第5話 戦闘
テントの後片付けをして5階層の入り口から辺りを見渡している。
ここが中レベルダンジョン最下層である。
1、2階層は3mもある鬼との戦いだったが、
3、4階層は逆に1mちょっとの小鬼との戦いだった。
ただ小鬼は数が多く、すばしっこかったので大変だった・・・・・まぁ~攻撃が来るのを待ってただけだけどね。
かなりの数の魔物と戦って、この剣の戦い方には少し慣れてきた。初手は待ち姿勢でカウンターで向かい打つパターンが基本だ。それからは、状況をみてリスクがそんなにない場合はこちらからも攻撃をしかける。
レベルが上がったので多少は自分で戦えるようになってきていた。
でも、まだ速さは使いこなせないでいた。
今は剣効果で、速さ35+100だ。ある程度本気で動こうとすると早すぎて頭と目が体についていかないのだ。これはゆっくり戦いながら修業しないとだめだな。
剣を抜いて、先に進んだ。
おそらくこの階層にはボスがいるだろう。いくらカウンターがあるからって油断大敵である。
すると正面の暗闇から大勢の走る音が聞こえてきた。1,2,3・・・・・10匹の小鬼が短剣をもってこっちに向かってきている。
「来たな。」
動きを止めて構える。
小鬼は走りながら横に広がり
「ギャギャギャギャギャ!!」
一斉に襲い掛かってきた。上下左右すごい速さである。
「フッ!」
それを僕は目にも止まらぬ速さで相手が攻撃した瞬間に紙一重で避けながら順番に切りかかる。
ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!
一瞬に5匹倒し、それを見て動きが止まった2匹をすかさず振りぬく。
ザンッ!ザンッ!
切ったと同時にすぐ待ち姿勢に切り替え、残り3匹が襲ってきた所でカウンター。
避けて、ザンッ! 避けて、ザンッ! 避けて、ザンッ!
「ふぅ~。」
あっという間に10匹を倒した。同時にレベルアップの無機質な声が響き渡る。
うん。
最初はパニくったが徐々に相手の動きも落ち着いて見れるようになってきている。
とりあえず、倒した1匹に唯一覚えた魔法、アイズをかけてみる。
「アイズ。」
倒れた小鬼の上に表示される。
鬼(OGRE) レベル59
魔法アイズは、自分よりレベルの低い相手だとレベルが見れるが、高い相手だと見れないのである。ただ、高くても倒した相手や死んでいる敵なら見れた。
「59?レベル高いな!平均50じゃないの?50越えかよ。」
普通ソロで10匹相手だと苦戦する。いや死ぬか。パーティで戦ってもかなり厳しいだろう。剣さまさまである。
魔光石を回収してから刃こぼれがないか確認して、付いた血を拭き取ってから慎重に奥へ奥へと進んで行く。
何回か小鬼と戦い、突き当たりを右に曲がる前に覗いてみると、その数十メートル先に大きな扉があった。そしてその扉を守るようにして2本の角を生やした2mほどの鎧を着た鬼が左右に2体立っている。
・・・・・ここがボス部屋っぽいな。行き止まりだし。
さてどうするか。相手は2体。でも今までの鬼とは大きさも違うし、角も1本多い。大鬼、小鬼よりも強いとみて戦うべきだろう。一本道だから隠れて近づく事ができないので不意はつけない。堂々と真正面から行くしかないか。
姿を現し、僕はゆっくり剣を抜きながら歩いて近づいていく。
鬼の一匹が気づき、剣を抜きこちらに近づく。ゆっくりと・・・・・攻撃範囲で止まる。
しめた。もう一匹はまだ動いてない。
鬼が何かつぶやいたと思ったら、鬼の体に光が一瞬おおったように見えた。
「ガァッ!!」
同時に素早く切りかかってきた。左上から右下へ一直線の剣。
剣速が早い!
しかし体が反応し、すかさず左ステップで躱しながら右下から左上へ切り込んだ。
ザンッ!
「ガッ!」
ん??? 切ったが一撃で死なない!
切った流れで切り返し、左から右へ切り込む。
ザンッ!
鬼の首が飛んだ。よし!
目を向けると扉の入り口にいたはずのもう一匹の鬼がいない。
ハッっとして後ろを振り向くと、すでに相手は切りおろすモーションに入っていた。
ヤバい!
動いているから発動しない!
間に合わない!
キィィィン!!
すかさず僕はバックステップしながら鬼の剣を受けた・・・・・が、その勢いで吹き飛ばされ地面に転がる。
「クッ!」
立ち上がると同時に鬼が切りかかってくる。
「残念だったね。」
今は待ちの態勢である。
ザザンッ!
その切り込みをギリギリで避けながらの一太刀。と返しの一太刀。
鬼は前のめりに倒れた。と同時にレベルアップの無機質な声が響く。
「ふぅぅぅぅぅ。」
油断した。
一撃で死ななかった。
おそらく、最初に呟いたのは何かの防御魔法なのだろう。僕よりレベルが高い魔物と戦っているのだ。防御力も結構高いと考えるべきだった。飛ばされた時に肩が切られただけで、ライフが3分の1削られた。カッコ悪いからと防御力の高い防具をつけなかったのが痛いなぁ。
とりあえず回復だ。
ライフ回復のポーションと体力回復のポーションを飲み、一休みする。
少ししてから、立ち上がり、軽く体を動かしてみる。
うん。大丈夫だ。
では行きますかね。
僕は大きな扉の前に立ち、ゆっくりと開けた。
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