第4話 初めてのダンジョン

ログインして、宿屋のベットで目が覚める。





う~ん・・・・・・・・伸びをしてみた。


自然と笑顔になってしまう。


リアルっぽくていいわぁ~。




さて、昨晩宿に帰ってステータスをみてみると変化があった。項目が非常に多いステータスなのだが、やはり食事や睡眠を取らないと体力が減るのね。体力は今は1とあるが、体力ゲージがあり、数字が増えるとゲージが伸びるか減りが少なくなる仕組みなのだろう。


そして、なんと増えていたスキルがあった。


コミュニケーション 2


これは準備の為に色々な店にいって話をしたのが原因か?それとも薬屋のおやじと仲良くなったからか?とりあえず別に戦わなくても、行動によって上がるスキルもある事が分かった。


宿屋の一階にある食堂で朝食をすませ、ダンジョンへ行く前にまずは、いろいろと情報を聞く為に冒険者協会へ行くことにした。


そこに居たいつもお世話になっている美人なお姉さん・・・・・今度名前聞いておこう。に聞いたところ、この国のダンジョンレベルは他の国に比べて非常に高いという事だった。


世界共通のダンジョンレベルは

魔物レベル3~30 全3階層 低レベルダンジョン

魔物レベル50前後 全5階層 中レベルダンジョン

魔物レベル70前後 全7階層 高レベルダンジョン

魔物レベル?    全10階層以上 未踏破ダンジョン

とされている。


未踏破ダンジョンとは、魔物が強すぎて最後まで調査できず、断念したダンジョンとの事。そして、この国ルーンにあるダンジョンは、中レベル以上のダンジョンしかないと美人なお姉さんは言っていた。


「レイ=フォックス様はレベル1です。薬草採取かお手伝い、平野に出て戦うか、低レベルダンジョンの上層階で地道にレベルを上げるのが普通です。ただ、この国は古の国といわれているだけあって、古代からあるダンジョンだらけです。中、上位クラスの冒険者様でないと、ここで活動するには厳しいかと思います。」と心配そうな顔で説明してくれた。



なるほど。



「アルク帝国は入国する事が無理なので、南方面の隣の国『リーン』か、数国越えた先にある5大国の一つ、南の大国『ナイージャ』へ行ってみてはどうでしょうか。そこに行けば低レベルダンジョンは沢山あります。」


「そうなんですね。親切にありがとうございます。検討してみます。」


優しくて美人なお姉さんにお礼を言い、外に出て街中を歩いている。



う~ん。レベルが高いのか・・・・・さて、どうしようか。



いきなり隣の国に行くのも時間がかかるしめんどいな・・・・・しかもナイージャという国はもっと先みたいだし。まずはこの武器がどの位強いのかも知りたいし、とりあえず中レベルダンジョンへ行ってみよう。



まぁ~死んでもレベル1だからいいか。

レベル1だから出来る事だね。

上がったらデスペナが発生するから死にたくないもんね。



僕は数日間いろいろと情報を集め、準備をしてから向かうことにした。




☆☆☆




早朝。




まだ暗い内から町を出て、少し行くと目的のダンジョンがあった。とりあえず、この町から一番近いダンジョンを選んだ。道中、魔物に襲われる事もあるとアドバイスを受けていたので、なるべく襲われない様に近くを選んだのだ。


そのダンジョンは、岩山をくりぬいた大きな洞窟だった。


その入口の前に僕は立っている。


見上げると結構高い。10m位の高さがあるだろうか。


このダンジョンには名前がない。ダンジョン名がつくのは高レベルダンジョン以上だそうだ。



じゃ~。とりあえず行きますかね。



ワクワクしながら僕は入口から入っていった・・・・・。そして、進んで左に曲がった先にそれはいた。



3m位はあるだろうか、頭には鬼みたいな角が生えていた。鎧を着て、右手には大きな剣を携えている。それが3匹。


魔物だ。


いきなりか。


剣をすぐ抜いてどうしようか迷っていると、1匹が僕を見かけるなり走ってすぐ目の前に現れた。残りの2匹も後に続く。


「えっ・・・・・。」


近くで見上げるとさらにでかい。ナニコレ。


こぇぇ。


どうしていいか分からず、僕は立ちすくんでしまった。


目の前の魔物がニヤリと笑いながら、剣を振り上げ僕めがけて振り下ろした。



あっ。死んだ。



怖くて目を閉じてしまったのだ。



すると、不思議な事が起こった。

目を閉じた自分の体が勝手に動いたのだ。



ザンッ!!



恐る恐る目を開けると、目の前で剣を振り下ろしたであろう鬼の首がなかった。



へっ?



