第28話 膿。

 童貞卒業はというと、次の週の土曜日になんとかなった。

 相手は60代後半のコンパニオンだった。


 色々と思うトコロはあるけれど、呆気なかった。


 ―――金さえ払ったらこうも簡単に捨てられるとは!―――


 もっと早い段階で気付くべきだった。気付けてさえいれば魔法使いなんかにならずに済んだのだ。

 悔やんでも悔やみきれない。

 心の底から過去の自分を恨んだ。


 それはそれとして。

 想像を絶する気持ちよさだったため、これを機に狂ったようにどハマりすることとなる。

 こうなると最早誰にも止めることはできない。

 多い時には週に3回ほど出前する。少なくても1回はか・な・ら・ず出前する。


 なんか…


 自分史上最高の生きがいを見つけたような気分になってくる。

 おかげで


「オレ、輝いてるっ!」


 部活に青春をかけている少年のような素敵フレーズが極々自然に口からこぼれ出た。


 すべてが順調であるかのように思われた。


 が、しかし…

 ふとした拍子に


 ―――彼女やら嫁さんおる人間っち、金払わんでされるんよね?―――


 ものすごく当たり前の事実に気付いてしまい、


 ―――あ~あ、もーちょい顔が良かったらオンナできる(←根本的なところが色々と間違っているからできるわけがない)のになぁ…世の中のオトコたちはいいですな。何なん?オレばっか金払わないかんとか。こげなん、でったん不公平やん。あ~もぉホント、滅びてしまえばいーのに!―――


 闇堕ち。

 顔がブサイクなコト「だけ」を言い訳にし、指摘されたところ(女性の胸や股間、ケツを舐めまわすように見る癖、風呂に入った時身体をちゃんと洗わない等々)の改善や好かれる努力なんかは一切しようともせず、楽しそうな人を目にすると恨み言ばかりタレる日々。

 こんな腐れきった人間だから、激しい罰が当たるのが定番となっている。




 出前にハマって二年ほど経った頃。

 ようやく利用回数が減少傾向に転じはじめた(それでも月に3回以上は利用しているのだが)そんなある日。 


 いつものようにラブホに入り、店に電話すると、


「ありがとうございます。☆☆☆(店の名前)です。」


「ホテル〇〇の205号室にお願いします。」


「女の子の指名、どうされますか?」


「いえ、いいです。」


 いつものやり取り。

 利用回数が尋常じゃないから少しでも節約するために指名はしないと決めている、というのがポリシーだったりする。

 俗にいう「おまかせコース」というヤツを利用するのだ。


「ではこれから向かわせます。だいたい2~30分くらいで到着すると思いますので、よろしくお願いします。」


「はい。」


「ご利用どうもありがとうございます。」


 カチャ。


 受話器を置くと発注完了。

 ワクワクタイムのはじまりだ!




 待っている間、●ンポを極限まで勃起させ(デカいわけじゃない。むしろ小さい)無料エロチャンネルを鑑賞しながらドキドキワクワクを落ち着かせる。まぁ、これはこれで落ち着かないのだけど。

