祖は目覚める
深く沈んでいた意識が浮き上がる感覚がする。
ゆっくりと誰かに引っ張られているような感覚がする。
誰かが呼んでる
会いたい会いたいと泣いてるような声が聞こえる
起きないと
その声を聞いていると起きないとと思ってしまう
知っているような人の声に引かれる様に意識が上に浮かび上がるのを感じる。
(ああ、目が覚める)
三代目・星輪
封印が解けた祖を見つけたボク達は直ぐにボク達が住んでいる家に連れ帰りベッドに寝かせた。
(祖は目覚めるかな?、、、封印が解けたばかりだから深く眠っているだけなのは分かってるんだ!けど、何故か不安で不安でたまらないんだ)
「、、、、祖はもう少し目覚めないだろうな、、、しかし、祖が輪と同じくらいの年のしかも女の子だとは思わなかったな」
「、、、確かに氷が言う通り私達の一族は男しかいないはずなんだが」
「は?雷それ本当か?確かに母さんは違う一族だったし俺が見た一族の人も全員男だったけど」
「男しかいないのか?それとも祖の代には女の子が居たって事なのか?」
最後にボクがそう聞くと氷と雷が顔を見合わせてから説明してくれた。
(確かにボクと嵐は二代目しか見てないけど全員男だったな)
「いや、祖にも女の姓をもって生まれたものが居たそうだ。ただし3人しか居なかったらしい」
「二代目も三代目も男しか居ないしな」
「なんでそんなに女が生まれないんだよ?」
「祖の代でも3人?」
確かにそう言われるとほとんど男しか生まれていないのが分かる。
「オレも親父から聞いた話だからな?オレ達の一族に女が生まれるのは奇跡的な事くらいないらしい。そして一人目は成人すると力が強すぎて体が持たなく死んでしまうみたいだ」
「もう一人はある方法で成人しても生き残ったらしい、、、我が一族の女は全てそうであるみたいなんだが全てが魅力的ならしい。何が魅力的なのかは私も教えてもらえなかったのでよく知らない。話を戻すがもう一人は全てが美しく魅力的で他の者達にもよく狙われその者達で殺し合いを目の前で繰り広げられ穢れが溜まり死んでしまったらしい」
「3人目の事は聞いた事がなかったが、、、封印されていた祖の事だったみたいだな」
ボク達の一族は女の人が生まれてもあまり長く生きていけないみたいだ。
「ああ、だからあの白い布か」
「嵐?どういうことだ?」
2人の話を聞いたあとに嵐が何かに納得したような声をだしたので聞いた。
「あの大量にあった白い布だよ」
「白い布がどうしたのだ?」
「まず、クリスタルの中に祖が居たのは俺らも分かってたよな?」
「うん、見えなくても居るのは分かってたぞ」
「祖の姿が見えなかったのは白い布が祖を覆ってたからだってのも分かるよな?」
「あんなにたくさんあるとは思わなかったけど分かるぞ」
「祖を白い布で覆ってたのはもしも、、、つまり俺ら一族以外の奴に祖自身または祖が入ったクリスタルが見つかった時に祖の性別がばれない様にしたかったからなんだなって事だ」
「あ、本当だ、、、もしもの時を考えてたんだな」
確かに祖がクリスタルの中に居た時は白い布が祖の周りを覆っていたので祖の姿が全く分からなかった。
「祖、、、起きてくれるかな?」
「、、、大丈夫だ。祖の封印が解けたということは祖はもう癒す必要がないってことだからね」
「けど、、、祖に俺らの一族には祖はもうクリスタルに入ってたこの祖一人しか居ねぇとかの説明どうするんだよ。俺はしたくねぇぞ?」
「、、、それはオレらがするさ、、、祖が起きたらな」
ボクは祖の手を握り雷はボクの手と祖の手を一緒に包む様に覆い嵐はボクとは反対の祖の手を優しく撫で氷は祖の頬を優しく撫でていた。
(ああ、みんなボクと同じなんだ。祖に会いたいんだ。もう会ってるけど何か違うって感じるんだ、、、、祖、、)
「起きて、、、会いたい」
ボクがボソリとそう呟くと祖のまぶたがピクリと動いた。
「ッ!」
「、、、ん、、」
ゆっくり祖の目が開くのを固まって動けないボク達は見守るしかなかった。
(目が開く、、、祖が起きる)
「、、、ん?、、、?」
まだ半分くらいは眠っているだろう祖は目を開いて祖を囲んでいるボク達を見た。
(、、、金色?、、橙色?、、ハチミツみたいな目の色だ、、、綺麗、、、、)
「、、、、。」
「、、、、。」
「、、、、。」
「、、、、。」
「、、、?、、ああ、おはよう」
目覚めた祖はとても美しい声でそう言ってボク達を見て柔らかく優しく微笑みながら言った。
「会いたかったよ、、、私の可愛い愛しい子供達」
その優しく慈愛に満ちた声を聞いた瞬間にボク達の瞳から涙が流れた。
(会いたかった、、、やっと会えた、、、嬉しい、、、ずっと会いたかったよボク達の祖)
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