第22話 崩壊
俺が再び目を覚ました時、レティシアも他の3公も部屋にはいなかった。それどころか壁が厚いのに罵声が聞こえてくる。ここがどこなのか分からないが恐らく地下であるのは間違いない。
となるとなぜ罵声が?
俺は鎖が繋がれてないのにいち早く気づいた、これは逃げられるかもしれない。そっと部屋の扉を開ける。
するとそこには3公と騎士たちが忙しそうに走って移動していた。騎士のうち半分は傷を負っていた。通路からの脱出は不可能だろう、しかし部屋には窓もない上魔術が使えない為壁を壊すこともできない。
仕方ない、できるだけ影を薄くして通路から逃げるしかない。
ガチャっ……キ~~ガチャっ。うまく音を最小限に抑えて扉を閉めることに成功した。
しかし俺は一つ重大なことを忘れていた。あれ?どっちに行けば出口に出られるんだ?
……。
こういう時は大体左……!!俺の冒険者としての感がそう言っている。
俺はばれないように左側を進んでいく、すると一つ誰も入っていかない扉があった。もしかしたら通路図などあるかもしれない……そう思って入った。
そこには一面暗闇が広がっていた。
「使われていない部屋なのか?……。」
物色しながら歩いているといきなり首にナイフを突きつけられた。
「誰ですの?動かないでくださいまし、殺しますわよ?」
「皇帝!?なんでこんなところに?」
「男!?刺客ですの!?」
「違う!!俺だ、レイドだ。」
「あぁ~ってなんでこんなところにいるんですの!?」
「いやっ……逃げようかな~と……。」
「……そういうことでしたのね。いいですわ、逃げなさい。」
「えっ…いいのか?」
「ええ、良いわ。私たちは恐らく死ぬでしょうから。」
「ん?どういうことなのか説明してもらおうか。」
「……わかりましたわ。貴方を見た日の午後私たちの国であった各村、町の民が一斉に蜂起しました。理由は国の機能を賄っていた首都が機能しなくなり、私たち中央の力が弱まったことが広まったのでしょう。普段厳しい生活を強いられていた各村、町の民は民の民による政治、そして民全員が平等に幸せになれるようにするために私達に宣戦布告してきたのです。さらにこの戦争には裏があります。評議会が後ろについているのです。反乱側の国が成立したとしても結局評議会の傀儡になってしまう……しかし私たちの戦力と反乱側の戦力は歴然で、負けは必須です。だから貴方を逃がしてあげても良いと言ったのです。」
「なるほど……つまりあんたらが負けたら評議会の国力が一気に増えて王国が危うくなる可能性があると……。俺に提案がある、今の絶対君主制をやめて立憲君主制にする、そして民の思いをくみ取るシステムである議会の設置、最後に俺はあんたの国の娼館に行き放題にしてくれたら加勢してやるよ。どうだ?」
「はあぁ……貴方一人でどうにかなる問題じゃないんですの、まあいいですわ、どうせこのままでは負けてしまうでしょうし。条件を飲みますわ。」
「ああ任せてくれ。いや、お任せください皇帝陛下。ただいまより帝国の主権回復まで貴方の騎士になり、国の剣となることを誓います。」
俺は皇帝に手錠を外してもらい前線まで案内された。
そこには今まで見た中で最も惨い惨状が広がっていた。
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