 この時点で既にカウパーダラッダラなのだが、あえてセ●ズリはコカない。

 極限まで我慢するのがデリヘる時の「オレ流」なのである。


 30分後。


 コンコン


 ノックされるドア。

 爆発的に早くなる鼓動。


 震える指で内線番号を押し、震える声でフロントに電話し鍵を開けてもらう。

 慣れたものである。

 電話を切った直後、


 チャ。


 鍵が開けられる音。

 すぐさま、


 ガチャッ。


 開けられるドア。

 姿を現したコンパニオンは金髪で少しヤンキーっぽくてポッチャリ系の女の子。

 顔は割とカワイイ。


 ―――お~っ!今回は当たりやな!―――


 ワクワクドキドキがさらに加速する。

 コンパニオンはこちらの顔を見て一瞬固まった。が、それでもすぐに再起動する。


「今日はよろしくお願いしますね❤」


 モーレツな営業スマイルで元気にあいさつした。

 流石プロである。

 相手の心の内は読めないため、このような笑顔を向けられると反射的に好きになりかけてしまう。


 早速、


「何分にしますか?」


 本日の利用条件を決めてゆく。


「えっと、120分で。」


 経験上、手と口だけでアホみたいに爆ぜまくるから、あまり短くし過ぎると時間内に本番まで辿り着かない。だから長めに頼むコトにしている。


「2万円になります。前払いでお願いします。」


 このタイミングでいつもなら大好きな言葉である「本番はどうされますか?」が聞かれるのだが、今回はそれが無い。


 ―――え~くそ!今回はさせてくれん人やったかぁ…―――


 酷く残念な気持ちになったけど、そもそも本番はNG。ホームページにも明示してあるからすんなり諦める。


 金を払うとすぐに服を脱ぎ、風呂場へ。

 ブラを外した瞬間あらわになった乳。

 激しい重量感を伴った爆乳に視線が釘付けになる。

 色素が濃く、存在感のある大きな乳輪がなんともエロくてそそりまくる。

 一気に我慢の限界を突破したため、後ろから抱きしめ揉んでみた。

 嫌がられなかったため(表面上は)、今度は調子に乗って指を入れようとする。

 すると、


「まだダメ。お客さん焦り過ぎぃ~。先に洗ってから。ね?」


 優しく断られた。

 湯船にお湯を溜めながらボディーソープを手に取り泡立たせると、超絶念入りに(←臭いから&サービスの時間をなるべく先延ばしにするため)体を擦り上げる。

 それが終わると既に発射準備が完了したチン●の皮を剥き、握る、というか包み込む。←勃起した状態で握られてもカメが出てこないほど小さい。

 掌で2~3度転がすと…いとも簡単に爆ぜた。

 コンパニオンは音速を超えた速さに


「うわっ!もう?お客さん、すごく元気いいですね!」


 驚愕の表情だ。

 しかしそこはプロ。

 ソッコー立ち直り、一旦汁交じりの泡を洗い流すと、再度ボディーソープを手に取り泡立たせる。そして、チ●ポを洗いだす。

 二日間我慢し、なおかつ直前まで無料エロチャンネルを鑑賞していただけのことはある。

 またすぐに(推定5転がし)爆ぜた。

 ここまで5分もかかっていない。


「わ!もう二回目?お客さん、スゴいですね。」


 あまりの速さと連射っぷりに驚きまくる。


 洗い流すと勃起した小さな小さな●ンポが泡の中から姿を現した。

 まだまだ萎える気配はない。


「すごい!二回も出したのに全然萎まないんですね!」


 呆れ半分で益々驚かれる。


 結局すべて洗い終わるまでに3発発射したが、萎まないままだった。


 体を拭かれ、バスローブを着ると消毒薬でウガイをし、ベッドへ。

 待っていると、オネイサンもバスローブを纏ってやってきた。


 さぁ!お楽しみの始まりだ!!


 すぐさま行為へと移る。

 チ●ポは既に起っている。


 カプッ。


 口に含み、そのまま上下。

 10往復ほどしたところで爆ぜた。


「んっ!ゴホッ!ウェホッ!ゴホゴホ!」


 あまりの速さに反応できず、喉の奥の方を撃たれ溺れそうになって咽ている。

 口の中にしこたま射出された汁をティッシュに吐き出し唇を拭く。

 ゴミ箱に捨てるとそのまま立ち上がり、洗面所に行ってウガイをする。

 戻ってきても●ンポは起ったまま。全く萎む気配はない。

 今度は人差し指と親指で輪を作り、しごく。←勃起しても小さいので握るとグーの中に収まってしまいしごきにくい。

 20回ほどでまた爆ぜた。

 チ●毛が流れ落ちた汁でネチャネチャになった。

 ティッシュで拭いてもらう。


 5発目ともなると流石に少しの間柔らかくなったものの、口に含んで上下し、舌でカメを転がすとすぐさまカッチカチに。

 これを確認したオネイサンの職人魂に火が着いた!

