【奨励賞】 覚めない夢の中で

覚めない夢の中で

著・ユユユ 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054919307353

 

 一時間以上寝ると死ぬ世界で、ロボットが次々と人間を騙して永遠の眠りにつかせていく物語。


 ラストの終わり方を考えついてから、創作したのだろう。前半のほのぼのカップルの生活が、結末に衝撃を与える。

 短編とはいえ、悪魔の睡眠とよばれる現象が起きている世界観をもう少し作り込んだほうが作品が活きてくる。

 この物語は、この現象が起きてどのくらい経過しているのだろう。ロボットが人間の仕事を代行しつつあるようだが、具体的な事がわからない。

 今後AIに代替される職種予想は「経理・財務・会計系」「秘書・アシスタント・一般事務系」が四割を越え、数値化やパターン化しやすい職種から代行されていくと考えられている。

 レジ対応や接客、アナウンサーも代行が可能だ。この作品の世界では、それらの業種は人がしている。にもかかわらず人間と変わらないロボットが、人を騙して取って代わっていることになっている。そのロボットを作っているのは誰で、なんのため? その科学技術はどのようなものだろう。部品をすべて全自動化で作るのは難しい。町工場的な製造、どこかに人の手が必要になってくる。

 一時間以上眠ると永眠するとあるが、世界中の人間すべてだろうか。他の動植物はどうだろう。動物もそうなら、起こされずにみんな永眠したのだろうか。木は夜眠ることが実験で確認されている。植物も起こさないと永眠してしまうのだろうか。だとすると、すべての植物は枯れ果て、あっという間に食糧難に陥る。

 米を作るにも人の手が必要だ。ライフラインの管理も大変だろう。そもそもロボットが代わりをするといっても、そのロボットのメンテナンスは誰がするのだろう。ロボットがするのなら、そのロボットを作るロボットは?

 作者だけは、納得行く設定を考えていなければならない。

 とはいえ、どんでん返し的な作品は興味が惹かれるし、ぜひ作ってみたいと思わせてくれる作品だった。

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