第25話 ヤンデレ化~序章~
「んんっ~~!!」
伸びをして眠気と疲れでだるい体を覚醒させる。隣にはレティシアがスヤスヤと規則正しい寝息を立てている。そんなレティシアの髪を手で髪を梳く。俺は幸せな気持ちになりすっかりと忘れていた。
レティシアも起き、着替えて朝食を食べる。食堂で食べているが、女性しかおらず注目の的になっており足早に食べ終え外に出た。
「ふう……まるで昨日だけの事とは思えないな。ここは早くきれいにして、死者を弔ってやらないとな……。」
俺は早速作業を開始することにした。魔術で穴を掘って、そこに魔術で遺骨を埋めていく。名前は分からないので帝国内戦没者とだけ記載し、石碑をたてた。
昼頃には作業が終わり暇を待て余していると、ふと遠くの方から声がする。恐らく女性の声だろう。その声はどこか悲痛で、怒りがこもっているような、そんな声だった。
ふと様子が気になって声のする方に近づいていくと……
「ん!?」
そこにはやつれて生気の無いミリアとナミの姿があった。俺は急いで二人のもとに駆けよる。
「ミリア!!ナミ!!どうした!!」
「あはははは……ナミちゃん私ついにレイ君の声が聞こえたよ。幻聴だろうけど……それでも幸せ。」
「奇遇ですね私もですよ。そろそろレイドのところに行けますからね、命を懸けてでもレイドを取り返して、、、ふふふふ。」
「おい!!二人ともどうしたんだよ!!」
目の焦点もあってない二人が心配になって近づいて確認すると……
「レイ君……レイ君!!!!」
「レイドの匂いがする……レイド!!!1」
二人に抱き着かれて受け止めきれずにしりもちをつきながら二人を受け止める。俺の胸に顔をうずめながら泣きじゃくる二人に”ごめんな”と声をかけながら背中をさする。少しの間そのまま続けていると二人は泣き止んだ、久しぶりに見た二人の顔は涙で目をはらしていたが、涙の跡に光が差し込み照らし、ぎこちない泣き笑顔がとても綺麗だった。
「レイ君、帝国に引き渡されたって聞いたけど抜け出せたの?」
「ああ、帝国の内戦で活躍したら代わりにその帝国のモノになるっていうのを取り消してもらって、今は自由の身なんだ。」
「そう、よかった。私たちの家に帰ろう?もう寂しくて、レイドを失うことの辛さを初めて実感したの。」
「「今度は同じ失敗をしないよ。ちゃんとレイドを私達で監禁して一生3人で幸せに暮らしていくって決めたから。」」
「えっ?」
男の気の抜けた声は深い森の中に吸い込まれていった。
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