第23話 脳がオーバーヒートしました

 結局、のぼせました。

 時間いっぱい弄ばれ続け、身体だけでなく脳が限界を迎えたのです。

 レオに横抱きに抱えてもらって、いわゆるお姫様抱っこをしてもらったのに実感出来なかったのが残念ですわ。


 ええ。

 宿には無事に戻れましたわ。

 転移が使えなかったら、どうする気だったのかを考えると空恐ろしいのですけど。

 レオは宿ではなく、お城でいつものように朝まで過ごそうと考えたのではないかしら?

 邪推で済めば、いいのですけど。

 いくらレオでもそんなことはしない……とは言い切れないですわね。


 宿に戻ってもやる気がたぎってますもの。

 ええ、そうなるって、分かっていましたわ。

 脱ぐべきか、脱がざるべきか。

 そこが問題ではありません。

 脱がされるか、自ら脱ぐしか、選択肢が残っていないのが問題なのです。


「脱ぎますわ」


 このまま、レオのペースに乗せられると仮定します。

 あれよあれよという間に服を剥がれるのは分かってますわ。

 その手に引っ掛かって、散々、一晩中弄ばれてますから、いくら私でも学習しましたのよ?


 でも、自分で脱ぐと言ったもののにジッと間近で観察されていると脱ぎにくいのですけど。

 脱げばいいだけなのに脱げませんわ。

 未だに恥ずかしいものは恥ずかしいのですから、仕方ありませんでしょう?


 えっと……あら?

 はたと気付きました。

 お風呂から出て、自分で服を着た記憶がありません。

 ここまでお姫様抱っこをしてくれたのだから、服を着せてくれたのも……レオですのよね?

 つまり、自分で脱ぐという行為は何の意味も無い無意味な抵抗ということですわ。


「自分で脱ぐの……やめますわ。レオのお好きなように」


 もう無駄な抵抗は諦めましたわ。

 ベッドの上に仰向けに寝ます。

 もう、どうにでもなれ!なんて、いい加減な気持ちでこうしている訳ではなくって。

 レオが望むようにしたい。

 されるがままに何をされても構わないと思うのです。

 本当、Sなのかしら?

 Mなのかしら?

 いいえ、間違えましたわ。

 ノーマルですわ! ノーマル!!


 ”お好きなように”と自分で言ったもののそれは服を脱がすのを”お好きなように”であって。

 私の考える”お好きなように”とレオの考える”お好きなように”の間に大きな差があったと気付いた時は既に遅しだったのです。


 いつものように手慣れた様子で服を脱がされるまではいいとしましょう。

 そこまでは想定内ですもの。

 それから、何度もキスしながら、胸を執拗に弄ばれましたけど、これもいつものことですわ。

 この時点で軽く、何度か、達しかけてますから、結構息が上がっているのですけど。

 レオの体温を感じられるから、つい安心して身を任せ、疲れ果てるのもいつものことですわ。


 諦めましょう。

 舌を絡め合って、唾液を交換しあうように口付けを交わしているとその水音が部屋に木霊して、頭がおかしくなってくるのです。

 『もっとして欲しい』と考えてしまうのはおかしくなってきたとしか、思えないですわ。


 でも、”お好きなように”はそんなことをして欲しいなんて、言ってません。

 火照った頭で意識が朦朧としてきて、いつの間にか、両足がレオに抑えられていました。

 彼に全てを見られてません!?

 それから、顔が近付いてきて、レオの熱い舌が私の大事なところに……。

 そこで意識がプツンと何かの糸が切れたように途絶えるのでした。


 射し込む朝日に照らされて目を覚ますといつものようにレオにしっかりと抱き締められて、眠っていました。

 一安心ですわ。

 昨日のは悪い夢だったのよ。

 無防備に晒されたレオの寝顔はまだ、あどけなくて……かわいいですわ。

 まだ、夢の世界にいるようですし。

 『今度はいい夢が見られますように』と二度寝するのでした。

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