第6話 依頼

「すまない……レイド…一刻の猶予もない事態なんだ。辺境都市パルにてスタンピードが発生した。Sランク冒険者たるそなた以外に頼れる人がいないのだ。鎮圧してくれないだろうか……。」

王が頭を下げながら申し訳なさそうに言う。


なんだかんだ言ってお世話になっている人だ、助けになってやりたい。

「わかりました。鎮圧に向かいます。」


「すまない、ありがとう……。」


俺は王に近づき、

「その代わり今度おすすめの娼館奢ってくださいよ。」


「ああ、もちろんだ。久しぶりに儂も行きたかったしな。」


悪者化のようにニヤニヤしながら握手をした。やっぱりこの人は分かる人だ。


すぐに支度をしに家に帰ろうとするとシャルロッテに呼び止められる。

「レイド様……どうして私から逃げたんですか?私の事嫌いなんですか?ねえ?ねぇ!!」

「ひぇっ!!」

今捕まればおそらくあの世行だろう、そう俺の直感が告げていた。

「シャルロッテ、俺はお前との結婚を国王陛下に認めてもらうために今から仕事をしてくる。だから少し待っててくれ。」

嘘でも取り繕っておかないと死ぬ気がして、とっさに口が動いた。


「もう……それならそうと言ってくれたらよかったのに~レイド様ったら!」

嬉しそうな彼女を横目に走り抜けていく。



家の扉を勢い良く開け急いで準備に取り掛かる。


「ねえ?レイ君どうしたの?」

「いやパルでスタンピードが発生したらしくて、それの鎮圧に行かないといけなくなった。だから少しの間家空けるぞ。ミリアとナミは家で待っててくれ。」


二人がきょとんとした顔でこちらを見てくる。

「ん?なんだ?どうかしたのか?」


「いや、私達も一緒に行ったほうがいいんじゃないかと思って。私も一応Sランク冒険者だし、ナミちゃんもAランクの頂点だし……。」

「そうです、約に立てるはずです。」


くっ……気づかれてしまったか、、、。スタンピードの鎮圧が終わったら沢山女遊びして帰ってくるという野望が……。しかしここで諦める俺ではない……!!いくつもの修羅場を乗り越え、幾度となく言い訳をしてきた。これは、いける!!!!


「いや、、、万が一にもお前らが傷つくのを避けたくてさ……頼むから家で待っててくれないか?」

完璧すぎる!!これは勝っただろ!!


「ふーん、まっそういうことならここで待っててあげようかな~。」

「そうですね~。」

珍しく二人とも大人しく引き下がった。


そのあとはローブを着て杖を持って、食料を持って扉を開ける。


「行ってきます!!」


「「いってらっしゃい~」」


微かに締まりきってない扉から二人の笑みが目に入った気がするが、気のせいだろう。

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