第22話 お風呂でいちゃつく→疲れる!

 最新鋭艦であり謎多き長蛇号ヨルムンガルドを確認するという名目での偵察が終わり、宿に戻ったのは既に日が落ちる頃でした。

 ディナーの時間が近付いているのですけど、アルフィンに向かいます。

 転移の魔法で一瞬で移動出来ますから、大して苦ではありませんけども。


 いつもはもう少し、遅い時間に利用することが多い大浴場ですけれど、今日は特別です。

 お店が開いている時間に行かなければ、迷惑になりますもの。

 いくら親しい間柄とはいえ、そこはきちんとしておきませんとね。


 アンにニールとオーカスを先に入浴させておくよう頼み、レオと一緒にライモンドさまの武具店にお邪魔しています。

 人嫌いという訳ではなく、少々変わった御仁であるライ師は伝説の鍛冶師として名を馳せており、流浪の名工の二つ名でも知られています。

 その名はライ師が一所ひとところに落ち着かない為に付いたそうです。

 もう一点、良く知られているのがお弟子さんを取らないこと。

 そんなライ師の長い人生において初めて、迎えたお弟子さんがリックソンさまです。

 そうです。

 以前、ギルドのクエストでゴブリン退治の一件を解決した際、アルフィンへの移住を勧めた一家の大黒柱であり、腕のいい鍛冶師でもあるハーフドワーフのあの御方です。

 彼はライモンド様の信者と言っていいほどに信奉しているようなので紹介状を書いて差し上げました。

 最初は訝しがっていたライ師もリックソンさまの真摯な姿勢としっかりした技術に裏打ちされた腕の良さを認め、何と弟子入りを許可したのです。


「これが新しい技術を用いた義手かぁ」


 レオがカチャカチャいじっているのは金属と皮革で組み上げられた人間の上腕と手を模した新機構の義手です。

 小型化した人工の魔動心臓アルケインハートを内蔵し、魔力を流すことによって、意のままに五本の指を動かせるようになったというのが今までの義手との大きな違いだとか。


「どうだ、すげえだろ?」

「ええ、期待以上の素晴らしいものだと思いますわ。これは試作品ということですのね?」


 設計と回路の構築こそライ師が手掛けたものの実機となる試作品を作製したのはリックソンさまだそうです。

 腕のいい鍛冶師とはうかがっておりましたが細工技術も一流なのね。

 何しろ、ライ師がその才能を認めたのですから、折り紙付きですわね。


「こいつぁ、まだ販売出来る代物じゃねえんだよ」

「だけど試作品だから、くれるってことだよね?」

「おめえらには世話になってるからなあ、遠慮なく持って行くといいさ」

「ありがとうございます、ライモンドさま。リックソンさまにもよろしくお伝えくださいまし」


 リックソンさまにもお礼を申し上げたいところですが工房の方でお忙しいとのことですから、仕方がありません。


 🏰 🏰 🏰


 城に戻り、アン達をバノジェに送り届けたら、後はやることは一つしか、ありません。


 え?変なことではありませんからね?

 お風呂ですわ!

 お・ふ・ろ!

 宿にまともなお風呂が備えられてないので入浴する為だけにお城へと毎回、戻っているのです。

 何と言ってもこの城自慢の大浴場なんですもの。

 当然、二人きりで貸切にしますけど!


「リーナ、毎回、貸切でいいのかな?」

「レオ、私は一応、領主代行ですから、この城の主ですのよ? いずれはあなたの物になるのですから、遠慮する必要ありますの?」


 レオが気にしている理由は分かります。

 無駄に広いですから、二人だけで使っていると勿体ない気がしてくるのでしょう。


「うーん、そうなんだけど、そうじゃないっていうか、難しいね」


 不思議なものです。

 初めて、二人で入った時はお互いに恥ずかしさの方が先に出てました。

 私が気絶したり、慣れないことをするものではないと反省するばかりでしたわ。

 今は肌を寄せ合って、ぴったり隣にいても恥ずかしくはな……やはり、恥ずかしいですわ。

 裸を見られて、見ているのに未だに慣れないのはなぜですの?

 あら?

 慣れた方がいいの?

 それとも慣れない方がいいの?


「ねえ、レオ。恥じらいって大事よね?」

「うん? 急に何の話?」

「ですから、積極的なのと恥じらっているのとどちらがよろしいんですの?」

「はい? だから、何の話かな?」


 急な話だから、訳が分からないとは思いますの。

 でも、そんなにきょとんとした顔をするほど難しいことを聞いてはないと思うの。

 夜は積極的に私を弄ぶあなたはこういう時、どうして、こうもかわいいんですの?


「そうだなぁ、僕は……」

「え!? あっ……やぁ」


 分かってて、わざととぼけてましたのね?

 油断していた私も悪いとは思いますけど。

 気付いた時にはもうお互いの唇が触れ合っていて、レオの舌が入ってきたのですから、もう抵抗なんて、出来ません。

 彼の舌が味見でもするように口内を蹂躙して、私の舌に絡めてくるのですけど……これは大人のキスですわね!?


 こうなってしまうと力が抜けて、もうされるがままになるしか、道が残されていないのです。

 だーかーらー、どうして、そう器用なんですの?

 妙に手慣れているのはなぜなのか、気になりますわ。

 バスローブの脱がせ方が器用ですごく手慣れてますもの。

 あっという間に生まれたままの姿にされて、あわあわしている間に彼は自分のバスローブを脱いでいます。

 こ、これは勝てる気がしないですわ……。


 ついばむように口付けを交わし合って、舌で口内を蹂躙してきて。

 唾液を交換し合うなんて、聞いてませんわ。

 翻弄されて完全に彼のペースに持っていかれ、気付いた時には彼の手が私の双丘にそっと副えられていました。


「少しは大きくなったんじゃない?」

「ふぁ……やぁめてぇ、それ、ダメぇ」


 『そんなすぐに胸が育つなら、苦労しないわ』という言葉を口に出せません。

 口を開く前にレオに塞がれてしまったからです。

 これはまずいですわ。

 キスされるだけで抵抗出来なくなるって、知られてますもの。


「やぁんっ、あんっ」


 執拗に胸を揉みしだかれています。

 下から上に持ち上げるように優しく揉み上げてから、ちょっと乱暴に強く揉んだり。

 マッサージですのよね?

 こんなに気持ちがいいマッサージでいいのかしら、もう何も考えられなくなりそう……。


 こういうのは経験値があって、レベルがあるのかしら?

 そうだとしたら、私はずっとレオに勝てない気がするわ。

 日を追うごとに翻弄されるばかりで何も出来ないんですもの。


 それから、貸切時間いっぱい、弄ばれるのでした。

 お風呂で疲れを取るどころか、かえって、疲れた気がしてなりませんがなぜでしょうね?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る