 おもむろに立ち上がると馬乗りになってくる。


 ―――え…えっ?なに?何されるん?―――


 驚きまくっていると、チン●に手を添え自分の穴にあてがった。


 そして!


 そのままゆっくりと腰を下ろしてゆく。

 小さな小さなチ●ポは呆気なく穴に収まってしまう。


「…ンッ…」


 コンパニオンの喘ぎ声(演技)。

 初めて直に味わう粘膜の感触。


 ―――熱い!柔らかくて、それでいてむず痒いような…いくらでも食べられる!―――


 一瞬で虜になってしまっていた。

 ごく自然に美味しんぼの山岡風食レポ的な言葉を心の中で紡いでいた。


 腰を振ろうと両足に力を入れるコンパニオン。

 上昇すると同時にタ●キンが、


 グッグッグッ…


 せり上がってくる。

 恥骨に接触した球体から下腹部へと伝わってくる鈍い痛み。

 穴に入ってからここまで約5秒。

 直後、臨界状態に達したチン●は大きく脈打つ。

 そして…


 ドピュッ!ドピュッ!ドピュッ!


 激しく爆ぜた!

 たった一往復での射出。

 オネイサンはチ●ポの動きを瞬時に見極め、同時に腰を上げ合体を解除していた。

 素晴らしい反射神経!

