第15話 帰らずの洞窟2

パチパチパチ


薪に火がついて暖かく空気を包んでいる。


今は休憩中。4階層の奥。5階層へ続く道の手前だ。


結局、蜂を全て白雪が燃やしてくれたのだ。しかし魔力の使い過ぎか、顔は青ざめ、息もあらい。



そこで、ここで休憩をする事にした。今は料理中である。



3,4階層は白雪の魔法に頼ってしまった。だからこそ、魔力の回復するポーションを飲んで、しっかり夕食を食べて休んでほしい。



食事は何にしようか迷ったが、消化にいいパスタを作ろうと思う。



ここの世界の食材は、リアルの世界に近い食材も多かった。渇いた太麺があったのでパスタに代用できるかもと思って買っておいた。


鍋に水と玉ねぎを入れて煮立たせる。そして渇いた太麺とツナっぽい物とブロッコリーっぽい物をいれる。湯だったらフライパンに移して最後にトマト汁をぶちこんで炒める。あとは、塩と胡椒で味を整えれてニンニクを少々いれて出来上がり!



「さぁ出来たよ!食べてみて。」



皿に分けて、飲み物と一緒に白雪に渡す。


味はどうだろうか。食べてみる。



うん。まずまずだ。



恐る恐る白雪が一口食べる。


パァっと顔がほころんだ。


「美味しい!こんな料理たべたことない。」


「良かった。じゃ~遠慮しないでどんどん食べてね。」


美味しそうに食べる白雪を横目で見ながら思った。


今日は大きな収穫があった。


3,4階層は白雪がほとんど蜂を魔法で倒したのでレベルは白雪しか上がらないと思ってたが違っていた。白雪が上がったレベルはそのまま僕にも上がったのだ。


僕のステータスの80%が白雪なら、僕のレベルが上がれば上がる程、白雪も上がる。それが逆でも同じだった。白雪が上がればそれに比例して僕も上がるのか。


2人で1人。


いいね。助け合ってお互いを高めていければいいと僕は思った。



数時間仮眠を取って、しっかり回復した。


白雪のステータスを見ると、体力と魔力のポーションを飲んで、食事をして休んだおかげで回復したようだ。


良かった。


「じゃ、行こうか。」


僕たちはゆっくりと5階層へと下りて行った。



☆☆☆



進んでいくと、何か黒い物がうごめいている。



何だ?



警戒しながら近づいていくと、その黒い物はくるっと丸くなりそのまま高速に転がって突っ込んできた。しかもかなりの数で。



「オイオイオイオイ!」



すかさず最初に転がってきた黒い物を避ける。そのまま次にきた物を避ける。避ける。避ける。大きい黒いボーリングの玉が高速に連続で転がってくるみたいだ。


壁に反射して横からきた。これは無理だ。避け切れない。



ギギギギィン!



剣で防いだ。


振り向くと、その黒い物はまた虫に戻っている。


でかいダンゴムシか!


丸まられると避けるか防ぐしかないかないのか?


でも剣の消耗が!


そのまま構えていると、白雪が


「・・・・・もっと私(剣)を信じて。どんなに硬くても、私(剣)に切れぬ者はありません。」


白雪を見た。


「了解!」


また丸まって攻撃してくる、それを今度は一回構えてから自ら切りかかりにいく。


「ハッ!」


ザシュ!


一刀。


そのまま連続で転がってくるダンゴムシに切りかかっていく。一刀。また一刀と。


ザシュ!ザシュ!


切った後、振り返るとダンゴムシが真っ二つに分かれて地面に落ちている。


すごい切れ味だ。あんなに硬そうな物体を何の抵抗もなく切れた。



「アイズ。」

ガンク レベル98


たけーな!でも自分たちもかなりレベルが上がっている。


「ヨシ!白雪はそのまま後ろで待機して!ここは僕がやる!」


見ると続々とガンクがやってくる。それを僕は切りかかっていった。





ここもかなりの数だった。でも今の僕なら対処できた。


複数の敵は、待ち姿勢で一気に来たところを自動で避けながらカウンター。全部切り伏せた所で止まっている魔物を速さで切りかかる。


攻撃力とカウンターのおかげで、だいたいは一撃か二撃で倒すことができている。


ここに入ってずっと複数の魔物相手に戦ってきたせいか1対複数の戦い方には慣れてきていた。落ち着いて対処出来るようになってきている。


でも、普通だったらこうはいかない。


剣の攻撃力と速さ補正のおかげで倒すことが出来ているが、複数のパーティでもこれは厳しいだろう。まず、あのダンゴムシの丸まった状態を切れないだろう。逆に剣が折れる可能性だってある。


白雪さまさまである。


ほぼこの階いるガンクは倒した。



そのまま6階層へと行くとそこはただの一本道だった。


途中ガンクが襲ってきたが、難なく倒してしばらく歩くと、次の階層の入り口がみえる。


しかし守るように3体の魔物がいた。


そこに居るのは3m程の骸骨の顔をし、手が鎌になっているカマキリっぽい魔物だった。


見た目、接近戦タイプっぽい。


これなら僕とは相性がいいだろう。


「白雪。一体頼んだ。その内に僕は2体をやる。」


「分かりました。」


先に2体が僕たちに両手の鎌を使って攻撃をしてくる。


振り下ろされる鎌を避けながらカウンター。


ザンッ!


相手の片手を切り飛ばす。


そのまま後ろにいるもう一体のカマキリに瞬時に向かい、一刀。


キィィン!


防がれたと同時に構え、相手がもう片方の腕の鎌を振り下ろすと同時にカウンター。


ザンッ!


胴に切りかかる。


「ギィー!」


攻撃を受け、奇声を上げている相手の後ろに回り込みすかさずもう一刀。


ザンッ!


骸骨の首が飛ぶ。


横を振り向くと最初のカマキリが僕めがけてもう片方の鎌を振り下ろしている。


シュン。


消えるように避けながらカウンターで切る。


ザンッ!


白雪を見ると、速さで翻弄し、頭上から2本の剣を背中に刺していた。



「アイズ。」


カイギリ レベル109



うぉ。100越えだ。



6階は以上か?と思ったその時だった。


「マスター!避けて!」


壁の中からカイギリが飛び出てきて鎌を振り下ろす。


「!!」


キィィン!


すかさず、剣で防ぐ。


危なかった。1階層であった見えない道に隠れていたのだ。


どんどん出てくる。やっぱりそう簡単に最下層には行かせてくれないよね。



「ふぅ~・・・・・。白雪。行くよ。」


「はい。」



一回息を整えて、カイギリに僕たちは切りかかっていった。



☆☆☆



「ハァ~。」


二人で一息ついている。


数が半端なかった。


50匹以上は相手にしただろうか。まとめて来られたら厳しかったが、道幅がそんなに広くないので2,3体を相手に下がりながら相手にできたのが良かった。


「かなり数が多かったなぁ。」


「ですね。次は最下層です。準備はちゃんとしておきましょう。」


「だね。」


休憩を少しとって、ポーションで体力と傷を回復させた後、下りていく。


レベルの高い魔物が複数現れるダンジョンだった。


正直、ソロだったらと思うとゾッとする。


白雪がいるだけでこんなに戦い方が変わるのか。




最下層もどんな敵なのか分からない。



気を引き締めて最下層へと向かった。

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