第13話 大人のマッサージだなんて聞いてません

 夕食は和やかな雰囲気のまま、終わりました。

 色々と話し合って、決まったことはまず、小さい頃、大変お世話になったジローのおじさまにご恩を返してから、アラーリック叔父さまのところへ向かうということでした。

 ジローのおじさまのお話ではあの事件―ゴブリン退治を装った冒険者拉致監禁事件はまだ、完全に解決したとは言えませんし、登録して早々に離れると義に背く、とレオも言ってますわ。


「それで……あの本当に全部、脱ぎますの?」


 部屋に戻ったので動きやすくて、寝やすい部屋着に着替えました。

 私のは夜着なので薄めの生地で肌の露出も多いのですけど、ここにはレオと二人きりなのであまり、気にしなくてもいいと思っていたからです。

 今でこそ、女子高生と小学生くらいの年齢になってしまいましたけど、かつては夫婦だったのですし、今更恥ずかしがることなんて……ないどころか、おおありですわ。

 ところがなのです。

 ベッドの上に二人で向かい合って、座っていたところ、レオが言いやがりましたのです。

 あら、ごめんあそばせ。

 言葉が汚くなってしまいましたわ。

 『服脱がないと駄目だね』『え?』というやり取りの後の私の『もしかして、全部脱ぎますの?』へと繋がります。


「僕が脱がせた方がよくない? いいよね、その方がいいって」

「へ? どうして、そういう話になったの!?」


 思わず、固まってしまった私をこれ幸いとばかりにレオはいそいそと肩紐のリボンを器用に解いていきます。

 えっと、妙に手慣れているのはなぜですの?

 あなた、十二歳よね……それとも本当は十六歳になっていたはずだから、見た目が十二歳なだけで十六歳なの?

 十六歳でもおかしくありません?

 そんなこと考えている間に夜着をあっという間に脱がされてしまって。

 彼の目の前に自分が生まれたままの姿で晒されていると気付いて、思わず胸を手で隠してしまいました。


「だ、だめですって。まだ、早いと思うのよ」


 後退って、逃げようとする私の肩をレオが手でしっかりと掴むものだから、逃げられないし、胸も隠せないし……さすがにまずいと思うのです。


「リーナだけ脱いだら、不公平だから、僕も脱げばいいんだよね。はい」


 え、えーと、それは私が服を脱がすのを待っているということかしら?

 それでフィフティーフィフティーにはならないと思いますけど。

 そう言いながらもレオの言葉に抗えないで彼の服を一枚一枚、脱がせている私もおかしいと思うの。


「これも……ですの?」

「もちろん、リーナだけ全部で僕が一枚履いているのおかしいでしょ」


 もう心の中で白旗を上げるしか、ありません。

 レオの下半身を隠していた下着を私が脱がすと彼の彼って、表現も変ですけどまだ、大人になっていないはずなのに元気に主張していて、顔が熱くなっていくのが自分でも分かりました。

 男の人のアレをマジマジと見つめたことなんて、今までない訳で。

 レオのはまだ、かわいいとばかり思っていたのに元気に主張しているソレは凶悪そうに膨張しているみたいで……えっと、そういうことするのではないのよね。

 マッサージをするだけでしたよね?

 それも私の胸を大きくするのにもっと効果があるって、お話ではなかったの?


「あまり、見られてると恥ずかしいよ、男でも。リーナだって、僕がジッと見たら、恥ずかしいでしょ?」

「そ、そ、それはそうなのですけど……どうすれば、いいのか分からなくて」


 貴族の令嬢たる者、私の年齢ともなれば、本来は閨の知識というのを学んでいるのが普通です。

 ええ、普通ではなかったです。

 お祖母さまもお母さまもそういう方面に厳しい方だったので……聖女だったからという訳ではないのでしょうけれど、そういう情報を与えられることのないまま、育ってしまったのよね。

 最近でこそ、本からそういう知識を得ているのですけど、実物を見てしまうと駄目ですわ。

 いざ自分の身にそれが振りかかるとこんなにも混乱してしまうなんて。

 頭が沸騰しそうなんて表現は本の中の話ではなかったのですね……。


「リーナは横になって」

「胸は隠しては……」

「マッサージで大きくしたいんでしょ? 隠したら、意味がないよ。仰向けに寝るんだよ。うつ伏せに寝ると縮むよ?」


 縮みますの!?

 股の間のモノが天井の方に向くぐらい主張しているレオにニコッと微笑まれて、言われた通りに横になる私もどうか、してますわね。

 でも、縮むのは嫌ですもの。


「縮むのは嫌ですわ」


 おずおずとベッドの中央で仰向けになった私にレオは覆いかぶさってきて。

 『何をするのかしら?』って、愚問でしたわ。

 マッサージをするって、散々言ってたのですから。


「やっ……あん」


 双丘を本当に執拗にマッサージしてくるから、つい変な声を出してしまいます。

 足にたまに当たってくるレオのレオがさらに元気になっているようでそれが嬉しいのだけれど、それよりも恥ずかしさが勝るという不可解な現象が頭の中で起きていました。


「もっと素直に声出してもいいんだよ」

「でも……やぁ、そこは駄目ですって! あんっ」


 えっと、あの……沸騰しすぎて溢れたかもしれません。

 だって……レオが犬みたいに舐めてくるんですもの。

 ペロペロと舐めたかと思うと口に含んでまた、入念にマッサージしてきて。

 何も出来ないって、マッサージされる側だから、しなくてもいいのですけど、夜ずっと、これを続けられたら、おかしくなってしまいますわ。

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