「死んでしまいたいなって……」
月あかりは、
「お兄さん、私もなんだか、おかしいみたいです。おかしいから、なんでも言っちゃうんだと思います。そう……これが私の望んでいることなんでしょうね。ありきたりな生活に
「僕もそうだよ」
「…………」
「僕も、したいことなんてできていない。ありきたりな日々の繰り返し」
月の見える夜は、もう太陽なんて消えてしまって、二度と、
「私は、生まれない方が良かったって……たまに思うんです。死んでしまいたいなって……退屈って、どんな病気より苦しい、私にとっては……」
「死んでしまったら、こんなバカみたいに、誰もいない深夜に初詣なんて、できやしない。雪水ちゃん。どうしようもなく続いていく、ありきたりな日常は、嫌なものだけれど、悪いものではないって、僕は思ってる。だって……」
「お兄さんに、私のなにがわかるんですか? 私の苦しみを、私の息苦しさを……」
「わからないよ。だけれど、まったくわからないわけじゃない。だから、こんなところまで付き合ってきたんだよ」
雪水は、あの優しい月光のたもとで、一筋の涙を流していた。
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