第39話 僕の心にいる君へ
沙紀を家に送り届けた後、僕はそのまま羽田に引き返した。
羽田空港に到着してすぐにメッセージを送信した。
『献血に行きませんか』
すぐにレスがつく。
『この前行ったばかりだから当分行けない』
ついため息が出てしまった。
ブルッとスマホが震える。
『あのね、献血以外で誘ってくれてもいいんじゃないの?』
パンチのスタンプがついてきた。
『プロポーズしたいから、献血に行きたかったんだ』
『先に言っちゃったらサプライズにならないでしょ。ほんの少しでもロマンのかけらくらいふりかけてくれてもいいんじゃない?』
『どうしても早く伝えたくて』
『女子はね、自分のコイバナにときめきたいのよ』
なんだよ、スイーツ系の方が好きって言ってたくせに。
どうせ、どっちも甘いから好きなのとか言うんだろうな。
やっと女子の気持ちが分かるようになった。
またスマホが震えた。
『そっちがその気なら、こっちも先に言うけど、OKだからね。ザマアミロ』
『ありがとう。凛、愛してるよ』
スマホをしまおうとしたとき、もう一度震えた。
『ちゃんと全部話してね。聞くから』
今までも長かった。
これからもずっと続く。
時間はたっぷりあるだろう。
僕の心に君がいる。
君の心に僕がいる。
僕は魔法を知らない。
この一瞬を永遠の時間に変えることなどできない。
だから今この瞬間、全力で君を抱きしめなければならないんだ。
もう、恋なんてしない。
そんなふうに思っていた頃もあった。
だけど今、僕たちの時計は新しい時を刻み始めたんだ。
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