第16話 パンを食べながら歩く女の子って絶対いない

「あ~、疲れた~」

 魔法実践の授業が終わると、リイカは机の上に突っ伏した。

「ていうか、ミスケア、何で一方的にやられてるのよ」

「あ、あはは」ミスケアは申し訳なさそうに笑う。

 その後、ミスケアは、対戦相手にあっけなく負けた。

「もう、みんなを見返すチャンスだったのに~」そう言ってリイカは顔を膨らます。

「うん、ごめん」ミスケアの目は下を向いていた。

「……まさか、周りの目を気にして集中できなかったわけじゃないでしょうね」リイカがそう言うとミスケアは「え!? そ、そんなことないよ!」と声を上ずらせていった。

「ふーん、ホントに?」ジト目でリイカはミスケアをみる。

「ほ、ホントだよ!!」と弁解したかと思うと「ほら、次は、魔法化学の時間でしょ、実験室にいかなくちゃ!!」と言って、無理矢理話を取りやめた。

「まあ、そうだね」リイカはどこか心にモヤモヤしたものを抱えながら、実験室に行く準備をした。

 その時、ちょうど予鈴のチャイムがなった。リイカは、中々教科書が見当たらないので、ミスケアに「先に行ってて!! 後から追いつくから!!」「わかった」そう言って、ミスケアを先に行かせた。

そして、「あった!!」もう授業の開始が鳴りそうな時間にやっと教科書を見つけた。

「もうこんな時間!? まずい、急がないと」そう言って、廊下を走って実験室に向かって言った。



 一方、ティグレスセイスの方から

「ああもう、マキルガが教科書を行方不明にさせなければ」

「五月蠅いわね、先に行ってて良いって言ったでしょ?」

「いや、1人で行くの心細いし」

「はあ!? 何よそれ!!」



「まずいまずい、遅刻したら絶対怒られる、ていうか殺されるかも!!」

 リイカたちは、次の授業に遅れないように、走っていた。周りに人がいるかもしれないことを考えずに、だから曲がり角に人がいることなんて全くかんがえていなかった。



 ドン!! 2人は曲がり角でぶつかった。

「いつつ……ごめん、ちょっと前みてなくて」リイカが謝る。

「え、ええ、気にしなくていいわ、こっちも不注意だったし、って、あ!!」

 リイカが見ると、そこには、炎のように赤い小さなツインテールの魔女生徒、マキルガ・シファーと、帽子を被っている青い髪をした魔女生徒、シドニー・ウェルザードがいた。

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