第2話 チャレンジ
冒険者協会を出て、まずは市場調査をはじめた。
だいたい物の相場がどの位なのか知りたかったからだ。
武器屋や防具屋、飲食店、雑貨屋、薬屋、宿屋等々まわったが、なるほど。
リアルの通貨とそんなに遜色がなかった。
この世界では全てG。ゴールドのみだった。
うん。わかりやすくていいね。
武器や防具はピンキリだったが、まず必要な飲食はだいたい普通で1,000G~2,000G。
宿屋は、夕食込みの安い所で8,000G。
有名ないい所だと10万Gもする宿屋もある。
とりあえず、必要最低限の情報が分かったので、武器もない僕は薬草採取のクエストをしようと思うが市場調査をしている時に薬屋のおやじと気が合い、いろいろと教えてくれた。
この国の名は、『ルーン』
南西の辺境にある山々に囲まれた小国であり、最も古い国とされる。
国の小ささなら、おそらく上位に入るだろうとおやじが言っていた。今いるここが首都で、他に町は2つしかないとの事。
そして、世界には数多くの国があるが、その中で、5大国の1つといわれている
国土が世界最大であり、軍事力、財政力全てにおいても頭一つでている国。
西の大国。『アルク帝国』
それが隣国であった。
話によると、世界で冒険者が唯一入国ができない国だと言っていた。
まじか。
じゃ~ここをある程度探索したら、南に行くしかないじゃん。でもおやじと仲良くなって貴重な話が聞けて助かった。
西に行って無駄骨にならずにすんだのだ。
あと、ここに来たら一度は行った方がいいとすすめられたのが、
この町の北の山にある像。
そこに市民は年に数回祈りを捧げているらしい。そして景色が絶景だと言っていた。
ほ~。
旅マニアの僕としては行かないわけにはいかない。聞くと、そこは一本道で、魔物もそこには出ないみたい。
なので、お金稼ぎの前にゲン担ぎもかねて、
まずはそこに行こうと思い向かっていた。
☆☆☆
町を出て、意外と険しい岩だらけの山を登っていると分かるが、
ほんとに辺境だった。
気づくと息が荒くなってきた。疲れてきているのか?さすがに体力1だと疲れるのも早いな。
重い足取りで何とか頂上まで着くと、中央に一体の女神像がたっていた。
慈愛に満ちたその顔はこの古の国を見守っている様にも見えた。
無事、冒険の祈願をし戻ろうとした時に、ふとおやじが言っていた絶景を思い出した。たしか裏手に回れって言ってたな。
僕は、女神像の裏にまわり、崖のところまで行って見ると。。。。
その先にはまさしく絶景とよべるにふさわしい光景だった。
真っ青な空。下には森が広がり、周りは神々しい山々がそびえたっていた。
「すっげぇ~!リアルでもこんな経験ないわ!」
おもわず崖ぎりぎりに身を乗り出し感動にひたっていると。
急に突風が吹いた。
「あっ」
一瞬だった。
考える間もなく、僕は崖から落ちた。
かなり標高があるから始末が悪い。
もう死ぬしかないので落ちる瞬間は見たくないから、仰向けに落ちようと思った。
落ちながら体勢を上に向けた時に。。。。。ん?。。。。あれは?
と思った時には、真っ暗に。。。。死んだのね。
気づくと、最初に目が覚めた所にいた。
「あ~。何やってんだよ。俺!」
と独り言をつぶやいていたが、気になる事があった。
落ちながら、仰向けになった時に、一瞬だが、崖から生えている木の隙間から横穴みたいなのが見えたからだ。
木で隠れてて、仮に飛べる様になったとしても、正面から見てもまず気づかないだろう。
位置的に考えると、丁度自分がいた頂上から落下した下までの
中間位の所にあった横穴。
非常に気になる。
気にしだすと他が手につかなくなる性格なのだ。
何とかしてその横穴に行けないか悩んだ末、ぎりぎりまで崖伝いに降りて、途中から落ちながら崖に生えている木をつかんで入れないか。という無謀な結論にいたった。
どうせ、レベル1で何の経験値もまだないし、いくら死んでもデスペナで下がることはないからいいか。
ということで、横穴に入ろうチャレンジをする事にしたのだった。。。
今現在、5時間経過。落ちて死んだ回数21回。
なんちゃってロッククライミングで降りられるぎりぎりまで降りてからの、木にめがけてダイブ。
発想としては何とかなりそうだったのだが、手をのばしても木に届かない距離だった。
何度も調整して落ちるのだが、届かず。
さすがに心が折れかけてきた。
きりがないので、30回までと決めたのだが、挑んだ27回目にミラクルが起きた。
同じ様に、崖からゆっくりぎりぎりまで降りて、
勢いよく下にある木に向かってダイブ。
このまま落ちたらやはり届かない距離だったがその時。
ゴォッ!
最初に僕を落とした突風がふいた。
突風で一気に木が掴める位置の上に。。。ここを逃したらもう無理。
絶対掴む!!
木が通り過ぎる一瞬に両手を伸ばすと、勢いで掴めない可能性があるから、脇で接触する。。。。。
バキバキバキ!
気づくと、横穴の入り口で倒れるように横になっていた。
ライフは結構減っているが、とりあえず生きている。
「うぉ~!やったぁ~!!!」
達成感と充実感で自然と声がでた。
ふぅ。
とりあえず気になる横穴に入れた。それだけで僕のミッションは達成である。
その穴は、奥につながっていて、人が一人通れる高さと幅があった。
ふむ。。。まぁ何もないにしろ、とりあえず奥までいきましょうか。
せっかく来たんだからね。
ゆっくり体を起こし、ライフが減って動きは鈍いが、なんとか奥に進んでみる。
不思議と壁は全体に薄く光が灯っていて、道具などの光がなくてもよく見えた。
魔物は勘弁してくれと思いながら奥に進むと、すぐに突き当たった。
そこは小さな空間があり、中央には、頂上にあった女神像と同じ像がたっていて、
その前には宝箱らしき箱が1つ。
「おっ!宝箱?」
すかさず駆け寄り、とりあえず鍵がついてない事を祈りつつ、開けてみると素直に開いた。
その中には、お金100万G。
1本の綺麗な虹色の液体が入っている瓶と更に一回り小さい真っ黒な液体が入っている3本の瓶があった。
やった~!!
お金はまじ助かるわぁ~!まだ何も冒険してないのに手に入ったのは非常にでかい。準備ができる!
あとは。。。1本の瓶を掲げて見てみると表示がされた。
【神の雫】神々の授かりし力。何を授かるのかは神のみぞ知る。。。
う~ん。これはランダム効果か?
後は、3本の小瓶。
【奇跡の薬】どんなステータス異常、状態も直す奇跡の薬。
ふむ。これは今後何かしら使えるな。
とりあえず、この4本の瓶は今は使ってもしょうがないので荷物にしまう事にして、気になるのが女神像だ。
頂上にある女神像は手を胸に両手で重ねて町を見下ろしている格好だったが、
こちらの女神像は違っていた。
両手を前にだして両掌の上には。。。
一本の剣があった。
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