第18話 寮生活が楽しみなのは初めだけ
「腕立て伏せ、開始!!」
ピッピッピッピ!! その頃、リイカとミスケアは何故か実験室で腕立て伏せをやらされていた。
「え? ナニコレ、ドユコト?」
「リイカちゃんが遅刻して、別な教科書を持ってきたからでしょ!!」腕立て伏せに苦しみながらミスケアはツッコンだ。
周りからは、クスクス笑う声が、広がっている。
「やっぱ面白いな、あいつら」ケンカも子供じみた笑顔をしている。横で、レイシアが不満そうに見つめているのには気付きもしない。
魔法化学の授業は、ブザラド・ツベンクリン先生、長い髪を鉢巻きで結び、更に額にも鉢巻きをしている。どう見ても体育系、どうしてこの授業を担当しているのか分からないほどの見た目をしていた。
「バカ者!! 全く、授業に遅れ、教科書も忘れるとは、何事だ!! 罰としてそこで腕立て伏せ100回!!」
「「ええー!!!!!????」」
「ああああーーー、今日は本当に疲れたー」
「もう、リイカちゃんが忘れてきたせいでしょ」
「ああ、ごめんごめん」
あの後、授業が10分後には腕立て伏せを終わらせていたが、疲労が激しすぎて、特にミスケアは体力があまりなかったため、授業があまり入ってこなかった。
「授業で分からないことがあれば、いつでも聞きに来てくれ。特に!! リイカ・ポートフォリオ!! お前は今、学校では要注意人物として認識されているのだからな!!」
「え!? 私!? なんかしましたか!?」ツベンクリン先生は呆れたと言うような顔をして「休憩時間、お前が何をしていたか忘れたのか?」
2時間目の休憩時間の時、ヴァルセレと言う魔女生徒に財布を盗まれてナパーム先生にぶつかり怒らせてしまっていた。
「ああ、ええと、その、あれは」
「良い訳は、これからは心を入れ替えて行動するように!!」
とリイカは念を押されていた。
「あーあ、今日は、初日なのにいろんなことがありすぎだよ」
「そうだね、色々なことがあった」色々と、と2度目に言った時は、どこか感情を抑えるように教科書で顔を隠す。
「あ!!」リイカが突然叫び、ミスケアはしゃん!! と声を上げてびっくりした。
「ど、どうしたの!? いきなり叫んで」すると、リイカは、人差し指を立てて、ミスケアの前に立って期待に膨らませたように言った「寮生活だよ!! 寮生活!!」
「楽しみだなー!! どんな子と一緒になるのか」
「あはははは……」リイカ達は自分たちの寮、アステルセイスの寮に向かいながら、リイカは楽しそうに腕を振り上げながら歩き、反対にミスケアは不安にさいなまれるように顔を曇らせて、教科書で口と鼻を隠しながら歩いていた。
リイカはミスケアが元気がないのに気付き「どうしたの、ミスケア、もしかして、不安?」と言って、ミスケアの顔を覗き込む。
ミスケアは「い、いえ」と否定したものの、やはりどこか暗い雰囲気を醸し出す。
「やっぱり、自分のことを何かいわれるんじゃないかって不安?」そう言うとミスケアは表情を和らげて教科書を顔から離した。
「リイカちゃんは優しいですね。でも、違います、私が不安なのではなく、その」
「ん?」するとミスケアは恥ずかしそうに体をよじらせて「は、初めて、できた友達と離れたくなくて」と言った。
「ップ、アッハッハッハッハ!!」リイカは突然、笑い出した。自分がこんな真剣な話をしているのに笑われたのが若干腹が立ち「ど、どうして笑うんですか!!」とちょっと起こったように言った。
「アハハ、ごめんごめん、でもさ、友達は私だけじゃなくても何人でもつくれるんだよ」とリイカは微笑む。
「まあ、そうですけど」それでも、ミスケアは不安そうな顔をしている。
「ま、何がどうなってるかは、寮に着いてからで!!」
2人は寮につく、寮には、まず門にガーゴイルの像が置いてあった。「こんな所にもガーゴイルの像が置いてあるんだ」とリイカは驚いた。そして中に入っていくと、広い庭園があった、軽い勝負とかしたり、弁当を食べたりするにはちょうど良かった。「うわ!! 大きな木!!」
中央には、寮は5階建てとなっているが、その高さを越した大木があった。
「何か祭典がある日とかはこの木にデコレーションとかして盛り上がるんだろうね!!」
「うん、そうだね、花見とかの日も綺麗になりそう」とかそんなことを話している内に屋内についた。中は、意外と魔女の寮だから、そこら辺にヤモリの干物とか置いてあるものかなと思っていたが、普通の家のように、木造の広い廊下が広がっていた。でも、もちろん造りが大きいから廊下もかなり広い。
「あ!! リイカちゃん、生徒の部屋番号が書かれてある!!」2人は急いで、その紙の前に来た。
「えーと、私の部屋番号は」
「わ、私の部屋番号は」
「「777だ」」え?と思い2人は顔を見合わせた。部屋番号777の生徒の一覧にはこのように書かれてあった。
『リイカ・ポートフォリオ』
『ミスケア・スケアリィ』
『ティナ・オードバング』
『イルイニス・グスコーグル』
と4人の魔女生徒の名前がかかれてあった。
「やった、一緒の部屋だ!!」2人はその場で抱き合った。
「寮のなかでもよろしくね、ミスケア!!」
「うん!!」
その後は少し一苦労であった。まず、自分たちの部屋はどこにあるのか見てみると5階にあり、更に、寮は入り口が3つあって、自分たちの部屋は左の入り口にあるので、今自分たちがいるのは右側の入り口となので、左の入り口に移動し、その後の20段もある階段を4回上るには、魔法実践、魔法化学の腕立て伏せが効いているのか体力がなくなった2人には少々きついものがあった。
自分たちの部屋にたどり着くころには、2人ともゼェー、ゼェー、と肩で息をしている状態であった。
「自分たちの部屋に行くだけで、なんでこんなに疲れなきゃならないのかな」
「仕方ないよ、魔法化学の時の腕立て伏せが効いているんだよ」
「あー、明日、私絶対、筋肉痛になるわ」そんな会話をしながら、部屋の前についた。
すると、リイカは背中をシャキッと、伸ばしてさっきまで疲れていた表情をキリッと凛々しい表情に変えた。ミスケアは、緊張して表情を強張らせている。
「さぁ、ここから私たちの新しい生活が始まるんだよ!! ミスケア!!」
「そ、そうだね」ミスケアは顔を引きつらせている。
「こぉらぁ」そう言ってリイカはミスケアの顔をほぐしだした。
「な、なにしゅるの? リイカちゃん」
「そんなに、強張らせないで!! 何が来てもどんとこいの精神でい・く・の!!」そう言ってミスケアの顔から手を離す。ミスケアは離されると少し表情が明るくなった。
「そうそう、そんな感じ、じゃあ行くよ、ここから始まる、私たちの魔女寮生活!!」
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