第26話 ヤンデレ化~中章~

「待ってくれ!!二人とも!もう大丈夫だから!帝国とのことも終わったし、もうこんな危険な橋を渡ることは無いから!!」


二人に森の中に引きずられながら、なんとかこのバッドエンドを回避しようと奮闘する。


しかし一向に彼女達の目に希望の光は映らない。まるで絶望の体現かと言うほど原色に近く光を吸い尽くしている。


「ナミ!ミリア!!大丈夫だから!!」

止まらない二人を無理やり抱き寄せて止まる。


一瞬二人に感情が戻ったのを確認した俺はこのスキに二人をもとに戻す為必死に説得を続けた。





二人を納得させるのにかなりの時間を要したが、何とか日暮れのころには二人とも元の精神状態に戻ってくれたようだった。


二人を連れて森を抜け、新帝国領内へと帰る。帝国領内では依然として厳戒態勢が敷かれていたが、俺たちはすんなりと通ることができた。


これまでの経緯を客室で二人に話していると、ご飯の時間になり食堂に向かった。今朝もかなりの視線を感じていたが、今はそれよりも多くの視線を感じる。恐らく男である俺への視線と見知らぬ二人への視線だろう。


「すごく視線を感じるね。」


「まあ俺たちは良くも悪くもよそ者だからな……。」


食卓を3人で囲っているとレティシアと他の3公もやってきた。ナミとミリアはあの日以来の再開である。大丈夫かと緊張していると……。

「あら、ナミさん、ミリアさん。お久しぶりですね。」

以外にもレティシアが社交的に挨拶をする。これは大丈夫そうだなと安堵したが…


「久しぶりですね、ところで私達名前を名乗ったときは無かったはずですが?」


「戦った時にレイドが言っていたので、覚えましたわ。」


「レイド~?レイ君?なんでこの女呼び捨てになってるの?」


「えっ…いや、まあ一緒に戦った仲だし?戦友だからかな。」


「もうっ…戦友だなんて!一緒に夜を共にした仲じゃないですか♡昨日なんてあんなに何度も私に腰を打ち付けて、最後には俺の女になれ!!俺の子供を産め!!

って叫びながら出したくせに♡」


レティシアの一言で食卓が凍り付く。


「レイ君??どういう事?ちゃんと説明して?」


「えっ……いや、えっ……。独自魔法(オリジナル)白狼の俊足。」


俺は全速力で逃げた。だって見えちゃったもん。二人の目から光がなくなってるのを。他の3公の2人は面白がって笑っていたけど、俺の命がかかっているからできれば助けてほしかったなぁ……。あとレティシア!!絶対に許さねえ!!お前を絶対に孕ませてやるからな!!



そう心の中で言いながら全速力で二人から逃げる。今日二回目となる森の中に入った。




夜の森はいつもより深く暗かった。


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1週間ほど更新お休みをいただきました、2月いっぱいは毎日投稿を目指して更新しますのでよろしくお願い致します。本日より『上京男子大学生の非日常の日常』というラブコメ作品を公開しております。もしよろしければ、そちらの方も覗いていただけると幸いです。最後になりますが、これからも本作品をよろしくお願いします。

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