第118話 傭兵11



ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!




光るレーザーの様な無数の玉が冒険者やアルメリアの兵士達に襲い掛かる。



「【プロテクト】!!!」



「【プロテクト】!!!!」



前衛にいる魔術師達が上位の防御魔法を唱える。



展開した防御魔法に光る玉が当り、衝撃と煙が上がる。




「いくぞ!!!!!」




防御魔法で防いだ瞬間、アッシュが駆け、

一気に距離を縮めるとロボットの懐へと飛び込んだ。




ギャィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!




胴へと一刀を入れる。



鉄と剣のぶつかる音が響く。



!!!!! 



切れないだと?




「アーシュ!!!

 ロボットの名前は【カルガラ】!!!

 レベルは・・・・・260だ!!!!」



副マスターのロック=レオナルドが魔法【アイズ】を使って叫ぶ。



260???

高い!!!!

トップパーティとそんなに大差ないレベルだ!

しかも・・・・・



アッシュは周りを見渡しながら呟く。



「それが1,000体以上だと?」



「アッシュ!前!!!」



ハッ!



一刀を入れたカルガラが、銃を持ってない方の手の拳から短刀を出すと、それをアッシュに向かって振り下ろす。



同時に、隣にいたカルガラが同じ様にアッシュに横から振り下ろす。



一瞬考えた為、動きが遅れた。



ギィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!



目の前の攻撃を刀で防ぐ。・・・・・が、横からの一刀が間に合わない。




ちっ!!!




その一刀を受ける為に力を入れる。・・・・・と、そこに後ろから声が聞こえた。



「一人で先に行くのは得策ではないぞ。

 冒険者よ。」



ガンッッッッッッッ!!!!



横から来た一刀を、素早く間に割って入った【アルメリアの盾】のサイクス=クリウスが愛用の盾で止める。




「そう言う事だ。・・・・・ハァァァァァ!!!」



先程、アッシュが一刀をいれた同じ所に

【アルメリアの剣】のレイノルズ=ファミリが大剣を入れる。



ザンッッッッッッッッ!!!!!



その一刀が、カルガラの鋼鉄の胴を切り裂く。



すると、斬られたカルガラは、更に攻撃を加えようと、動きが鈍くなりながら銃を先にいる冒険者に向ける。




「精霊魔法【ライトソード】。」



ザザザンッッッッッッッ!!!!



一瞬、上空が光ったかと思うと、光の斬撃が動きが鈍くなったカルガラに降り注ぐ。



光の斬撃が収まると、カルガラの腕が落ち、体全身、火花が散り、目の光がなく、動きが止まっていた。




「油断しないようにね。」



数メートル後ろから【アルメリアの杖】のへーリックが言う。




アッシュは思う。




・・・・・アルメリアの将軍達。

・・・・・強いな。

我々トップパーティと同じ位かそれ以上か?

しかしそれでも・・・・・




戦況を見ながらシュバインは言う。



「まずいですね。相手のレベルが高い。このまま戦うとこちらの被害が大きくなります。

・・・・・一旦、下がりますか?」



すると、アルメリアの兵がシュバインの隣にいるヒッキに小声で報告する。



「・・・・・いや。このままいきましょう。心強い仲間が来たみたいですから。」



「仲間?」




ビュッ!!!




ヒッキの隣で何かが勢いよく通り過ぎ、そして。




風が吹いた。




カルガラの一刀を防いでいたサイクスが、盾でその短刀を押し返した時だった。




ピシュピシュピシュピシュ・・・・・

ピシュン!・・・・・・・・・・。




ズズズズズズズズズ・・・・・ズズン!!




戦っていたカルガラと、その周りにいる数十体のカルガラが、一瞬に首や胴、足を斬られ、地面に落ちる。



「君は・・・・・」



サイクスは言いかけながら見ると、バラバラに切り刻まれたカルガラの上に、一人の女性が立っていた。



誰しもが息を飲むような美しい顔立ち。

雪の様に白い肌に白い髪。

そして透き通った青い瞳。




「白雪ちゃん。」




凛として立っている女性は、白雪だった。



白雪がサイクスを見て笑顔で言う。



「久しぶり。サイクス君。私達が先陣を切るから、サイクス君やへーリック君、あと他の冒険者達はフォローをよろしくね。」




ヒュッ!




後方にいるヒッキが白雪を見ていると、いつの間にか、隣にはまた一人、仲間が現れた。



ショートカットの可愛らしい女性だ。



「ラフィンちゃん。」



ヒッキが突然隣に現れたラフィンに言う。



「やぁ!ヒッキ君!僕達も応援に来たよ!後は僕達に任せて援護よろしく!!!」




ヒュッ!




ドンッッッッッッッッッッッッッ!!!!!




あっという間に消えたかと思うと、白雪を通り過ぎ、カルガラの胴に蹴りを入れる。



カルガラは、くの字になり、その破壊力で背中から中の部品を飛び出しながら吹っ飛んでいった。




ビシャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!




白雪とラフィンの周りにいたカルガラの頭上に、大きな雷が落ちる。



雷の最大魔法を使っていた革命組織のリーダー、ビジュン=フラコネスよりも、遥かに強い威力の雷だった。



カルガラの目や関節部分から煙が上がり動きが止まる。



「・・・・・へーリック。・・・・・この位やらないとダメ。・・・・・止まらないよ。」



へーリックの隣に、いつの間にかキリアが現れて言う。



「ハハハハハ。キリアちゃん並みの魔法なんて、流石に打てる者はいないよ。」




ブワッ!



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!




