La nuit étoilée
《ねえ、わたしたち人間は、あの星々のように、散らばって、暮らしているでしょう。それらは、ほんらい結びつかないはずでしょう。近付いたら、ぶつかって、砕けてしまいますから。じゃあ、どうして、わたしたち人間は、結びつくことができるのか…………どうかしら、難問でしょう》
《きみは、賢いように見えて、そうではないみたいだね。なぜって、人間と星はまったく違うのだから》
《そんなの、分かっていますわ。その上で、
《じゃあ、答えてあげよう。砕け散るしかないよ。ぼくたち人間は、砕け散る痛みを引き受けなければ、結びつきようがないからね。で、きみの答えは?》
《…………星座にしてしまえばいいのです。そして、星座をつくる星たちで、仲良くすればいいのです。じっさい、そうなっているでしょう》
《ほら、きみは無理をして、人間と星を重ね合わせているじゃないか。星座の数なんて、たかがしれているし、ぼくたち人間は――もし、きみの
《もう、いいです。あなたは、わたしを馬鹿にして…………気分が、よくありません》
《じゃあ、もう星の喩えなんていらないね………………どう? ぼくたちは、砕け散ったかな》
《…………いえ》
《でも、いずれ、砕け散るだろうね》
《そうですわね…………でも、それまでは…………このまま…………》
《うん…………ぼくたちは、星ではなく、星になれなかった人間なんだから…………受けいれるしかないんだよ》
× × ×
Halfner, Eggestein, "La nuit étoilée", 1965, pp. 229-231. フツダ
× × ×
少女は自分の胸に《その本》を乗せた。
たった一行だけのメモ用紙を、誰にも見せないように、誰にも触れさせないように、自分の手に、ぎゅっと閉じこめて。そして、その手で――これ以上、涙がこぼれないように――目の上を
(筆者注)
Halfner, Eggesteinという作者の "La nuit étoilée" なんて小説は、探しても存在しないでしょう。おそらく。おそらくというのは、わたしは、わたしの知る範囲のことしか知りえないですから。
しかし、もし、わたしの創作上の小説が、現実にあるのだとしたら、皮肉なことかもしれませんが、少なくとも、次のことは言えてしまうはずです。
わたしは、Halfner, Eggesteinであり、Halfner, Eggesteinは、わたしである。一部において。わたしたちは――天秤座であり、時には射手座である星――軽やかな存在である。
こうした気取ったことを注で書くなんて、わたしは、叱られそうです。
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