祖である私は一族では異端

眠っている。

深く深く眠っている。

、、、何か声が聞こえる。

、、、これは兄様の?

ああ、あの時の記憶か。




兄様達が私に良く言い聞かせていたことがある。

それは私が一族で少し異端であったからだ。

異端といっても兄様達はその事をけっして嫌悪しているわけではない。

むしろ喜びの方が大きいと言っていた。


「いいかい末の?我が一族はそのほとんどが男だ。女の姓をもって生まれたのはお前を入れても3人しか居ない。

先に居た2人は我らからしてもかなり昔に居た者達だったが、、、、2人とも200を越える前に亡くなっている。

一人は100を越え成人してから少しして亡くなっている。

力が強すぎて体に負担がかかりすぎ持たなかったんだ」

「そして2人目も強すぎる力を持っていたがある方法で成人しても体にあまり負担をかけず生きていたのだが、あまりにも魅力的であらゆる者達に狙われ目の前で血を流す様な争いがよくあったらしく穢れが溜まり過ぎ倒れた。

そして一族の者達が穢れを頑張って祓っていたがそれでも穢れが溜まるのが早すぎて祓いきれず2人目の一族の中でも繊細で美しい心にも負担がかかり200を前にそのまま亡くなってしまった」


兄様達は私を心配して何回も何回も同じ話を私に聞かせた。


「我が一族に女の姓を持って生まれてくると一族の誰よりも強い、強すぎる力を持って生まれ成人すると力がもっと強くなる。

だから成人する前にお前には魔法をかけて子供の姿で過ごしてもらう」

「そして、一族の中でも美しくあまりにも魅力的な匂いや容姿そして魂をぼやかす為にある封印をかける」

「お前には負担はあまり無いがずっと子供の姿で生きていく事と力を大幅に制限して生きていく事になる、、、すまないな」


兄様達は私がほとんどを子供の姿で生きていく事と力を制限されて生きていく事に罪悪感を感じてるらしいが私はむしろ感謝しているので何時も兄様達が謝ると言っていた。


「兄様、私は兄様達に感謝しかしていません。私が死なない様に苦しい思いをしないようにして下さるだけでしょう?

ありがとうございます兄様達、大好きです!」


そう言うと兄様達は泣きそうなだけど嬉しそうな顔で私を抱き締めてくれた。





三代目・星輪視点


目が回復して祖のクリスタルがあった場所を見たあとその下に何かあるので下を見ると白い布がたくさん落ちていた。

その事をみんなに伝えると直ぐに駆けつけて来てくれた。

けどみんなもこの白い布に少し困惑しているみたいだ。


「何故、白い布が?」

「しかもこんなにたくさん、、、」

「祖のクリスタルに入ってたって事じゃね?」

「だが、それなら祖はどこに、、、」


ボクは白い布の中に小さな膨らみを見つけて言葉を切ってその膨らみに近づいた。

(なんだろう?ボクと同じくらいの大きさかな?)


「おい?輪?」

「どうした?」

「あそこにボクと同じくらいの膨らみがあるんだ」

「ん?あ、本当だ」

「ちょっと待ちなさい。オレが捲るから待ってくれ」

「オッサンじゃなくても良いだろ?」

「危険があるかも知れないだろ?こういうのは年長者に任せなさい」


みんなが膨らみの近くに来ると氷がそう言い白い布を掴んで勢いよく捲った。


「え?、、、女の子?、、いや、この子は、、、」

「は?なんで女の子が?」

「大きさ的にボクと同じくらいか?」

「、、、女の子?、、、いや、けど、、」


女の子と聞いてびっくりしたが膨らみの大きさ的にボクと同じくらいの年の子かと思ったのだけどその子をちゃんと見た(ボクと嵐は雷が前に居て見えなかった)二代目の2人がなんだか混乱していた。

(どうしたのだ?)


「おい!どうしたんだよ!ちょっと俺にも見せろ!、、、え?」

「ボクも見るんだぞ!、、、あ、あれ?」


固まった2人を負無視してボク達も女の子を見てみる。

白い布に囲まれて眠っている白いワンピースを着た女の子を見た瞬間に色々な感情がわき上がってきた。


嬉しい

敬愛

暖かい

帰れた

甘えたい

やっと会えた


様々な好意の感情が自分の中で混ざりあいぐるぐるしていて苦しくなる。

(ああ、ああ、、、泣きたいくらい嬉しいのに嬉しすぎて苦しい、、、誰なんだ?、、違う、、ボクはボク達は知ってるはず、、、)


「ああ、ああ、やっと会えた。

我らが祖

御待ちしておりました」

「やっと、やっと会えた、、、やっと」

「ああ、そうだ、、、俺らの祖だ」

「、、、嬉しい、、、」


最初に氷が喋りその次ぎに雷がその次ぎに嵐が最後にボクがやっとやがて喋れた。

(長い長い封印が解けたんだ。やっとボク達の前に会いに来てくれたんだ)






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る