へーリックが言いながら肩をすくめるのと、同時に、無数の光の矢が味方を通り過ぎ、カルガラに刺さる。



その光の矢は、カルガラを貫くとそのまま消えていった。



「よし!今日も絶好調だ!!!」



後方で弓を構えながら、笑顔で立っている。

金の髪の青年。・・・・・カイトだ。



そのカイトの隣で、女性が声をあげる。



「皆さん!負傷したらすぐに私の所へ!!!」



長く美しい赤い髪をなびかせながら、アイリが言う。





・・・・・世界一のパーティ。

【ホワイトフォックス】のリーダー、白雪。


あのロボットを斬っても、一回じゃ斬れなかったのに、いとも簡単に斬っただと?

どれだけレベルに差があるんだ?


くそっ!・・・・・敵わないわけだ。

だが、必ず追いつき、トップの座を取り戻す。




先頭にいる【ヒート】のアッシュは白雪の戦いを見て固く誓った。




「いよぉぉぉし!俺達も来たぞ!シュバイン!同じ冒険者に負けてられないぜ!!!」



【たぬき】のリーダー、カズキが言う。



「そうですね。さぁ!我々も本腰を入れて戦いましょう!」



シュバインが声を張り上げる。



「【ホワイトフォックス】の皆さん!我々アルメリア軍が援護します!よろしくお願いします!!!」



そしてヒッキが叫ぶ。



白雪はヒッキを見て静かに頷く。





「さて・・・・・。」





白雪は、敵の方へと向き直すと、隣にはラフィンが、そしてキリアが並ぶ。



まさか、ヒッキ君達が来ているとはね。

・・・・・彼らは、学園時代の大事な友達。・・・・・ケガをさせない様に守らないと。






「行くよ。」






言った瞬間、3人の姿が消えた。










☆☆☆










「・・・・・そろそろ始まった頃だな」



ここは元『スコール国』。

今は『クリスタル帝国セカンド』の要塞都市

【マジュカ】。



この要塞都市を任されている中将アルファーが呟く。



「ハッ!時間には正確な御方です。おそらく戦いが始まっているでしょう。」



兵士が言う。



『クリスタル帝国』7人の元帥・・・・・

【7星】。その一人、エルビス=レーガン。



あのお方が直々に進軍なさるとはな。



まったく、我々に任せればいいものを。

・・・・・戦いがお好きな方だ。




ズズズズズンッッッ!!!!!




突然、地響きがする。



アルファーは一瞬ふらつくが、すぐに立て直し叫ぶ。



「どうした!・・・・・何事だ!!!」



すると慌てて幹部が指令室に入ってくると言う。



「アルファー中将!すぐにモニターをご覧ください!!!」



アルファーは、広い指令室の中央にある巨大モニターに映し出されている画像を見る。



「・・・・・何だあれは?」



見ると、要塞都市の外壁が綺麗に大きく円状に穴が開いていた。



穴だと?



この外壁は我らの技術で作った外壁だ。この世界で、これ程硬く、頑強な壁は存在しないだろう。


この世界の魔法と呼べるものでさえ、よほどでないと破壊する事は出来ない。



何があったというのだ?



すると、上空に、続々と大きな羽を広げて飛んでいる者が現れる。



かなりの数だ。



片方は、漆黒の羽をした女達が。



もう片方は、白い羽をした顔のない女の格好をした者達が。




異様だった。




白と黒の塊が空を飛び回っている。



そして、大きく空いた外壁の穴からは、大きな黒い女性と、銀の髪の男女が歩いている。



「・・・・・白と黒の・・・・・天使?」



アルファーはその画像を見て思わず呟いた。










☆☆☆










パンッ。




シャインが両手を叩く。



すると、消えていた僕達の姿が現れる。

気づかれず、上手く近づけられる様に、シャインに姿が消える魔法をかけてもらったのだ。



黒の一族達や白の兵隊達は自分達で消せるらしい。



「でかいな!」



要塞の近くまで来て思わず言う。



しかもイメージと違ってとても近代的なつくりだ。・・・・・何かカッコいいぞ。



「さてレイ、どうする?」



隣にいるシャインが言う。



「そうですね。それじゃ、ここからは思う存分、破壊しちゃって下さい。でも、戦意のない者や降伏する者には危害を加えない様、お願いします。」



僕が言うと、シャインは片手を天に掲げる。



すると上空に黒い玉が現れ、徐々に大きくなっていく。最後には直径7m位の巨大な玉になっていた。



シャインは片手をそのまま振り下ろすと、その大きな黒い玉が要塞の外壁めがけて飛んでいった。




ズッッッッッッッッッッッッッッッッ




鈍い音がしたかと思うと、僕達の目の前の外壁に大きな穴が開いていた。




「さっ!これで入れるわね。」




ドンッッ!!




ドンッッッッッッ!!!




ドンッッッッッッッッッッッッッ!!!!




ドドドドドドドドドドドドドドド!!!!




楽しそうにシャインが言うと同時に、要塞に搭載されているガノンが発射された。玉というよりビームの様な物が僕達に当たる。



それに合わせて、巡回しているロボット

【カルガラ】が銃を乱射する。




火花が散り、煙が舞う。




撃ち終わると、静寂になり、煙が徐々に晴れる。




僕とシャインの前に立っているエメが、片手を前に出して、白い結界を張っていた。



エメがつまらなそうに言う。



「何だ、張り合いがないのぉ。もっと強い攻撃でないと我まで届かんぞ。」



そう言うと、長剣を振る。




ザザザンッッッッッッッッ!!!




あっという間に近くにいるカルガラが両断される。



僕はそのまま大きな穴の開いた所を歩くと、左隣にいるシャインが両手を広げて言う。



「さぁ!娘達よ!戦いの時間よ!存分に楽しんで頂戴!!」



そして右隣にいるエメが言う。



「・・・・・行くがよい。」








上空で旋回していた2万の黒と白の天使達が、一斉に攻撃を開始した。


























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