第13話 衝突

王城での会議が終わり俺は家に帰ってくる。ナミとミリアが出迎えてくれた。この二人にいつこの話をするか……最近の悩みの原因だ。しかし時間は止まってくれない。いつかは言わなければならない……言うしかない……。


「あ、あのさ、俺は冒険者をやめることになるかもしれない。それにこの後旅立つ予定だ。いつ戻れるのかはわからない。だから二人には俺の事は気にせずに生活していてほしい。これは俺の勝手な願望だ。でも俺の人生で恐らく唯一のお願いになると思う、聞いてくれると嬉しい。」


場が静まり返る。

パンッ……っと乾いた音が静寂の中に響き渡る。

頬を叩かれたようだ。


「バカなのかしら?あなたは?私たちはそんなに安い女じゃないわ。誰にでも股を開くような女でもないし私たちを抱けるのなんて貴方以外いないわ。例え国王から迫られても、国家を敵に回してでも逃げるわよ。私達にはその覚悟がある。」

ミリアにもっともなことを言われて、ハッとした。

ナミのほうに目を向けると先ほど頬を叩いたほうの手がワナワナと震えている。


「すまない。お前たちの気持ちも考えずに……。」


「別にいいわよ。でもナミちゃんは相当ショックだったみたいよ。ちゃんとフォローしなさいよ。」


「すまないミリア、ありがとう。」


「……そこは愛してるが欲しいんだけどなぁ、、、まっいっか!」


俺はナミのもとに近づいていくと、ナミは何も言わずにすごい速さで脱兎のごとく逃げた。




あれからもう日が暮れる頃になってもナミを探しているが、一向にナミは見つからない。

「ナミ!!!!ナミ!!!!」


あたりは一面暗闇になっていき俺の心は焦っていた。


だめだ、頭に血が上っていて冷静にならなくては……。腐ってもSランク冒険者だ。経験から最適な行動をとる。川に頭を冷やしに行くと、ふと思い出がよみがえった。


「ここの川は確か……。」

この川はナミを拾ったばかりのころ、心を閉ざしていたナミがよく来ていた場所だ。


ナミは……居た!!

「ナミ!!探したんだぞ!!」


ナミはこちらに振り返った。ナミの顔には目から流れたしずくが頬を伝った跡があった。


「何しに来たんですかレイド、私たちは不要なのでしょう、足手まといなのでしょう。さっさと依頼に行ったらどうですか。」


「ごめんナミ、違うんだ。そのお前たちに何かあったらと思うと、、、。」


「レイドは何もわかってない!!私はレイドが魔王討伐パーティーに入ってからずっと役に立ちたい、隣に立って歩けるようになりたいと思って頑張ってきました。そして他の人には頑張りが認めてもらえてあなたにも処女をもらってもらえてやっと1人の大人の女性として見てもらえる、あなたの隣に立たせてもらえると思ったのに……。私はあなたの隣に立てないんですか……、支えることも許してもらえないんですか……。」

後半涙ながらに自分の思いを伝えてくれたナミに対して俺も本心をぶつける。


「俺はお前たちが、ナミが大事だから残ってもらおうとしてたけど違ったんだな。ごめんな。ナミ、お願いがあるんだ。聞いてもらえるか?」


「なんですか?」


「ナミ俺と一緒にきて俺を支えてほしい。」


「はいっ!」


涙でぐしゃぐしゃになりながらも笑顔のナミは暗闇の中月明かりに照らされていて最高にきれいだったが、この発言が後で問題になるのは誰も知る由が無かった。


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更新が遅れてしまい申し訳ございません。感染性胃腸炎を患ってしまい、回復のため更新が遅れました。これからは更新頻度が落ちないように頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします!!Niji

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