰めるつもりが結局、慰められているんですもの。

 自分から望んでしておいて、痛がって、『やめて』だなんて。

 おまけに赤いものも混じってません。

 どうやら、レオにあげるのも失敗したみたい。

 失われなかったのね……。

 つまり、未遂ですわね。


「ごめんなさい、レオ……ごめんなさい。自分からやるって、痛がって……ごめんなさい」

「いいんだ。リーナがそうしようとしてくれただけで嬉しいから。もっと、ゆっくり進めようよ」

「うん」


 お互いに微妙な心の傷を負っただけのような気がしてなりません。

 そんな傷口を癒そうと見つめ合いながら、口付けを交わして。

 熱の籠った瞳で見つめられるとつい、うっとりと見つめ返してしまって。

 ふと我に返れば、とんでもなく、はしたない恰好で彼の上にいることに気付きました。


 恥ずかしいので互いに体を洗い合うことにしました。

 んんん?

 おかしい気もしますけどいいのです。

 互いに慈しみながら、相手をきれいにしようとする行為でまた、気持ちが盛り上がるとは思っていなくて。

 宿に戻るのが遅くなりましたけど、仕方ありませんよね?

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