第九章 デデンデンデデン アイルビー バック

閑話 優しい姉貴によるクソ兄貴との解説

「それで、結局何がどうなったんですか?」


「???」


「ファイーブに話したことのどこまでが本当なんですか?私がぺルちゃんに出会ったのて8年ほど前だった気がするのですけど。」


「んーとね。まとめるとこんな感じ。」






・8年ぐらい前


<教会サイド>


第五席ちゃんペルを悲劇のマリアに祀り上げたいな。見た目も能力も成長性も申し分ないしきっと教会のよき駒になる筈。どうしようかな、大切な家族が死んで復讐に燃えるのは英雄譚の鉄板だよね。よし、最愛の兄である第七席君に死んでもらおう。第七席君ペルの兄のテリトリーは王国付近か。よし、第七席君には化け物ファイーブにぶつけよう。


ファイーブが第七席君を殺したら第五席ちゃんが悲劇のヒロインになって、もし第七席君がファイーブを殺せたら超ラッキーだ。期待はしてないけどね。


あ、そうだ。王国に第五席ちゃんを派遣しないと感動的な死に別れが出来ないな。んーと、どういう名目で派遣しよう。あ、そうだ。スリーを殺すように命令しようっと。アイツ教会の後ろ暗い所知っているから死んでくれたら嬉しいね。



<121番サイド>



お、今度も殺害か。ん、なになに?王国の第五王子の殺害?よし、任せろ。

‥‥なんなのあいつ。化け物かよ。全然殺せないし。泣きそう。


<俺サイド>


お、俺宛に暗殺者か来てるじゃん。嫌だなー。ん、なになに?第五席ちゃん英雄化計画?え~阻止したいな。でもそんなのしたら教会に目付けられるしな。あれ、もしかして第五席ちゃんって今の仕事に嫌気がさしている?もしかして交渉の余地あり?



よし、第七席君121番をファイーブが殺したことにして、ファイーブと第五席ちゃんをイイ感じにぶつけよう。第五席ちゃんは重度のブラコンらしいし情報統制すればいけるっしょ。


ここが第五席ちゃんの経営する娼館か。脅し材料にできそうだな。あ、第五席ちゃん?交渉しよ?俺を殺すの待ってくれないかな?え、報酬?ああ、勿論払う祓う。スローライフの支援とかその他諸々なんとお値段ワンキュッパ!


(どうせファイーブに殺されるんだから何でもいいさ。)



あ、ところで第五席ちゃん。君の同胞であるアラヤ人が(俺がお膳立てして)ファイーブ君によって救出されたの知っている?え?そいつにお礼がしたい?もちろんいいよ~。アイツ最近落ち込んでいるからさ、(俺の都合のいいように)助けてやってよ。





<ぺルサイド>


・8年前


お仕事は楽に終わりそうだな。ここ兄さんの管轄っぽいし後で遊びに行けるかな。ん?誰だい君?え、第三王子?え?交渉?何でそんなことをしなきゃ‥‥もうちょっと詳しく。うん、うん。それなら兄さんに会いに行けるし、お仕事の言い訳もできるな。よし、交渉成立だよ。


え、同胞のアラヤ人を救ったのがファイーブ王子?勿論会いに行くよ…しめしめ、上手く籠絡すれば教会から褒められるな。

‥‥ファイーブ可愛いなぁ。








・最近



<俺サイド>


ファイーブと第五席ちゃん大分仲良くなったなぁ。そろそろ教会の依頼に偽装して第七席君に『サーシャ様殺害依頼』を出そうっと。アイツの攻撃からファイーブ守るの本当に面倒臭かったなぁ。


<121番サイド>


え、追加の依頼?なになに?サーシャとかいう獣人の殺害が優先?え、第五王子の使命は中断?ちょっと嫌だな。何か俺が無能と言われているみたい。あ、そうだ。来週らへんにターゲット二人が一緒にいる時があるな。その時に狙おう。第三王子と第四王子?まあ無視していいだろ。噂じゃ激ヨワらしいし。


これが終わったら妹とどっか遊びに行くか。



<ペルサイド>



兄さんが死んだ??踏み絵??ファイーブのせいで??

教会の依頼?王国の王族を一人殺害しろ‥‥?


<教会サイド>


ありゃ、第七席はちゃんとファイーブに殺されたけど、第五席ちゃんもファイーブに返り討ちに遭っちゃったか。残念。次の作戦でガンガン行こう。








<ファイーブ>


ペル大好き。

スリー兄さん大好き!!


<フォー>


スリー兄さん大好き!!



「・・・みたいな感じだね。」



「改竄しないで下さい。誰も兄上を大好き!なんて言いません。」



「言い方もうちょっと優しくしようか。」



「サーシャ様を狙ったのは?」


「教会の命令だよ?第七席君は忠実に任務をこなしていたのさ。」


「・・・兄上が偽装した教会の命令ですよね。」


「そうとも言う。」


「彼の手下が王城に侵入できたのはもしかして?」


「まぁ、影がサーシャ様のいるところに辿り着けるように誘導したからだね。イイ感じに弱らせたから、容易に制圧できたろ?8年間もアイツのやり方見てきたから簡単だったよ。」


「‥‥クソ兄貴だな。」


「誉め言葉どーも。」


「誉めてねぇ‥‥。それにしてもペェちゃんの符丁が石っていうのは意外ですね。石って硬いし重いし嵩張るし。いいことないでしょう。」


「ああ、嘘だからね。符丁とか無いし。」


「え?」


「『キャンセラー』だよ。でもそのまま渡すのって何か味気ないよね。死者の形見とかロマンチックじゃないて思ってさ。」


「は?」


「そもそも石が符丁とかありえないでしょ。一流ならそんなの要らないんだよ。」


「本気でこの人と縁切りたくなってきた‥‥。」

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