第19話 決戦 前編

帝国と王国の戦争は最初こそ帝国優勢であったものの王国の正規軍本隊が到着するとすぐさま形成逆転となった。しかし王国は元の国境まで押し返せたものの前線は停滞した。帝国の要塞線を壊すものを運んでこなければならなかったからだ。こうして一日目は終わった。




王国側が優勢であるメインの戦争と打って変わって俺たちの3公との戦争は3公側優勢であった。


「ほらほら~避けないと死んじゃうよ~。」

ゆるっとした雰囲気の少女からキレのある斬撃が降ってくる。剣聖であるミリアと互角……できればそこから切り崩してほしかったが、、、無理そうだ。俺も無口な少女と魔術を打ち合っているがお互いが相殺しあって進まない。ナミはレティシアと激戦を繰り広げているが、防戦一方であり徐々に体力を削られているのが見て取れる。つまり、状況は悪化していっている、、、。どうにかしなければ負ける!そして俺たちが負ければ王国は負けるのは容易に想像することができる。いや、あの方が動いてくれれば勝てるだろうが、、防衛戦争とはいえ介入するとは思えない。つまり俺たちは勝たなくてはならない!!



昼から続いた戦闘は夜である今も続いている。このままではじり貧で負けてしまう、一か八かやるしかない!!

俺は戦闘から離脱した。


「ナミ!ミリア!もう少し耐えてくれ!!」


肩で息をしているナミと苦悶の表情を浮かべるミリアに声をかける。


俺はその場から一気に加速して皇帝がいるであろう宮殿に向かう。さすがに得意分野である移動系の魔術では彼女も俺に追いつけないようだ。


宮殿にいち早く着いた俺は宮殿の中にいた男を見つけてとらえた。この男だ!!臣民の前であいさつをしていた皇帝だ。例え3公が継戦を表明しても皇帝が講和に調印すれば戦争は止まる……!1


俺は男の首にナイフを突きつけながら、遅れてきた無口な少女にいう。

「近づくな!皇帝が死ぬぞ!」


「……」

無口な少女の口角が上がった。

「ふふっ……殺したければ殺せば?私たちは継戦するけどね。」


「国家元首の首が飛んでも継戦するのか…、狂っているなこの国は。」



「んん?国家元首?誰の事を言っているの?もしかしてその男の事?」



俺の大博打は失敗に終わったのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る