第28話 あわあわするのあわは泡だった件
闇一色に包まれた漆黒の世界に赤い稲妻が走り、闇に溶け込む黒き鱗に全身を包まれた大きな竜がその姿を現す。
「二千年も家出していた
竜が降りてくる様を静かに見つめる女性は造作だけを見れば、美女と言って差しさわりの無いほどに整った容貌をしている。
しかし、顔の丁度、中央部を境として青白い肌と健康的なやや褐色を帯びた肌で半々に分かれているのだ。
彼女の名は冥府の女王ブリュンヒルデ。
かつてエレシュキガルに育てられた娘の一人。
彼女の力は絶大な物があり、死者を統べるだけではなく、生を与えることさえ出来る。
望めば、表の世界に返り咲けるに足る力を有しながらも彼女にそんな気は微塵もない。
彼女は愛しているからだ。
冥府を。
冥府に住まう民を、魂を。
愛する母に任された地を愛し抜くと決めたブリュンヒルデに迷いはない。
「しかし、未だ人化の術すら使えんとはね。お母さま、甘やかしすぎでありませんか?」
思いかえせば、血の繋がりなど全くない自分。
種族だけではなく、姿形も似た部分が一つもないニール。
そんな自分達に自らの血を与え、育ててくれたあの母は我々をとことん甘やかしてくれていた、と。
行き場の無くなった母性を私たちに向けてくれたのだろうと思案するブリュンヒルデだが、それだけでは理解出来ないくらいに彼女から、愛されていたと感じていた。
「お母さまの為に不出来な妹の面倒を暫し、看てやるとするか」
言葉とは裏腹にブリュンヒルデの顔に浮かぶのは穏やかな笑顔だった。
🦊 🦊 🦊
私、リリアーナ。
今、お風呂にいるの。
『約束は破る為にありますのよ? おっーほほほ!』とレオに宣言出来る図太い神経が欲しかったですわ
「ねぇ、レオ。お風呂は一日の疲れを取って、ストレスを癒す効果がありますの」
「うん、知ってる。だから、僕は疲れたなー、あー疲れた。リーナで癒されたいなー」
「くぅ」
わざとらしくチラッとこっちを見てくるところが恨めしいですわ。
約束は約束ですし、お酒に飲まれてやらかしてしまった私が悪いと思いますし。
覚悟を決めて、身体に巻いていたバスタオルを外します。
湯気があるとはいえ、全裸になるのは未だに恥ずかしいのですが、仕方ありません。
どうやら、お酒のせいでもっと恥ずかしいことをしていたようですけれど、意識が無くて逆に良かったと思っています。
今、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいですもの。
それから、ちょっと香料強めのバラの香りがする石鹸をよく泡立て、自分の身体に出来た泡を付けました。
どうして、こんなことをしているのかって、それはレオが希望したからとしか、言えません。
「私の身体は貧相ですから、レオの希望に添えるとは思えないのですけど?」
浴場椅子に鎮座しているレオに背中から抱き付いて泡の付いた身体を密着させると肌と肌が直接、触れ合って、熱と鼓動まで感じられそうな錯覚を起こします。
互いの温もりを感じるようで何だか、胸の鼓動が早まってきました。
ドキドキし過ぎて、気分が悪くなりそうですわ。
「リーナの身体で僕を洗うんだよ」
「はい……分かってますわ」
これで身体がきれいになるは思えないんですけど、どういうことかしら?
レオの背に胸を当てるだけで微妙に感じてしまうのに洗うように擦れというから、胸が……その擦れるたびに変な声が出てしまいそうになって。
「んっ……こんなのでレオはいいの?」
「うん、とってもいい! リーナを感じられて」
私もレオを感じられて、嬉しいのですけどそれ以上に恥ずかしいですわ。
変に感じてしまって、それがいけないことのように思えてくるんだもの。
そんなこと考えていたから、いつの間にか、レオが私の方に身体を向けていたなんて、気付きませんでした。
「僕ばかりじゃ、悪いから、洗ってあげるね」
「え!? ちょっ、レオ、ダメぇ」
気付いた時には既に遅かったみたいで彼の左手に腰をしっかり押さえられていて、逃げられません。
そうなってしまうと私はもうレオのされるがままに貪られるだけ。
自由な右の手で慎ましやかな胸を丁寧に揉みしだいてくるのですけど、そのテクニックが私の頭では追いつけないほどにうまくなっているような気がします。
揉んだと思ったら、先端の蕾を優しく摘まんで私が『あんっ、やぁ』って、啼く反応を楽しそうに見ています。
これは完全に弄ばれてますわ。
散々、啼かされるだけ啼かされて、やっと終わったと安心した私が甘かったかしら?
今度は口で胸を貪られるだけ貪られるとは思いませんでした。
『出ませんから。そこダメですってば』って言っても『煽ってるの?』って余計に貪られるだけで啼きすぎたせいかい、息も絶え絶えになっているのにレオは元気です。
それだけ、やりたいことやっているのにまだ、足りないのか、『ここもきれいにしないと駄目だよ』とさらにいじくり回されるだけ、いじくり回されて。
『はぁはぁ、もうダメぇ』と言っている私の手を取ったのです。
さすがに解放されると思うでしょ?
『僕のもきれいにしてくれるよね』って、微笑んでいる割に手をそこに持っていく力の強さは相当なもので……『容赦はありませんの?』と言いたいくらい力強くて。
お酒を飲んでいないから、はっきりした意識で彼のモノを触って、彼自身を感じてしまいました。
そうですわ!
ここはお風呂だもの。
きれいにしているだけですわ。
大丈夫ですわ!
これを口にしちゃったりしたら、きっといけないことでしょう。
でも、手ですから!
平気……平気ですわ。
洗っているだけ。
ただ、洗っているだけですわ!
そう信じる振りで現実逃避することにしました。
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