第23話 内戦

俺が再び見た帝都は惨かった。東側は氷漬けになっており、3日たった今も植物、そして生物が氷漬けになっている。俺がやったことだが、後悔の念が徐々にこみあげてくる。しかしそんな天変地異の光景よりもさらに脳に鮮明に映る光景が全体に広まっている。


肉弾戦になったのだろう。俺はかなりの戦闘を潜り抜けてきて幾多の血の惨状を見てきたが、俺でも強く嫌悪感のでる光景だ。


騎士が一方的に市民を虐殺している光景、評議会の軍と騎士が戦っている光景、とにかくどの方位を見ても血の惨状が広まっていた。


「自国の民同士で利益のない戦争をしてこんなに被害を被っているのか……。これは帝国を再興しても国力的に非常に弱くなってしまうだろうな。逆に言えばここまで本気で死を覚悟してでも革命を成功させようとする市民が多いということは、帝国の今までの政治の悪さが際立って垣間見えるな。」


コツ……コツ……グニュ…グニュ……。

避けて歩いても肉塊が足に当たる。


俺は急ぎ足で前線へと向かう。

3公の面々と合流をしたが3人ともすでに満身創痍、他の騎士の面々も疲弊しきっていた。


「レイドさん……!?なんでここに……?」

「俺もただいまをもってこの戦いに帝国側として参戦する。皇帝陛下の騎士としてね……。」

「ありがたい所ですが、あなた一人でどうにかなることでは……。」

「まあやってみないと分からないだろ。とりあえず騎士たちを後方に下げて休ませてやってくれ。」


彼女たちは意外にも俺の提案に大人しくしたっがてくれた。



さて、この戦いの問題は評議会がバックについていることだ。彼らは義勇軍という形で参戦しているが、非常に多くの兵が参加している。……となると、、、義勇軍を殲滅をして、その恐怖で革命軍を投降させるのがベストだな。問題は殲滅された評議会が正式に参戦してきた場合はどうしようもない。これは賭けだが、これしか道は無い。


俺は前線の騎士を完全に下げて進行スピードが上がった評議会軍と対峙した。


「止まれ!!止まってこの内戦から手を引かなければ殲滅するぞ!!」


すると相手の指揮官であろう人物が自軍の兵士に向かって言う。

「構わん、進攻しろ。」


相手の兵には躊躇が無かった、つまりどれだけ言葉をかけても止まることは無いだろう。

「仕方ないか……世界魔術(ワールドチェンジ)オール・フレア」


魔術執行まで60秒かかるが、今回は距離が離れていたため何事もなく執行される。


ヴォン……、何度聞いても聞きなれない重低音が響く。その刹那俺の目の前にいたすべての生物、植物、建物すべてが焼け落ち、黒い何かになる。


帝都のすべての場所から見えるほど巨大な火柱は革命軍の覚悟を鈍らせるのには十分だった。


すぐさま革命軍のところに向かって降伏勧告をする。相手側は譲歩し、講和会議が執り行われることになった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る