あっけにとられていると、すかさずもう一匹の鬼が横から振り下ろす。

それを体が勝手にギリギリに避けたと同時に、剣で切り殺した。そして間髪入れず後ろから切りかかろうとした鬼もすかさず避けながら切った。



一瞬だった。



一瞬で3匹の死体が床に転がる。



・・・・・レベルが上がりました。レベルが上がりました。レベルが上がりました。・・・・・



どこからともなく聞こえる無機質な声が連呼している。





☆☆☆




パチパチパチ・・・・・焚火をしている上には鍋があり、湯気がたっている。ダンジョンに入って結構時間が経ったので、テントを張って食事中である。リアルでは気ままな一人暮らしなので、男料理はおてのもの。結構凝った料理も作れるかな。


今回は初日なので作って簡単、栄養価の高いシチューにしてみた。


鶏肉なのか分からない肉。人参や玉ねぎ、ジャガイモっぽい物をぶち込み、バター、チーズ、牛乳等々を入れて出来上がり。簡単で手間がかからないから好きだ。


そうそう!この世界の料理も食べると味がするのだ!


昨日宿屋の食堂で一口食べた時に、うまいまずい関係なく感動した。


ほんとにすごい!製作スタッフに感謝である。ここまでゲームで感じるのかと驚いたものだ。


僕の作ったシチューも・・・・・うん。おいしい。まずまずだ。


さて、今日一日ダンジョンに潜ったわけだが、今僕は最下層の5階入口付近にいる。


色々と分かった事があるが、まずはこの剣だろう。


この剣。スキル<カウンター>とあったがその名の通りで、相手が攻撃したのを合わせて切るスキルだった。発動条件は、柄を握って、待ちの姿勢さえしていれば勝手に体が動いてカウンターを決めるという優れもの。自分でタイミングを見計らって切り込むという高等技術は必要がないのだ。逆に、自分から攻撃したり、動いたりしていると発動はしないらしい。だから魔物が襲ってくるのをただ構えて待っていれば、自然と合わせて攻撃をするという繰り返しだった。


そしてこの剣の持つ補正。


攻撃力 1+300。 速さ 1+100。


これが凄い事だと理解したのは魔物と戦った時だった。




ただカウンターで一撃。




それだけでどんどん魔物は倒れた。


この攻撃力+300のすごさは、レベルが上がった時に理解した。レベルが1上がると、基本能力値:攻撃力、防御力、体力、魔力が+2あがったのだ。そして割り振りポイントという物が10ポイント与えられた。この割り振りポイント。振る時に表示されていたが、その中で基本能力値に割り振れるのは4ポイントのみとあった。


基本値が4種類だから4なのかな?まぁ~全部割り振れたら基本値に全て振るプレイヤーもいるだろうからそれの防止だろうか。という事は、単純に割り振りポイントを除けば、レベル100に達したとしても、攻撃力が200しか上がらないのだ。


で、今いるダンジョンはレベル50前後の魔物。


同じかそれ以上としても、防御力100~200位である。カウンターはおそらく、通常の攻撃より高いはず。



そりゃ、一撃で倒せるわ。



しかも相手は僕がレベルが低いから弱いと思って油断してどんどん突っ込んでくる。何匹倒しただろう・・・・・気づくとレベル35になっていた。


なので、基本能力値は70まで上がっている。


そして、割り振りポイントだが、これは基本能力の他に、沢山あるスキルにも割り振れるという物だった。なので僕が振ったのは、基本能力は1つだけで、後は力を入れたいスキルを重点に割り振る事にした。


体力1 速さ1 コミュニケーション3 愛情5


しばらくはこれで割り振る事にした。


体力を上げるのは、カウンターを発動した時の体力の減りが大きかった事だった。やはり瞬発力が必要だから何度も使うにはスタミナが必要なのだろう。体力を回復するポーションをいっぱい買っておいてほんとよかった。なければすぐ体力がなくなって死んでいただろう。


速さは、いつかはサッと消えて後ろに回り込んだりしたらマンガみたいでカッコいいと思ったからだ。コミュニケーションは、人とのつながりはやっぱり大事。


一番極端に振っている愛情は・・・・・リアルでは正直、奥手でそんなにモテなかったので、この世界では少しでもモテたらいいなぁ~と思って振ってみた。


ノリである。


おかげでさまで愛情は今、182まであがっている。まだどんな効果があるのかは分からないけど・・・・・。


普通に5上げてれば175なのだが、鍛冶屋で買った刀のよごれを拭き取るタオルを戦闘が終わったらこまめに拭いていたら少しづつ上がっていた。


うん。今の僕の生命線だから大事に扱わないとね。


ちなみに料理も3になっている。


他にも沢山のスキルがあるが、上がっているスキルもちらほらあった。生活していくうえで、たずさわれば上がっていくのだろう。


そんなこんなで、バッタバッタと魔物を倒し、魔光石やドロップアイテムを手に入れて今に至っている。


ただスキルに頼ってばかりじゃなく、ちゃんと剣術を今後は覚えないといけないなぁ・・・・・。そんな機会があったら練習しよう。


さて。少し仮眠を取って、最下層に備えよう。


体力を全開にする為、僕は少し寝る事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る