第7話 パルにて

「独自魔法(オリジナル)白狼の俊足。」

俺はかつての魔王討伐パーティーでは魔術師(魔法使い)だった。広範囲殲滅に向いている。どうでもいいが魔術は誰でも使えるもので、魔法は特定の人しか使えないという違いを持っていたりする。


俺はかなり早い速度で走っていく。パルまでは馬車を使えば5日といったところだ、しかしこのスピードなら1日で着きそうだ。ということは馬車を使ったと言えば往復で8日は浮く。これは勝った!!娼館行き放題じゃないか!!!!


日が暮れる前ギリギリでパルに着いた。宿を適当にとって荷物を置いて娼館に向かう。

「ふ~ふん~ふん♪~久しぶりに行くな~。待っててくれ女の子達!俺の聖剣でアヘアへさせてやるぞ~~」



「ここが今日の娼館か~、楽しみだ~。」

がちゃ、扉を開けて俺は絶句した。


「あ……ぁ、、ぁ、、なん、で……。」


「な~に?私たちがここに居て悪いことでもあるの~?ねぇレイ君?」

「そうですよ~レイド~。」


「チェンジで!!!!」

そう叫んで逃げた。


そうだ!他のところに行けば……!!幸いにもパルには娼館が10個くらいある、、まだ、、まだいける!!!


入っていったところが見られないように他の娼館の扉を開けてすぐに閉める。

「ふ~。あいつらなんでここに来てんだよ、ってかなんで俺より早く着くの?一応俺速さには自信あったんだけどな……。まっ、いっか!すいません、1番おすすめの女の子1人、いや2人お願いします。」

そう受付の人に言った。


「すみません、お名前はレイド様でお間違いないですか?」


「ええ、間違ってないですが……なにか問題ありましたか……?」


「……いえ、その大変言いにくいのですが国王命令で娼館でのサービス停止命令が出ておりまして……あとその、国王陛下よりレイド様が来たら伝言してくれとのことで、失礼ながら読み上げます。『すまんレイド……娘に脅された、許してくれ…儂もまだ死にたくないんじゃ……。あと帰ってきたら娘の部屋に来いと伝言を頼まれた、、、すまん。』だそうです。」


「えっ、、それじゃあ俺の楽しみは……

「ないわよ~こっちに来なさい。」

二人に肩をガシッとつかまれ言われる。両肩をつかまれている、、、もう逃げることはできないだろう……つまり言い訳をしなければ、、、。


「はっ、はははっ二人とも奇遇だね!あ、あれ~ここって食事できるところじゃなかったの!?間違っちゃった、、、。」


二人とも目が笑ってない、、、あっこれはもうだめですね。


「あっあの怒ってますか?」


「「うん!!」」

満面の笑みで答えられ、本能が土下座しろと命令してくる。


「あ、あのすいませんでした!!で、できるだけ優しくしてください……。」

土下座しながら二人に頼み込んだが……


「「ん?何か言った?」」


「いや、あのだからできるだけ優しく…


「「ん?何か言った?」」


「いや、何も言ってないです。」


「「じゃ、行こっか!」」


「はい……。」


願わくば私に神のご加護を……。ずるずると引きずられていく男の顔は死期を悟ったような清々しい顔をしていた。

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