 流石、プロである(本日二回目)。


 脈打つ●ンポは下腹部辺りに汁を撒き散らす。

 しごいて射出を終わらせ汁を口で吸い取ると、ティッシュに吐く。

 萎まないのを確認したうえで立て続けに入れた。

 2発目は少し長持ちした…とはいえ約20往復で爆ぜたけど。


 汁を拭くと、尚も彼女は跨ってくる。

 そんな素晴らしいひと時は制限時間ギリギリまで続いた。

 結局マ●コだけで10発以上発射した。

 流石に少しだけ疲れたが、まだまだイケそうだ。

 しかし時間だからしょうがない。

 諦めて服を着てラブホ代を精算するとチェックアウトした。

 満足具合がハンパない。

 忘れられない一日となった。


 帰宅途中。

 運転中、さっきのことを思い出すとすぐさま勃起した。


 ―――来週も呼ぼう。今度はあのオネイサン指名することにしよう!―――


 固く心に誓うのだった。

 帰るとすぐに部屋に籠ってしごく。●ンポにはオネイサンの●ン汁の残り香。それがまた良質なオカズになって回数を稼ぐ。

 この日は寝る直前までシゴキ倒した。




 待ちに待った週末は、緊急の仕事でお預けとなった。

 お預けを食らった体はあのオネイサンを欲しまくっている。

 仕事中、便所に行くふりをして何回もコキまくった。


 新しい週の始まり。


 ―――あのオネイサンに会うため、センズ●はしないでおこう。―――


 決意し我慢することにしたのだが、ナマ挿入の感触とマ●汁の匂いがどうにも頭から離れない。秒で決意が揺らぎ、月曜日には1発…いや、5発抜いた。

 これで週末まで我慢できるかと思いきや、次の日にも限界が訪れやっぱし抜いた。


 木曜日の夜。


 ―――あと一日やり過ごしたら週末!そしたら、でゅふふ…―――


 気持ち悪い笑みをこぼしつつ眠りについた。


 そんな深夜に事件は起こる。


 午前二時を過ぎた頃、尿道の異常なまでの痒さで目が覚めたのだ。

 何事かと思いパンツを脱いでチ●ポを剥いて見てみると…尿道口には淡い黄色の粘性のある何か。

 指で拭い匂ってみると、腐ったような匂いがする。


 膿だった。


 ―――なんで?―――


 考えてみたものの何も思い当たる節はない。

 ティッシュで拭いて電気を消し、横になったものの痒みが酷くて眠れない。

 チン●の裏側を指で尿道口方向に絞り出すようにすると、またもや膿。


 ―――こりゃ~ただ事じゃないぞ!困った…。―――


 もちろん出前する気にはならなかった。


 この日以来、痒み&膿は継続中。

 試しにマキロンを噴霧してみたが全く効果なし。

 チクチクムズムズとした時パンツを脱いでチ●ポを剥くと、必ず膿が出ている。

 あれから一カ月以上経つが、痒みも膿もまるで治まる気配がない。

 そんな時、


 ―――風呂で家族に伝染るっちゃないん?―――


 今更ながら大変なことに気付いてしまう。

 もしも伝染ったとしたならば、またもやこっぴどく怒られることが容易に想像できてしまう。


 ―――お願い!治って!―――


 神に祈った。

 が、しかし。

 それから二カ月過ぎたが一向に治らない。


 で、とうとう諦めて泌尿器科に行くことを決心する。


 その週の週末、病院にて。

 問診票を書かされると検尿することになる。

 かなり待たされて名前を呼ばれると診察室に入った。

 医師に症状を伝えると、「性病の疑いがある」と言われた。


 そういえば!


 あることに思い当たり、そのことを医師に話すと、


「大ごとになりますよ!」


 モーレツに怒られた。

 そして、


「パンツを脱いでください。前立腺マッサージをして膿を絞りだし、病原体の特定をします。」


 と言われると、そのままズボンとパンツを脱ぎベッドに寝かされた。

 医師はゴム手袋を嵌め、潤滑用のジェルを塗る。


「力を抜いてください。」


 と言いながら人差し指で二、三度肛門をタッチ。

 緩み具合を確認すると一気に突き刺してきた。


「おぇ!」


 無意識に声が漏れる。

 指を挿し込んだままグリグリかきまわされる。

 腹の中をかきまわされるような感覚に陥って気分が悪くなった。

 かなり長いことグリグリした後、指を引き抜くと●ンポを絞り、チン先から出た液体を検査キットに付着させ、検査に出す手配をした。


 後日。

 再度病院へ。

 ションベンを採取し、しばらく待つと診察室に呼ばれる。

 見事、性病に感染していることが判明した。

 調剤薬局に行くと抗生物質と漢方薬を二週間分もらった。刺激物は良くないらしく「酒は飲まないように!」と、念を押された。

 平日の唯一の楽しみである酒がまさかのドクターストップ。


 二週間ごとに病院に通う日々。

 一カ月が過ぎ、二カ月が過ぎ、三カ月が過ぎたけど全く完治する気配がない。

 そしてついに半年が経った頃。


 ―――病院代、相当かかったよね?これで治ってなかったら病院通い止めよ。―――


 そう思い始めていたのだが、


「菌は発見されませんでした。これでひとまず治ったこととしましょう。くれぐれも、奥さんや恋人じゃない人とはナマでしないように。するときは必ずコンドームを付けてしてください。そうしないと、また今回みたいなことになりますよ。」


 なんとか完治したらしい。

 医師からはキビシイ口調で釘を刺された。


 なのに。


 ―――あのオネイサンを呼ぼう!―――


 病院から出るとその足でラブホに直行。

 まったく懲りちゃいないのだ。

 部屋に入ると、店に電話する。


 が、しかし。


 いくらかけなおしても話し中。

 おかしいと思いスマホでホームページを検索してみると…その店は無くなっていた。

 実をいうとこの子が原因で性病が広まってしまい、店に苦情が来マクって潰れたのだ。でもそんなことは知る由もなく。


 結局5000円のオプション料金を追加して、ゴムありの本番で我慢している。


 教訓:タダより高いものはない


 心掛けの悪い自分はやっぱしここでも激しい罰が当たったのだった。

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